前回は、アクティブとインデックスの保有比率や投資手法についてコメントさせて頂きました。今回は、このテーマの最後として、アクティブファンドでなければ投資できない投資対象もあることをご紹介します。コスト(信託報酬)が高いと、やや批判的な評価が多いようですが、インデックスファンドだけでは得られない追加リターンの追求のためには、その特徴を踏まえた上で、投資対象候補として考えておきたいものです。
日経225やTOPIX、NYダウ、SP500等を参照するインデックスファンドは目にする機会が増えてきました。日本株でいえば、他にも東証マザーズやジャスダックという指数がありますが、こちらのインデックスファンドは見かけることがありません。背景としては、投資対象の中には時価総額が小さく、インデックスファンドで投資した場合、投資インパクトが大きい銘柄が数多くあるからであり、インデックスを複製するのが難しいと私は認識しています。また、BRICsと呼ばれるような新興国株式でも単一国に投資するインデックスファンドは非常に少ないのが現状です。こちらの事情も時価総額や外国人投資家への投資規制等が背景にあると考えています。
日本株でもマザーズを中心とした小型株の値動きが良く、日経225等に組み込まれている大型株の値動きが冴えないケースは良くあります。また、先進国株式がいまひとつの値動きで新興国株式が非常に良いケースもあります。こういった場合は、インデックスファンドだけでは投資対象を十分カバーしきれない局面となります。「世界株式インデックスファンド」などに投資を行い、長期積立を前提とした方は、先進国と新興国のバランスが一応、図られているので継続保有することで良いと思いますが、活発な市場のリターンを取りたい方は、アクティブファンドが選択肢となります。一般的にコストが高いのが難点ですが、それを上回るパフォーマンスが期待できるかが判断材料になると思います。
業種別のインデックスは、かねてから存在していましたが、ここ数年、「アクティブ・インデックス」という成長性の高い業種の中で更に高成長が期待できる企業群で構成されたインデックスを参照したインデックスファンドが登場してきています。直近までの成績を見れば、非常に高いリターンを上げているものが多いようです。通常のインデックスファンドよりやや高めのコストですが、アクティブファンドよりは低めの信託報酬となっています。投資対象として検討する際には、セクター自体の成長性に疑念がでたり、組み入れ上位銘柄に不祥事が出たりする固有のリスクを認識しておきたいところです。
新興国でも長期的な成長が期待されるインド株式では、2021年6月の段階で、国内籍のインデックスファンドの存在は見当たりません。一部、ETFがありますが、流動性やNAV(適正価格)との乖離等の点から投資対象としてはやや難ありと感じています。他にも、中国本土、ロシア、ベトナム、フィリピン、アフリカ等に投資するファンドにはインデックスファンドが見当たりません。このような場合には、アクティブファンドを検討することになります。可能であれば、過去のトラックレコード(運用実績)、純資産額の推移、類似のファンドとの比較等のチェックをすることが望ましいと思います。高コストと指摘されることの多いアクティブファンドですが、国内小型株のアクティブファンドの中には、基準価額が10倍超になった素晴らしいファンドも存在しますし、好調な米国株を対象としたアクティブファンドでも比較的短期間に基準価額が3倍超になっているファンドもあります。逆もしかりで、玉石混交という指摘は否めません。
また、残高の急激な増加や運用規模の上限に達した場合などは、ソフトクローズといって、追加投資ができなくなるケースがあることも留意点です。残高が伸びずに償還されてしまうファンドも残念ですが存在します。投資される際に、該当ファンドの償還期限の確認もしておきたいところです。一般的に残高の大きいものは償還期限が延長されるケースが多いです。
投資対象の成長性と運用するファンドマネージャー(以下FM)や運用体制を事前にある程度、調べることはできても、(交付目論見書、請求目論見書など)将来のパフォーマンスを判断することは、非常に難しい面があります。ひとつの手法としては、打診の投資を行い、実績を見て追加投資を行うということも検討の余地があります。
今回の結論は、アクティブファンドでなければ投資できない対象があること、高めのコストに見合うリターンが期待できるかという検討、打診の投資を行い実績を確認して追加投資を行うかどうかを考えるということになります。超長期の積立を前提とすれば、「成長する資産」に投資するインデックスファンドの一択と思います。くれぐれも、「冴えない資産」に投資しないようにご注意ください。短期でも長期でも、「冴えない資産」は冴えません。このテーマは、別の機会に深堀りしたいと思います。
尚、投信の選考やモニタリングに係る私の実務経験では、ファンドのコンセプトと組み入れ銘柄がマッチしているか、類似ファンドとの相対的な比較、信託報酬が妥当な水準かどうか、組み入れ銘柄の売却や新規買い付けの理由、FMの考え方や運用ポリシー等をマンスリーレポートや運用報告書を通じて、定期的にチェックして、投資対象として継続して好ましいか、否かを総合的に判断していました。一般的には、継続的に良いパフォーマンスを出せるアクティブファンドを見つけて投資するのは、やはり、ハードルが高いという印象です。個人的に応援しているファンドはいくつか、ありますけどね。
次回は、ビジネスマン(給与所得者)ができる税金対策について述べたいと思います。
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