「ああ!株主優待」

2021年現在、日本の株式市場には、株主優待制度を設けている企業が数多くあります。

投資家として、魅力的な優待も少なくありません。そのような優待企業に投資することを大事にされている方も多いと思います。

 

まず、私の失敗事例、どうも株主優待銘柄と相性が良くないようです。

ネットで株主優待を実施している企業を見つけました。業績を見ると回復基調であり、3月末に向け、株価も堅調でした。優待で果物が獲得でき、配当も少額ながら実施されている企業で、投資余力もあったので、投資したところ、権利付きの3月中は株価が堅調でしたが、権利落ち以降の4月になると、配当や優待を大きく上回る株価下落に見舞われました。メロン2つを獲得するのに10万円以上の売却損が発生しました。特に小型株の場合は、権利落ちや配当落ち後の動きが大きくなるケースがあり、優待は得たものの含み損や実現損がそれ以上という私のようなケースも少なくありません。

 

気を取り直して、

投資対象として「株主優待銘柄」を考えた場合、どうでしょう?

 

海外では、株主優待を実施している企業を聞くことはありません。配当や自社株買いで、株主に報いるという考え方が主流だからだと思います。日本国内でも株主優待を実施することで、株価が割高になっていたり、優待の廃止や見直しで、企業業績を伴わない急落があったり等を見ることも頻繁にあります。そういった事態を避けるために信用取引のクロス取引やつなぎ売り等が推奨されているものを見ることはありますが、今回、そちらはパスします。(一般的な方には、縁遠いテクニカルな議論になるので割愛させていただきます)

 

株主優待の歴史を紐解くと、諸説あるようですが、株主総会のお土産の名残という説が有力のようです。1899年(明治32年)に鉄道会社が導入したのが、日本で初めての優待のようです。実際、株主総会でお土産があった時代がありました。

 

財務的に株主優待を考えると、株価に対して中立と思われます。

株主優待を実施してもしなくても、将来のキャッシュフローに基本的に影響を及ぼさないと考えられるからです。また、機関投資家は優待よりも配当や自社株買いを好む傾向があります。果物をもらっても、困るだけですもんね。

優待の内容を見ると、自社製品を株主に提供することで、長期保有のインセンティブにつなげたいという企業の意思を感じるケースはあります。また、保有期間に応じ、長期保有の場合、優待がレベルアップするケースも多くなってきました。しかし、本業と関係のない商品やサービスを優待として提供している企業については、「配当に回した方がよいのでは?」と感じたりします。もちろん、優待の場合は、税金がかかりません。配当には税金がかかる訳ですから、投資家にとって、有利なようにも感じますが、トータルリターンの視点だと、投資効果は限定的な印象です。

 

また、株価の習性として、配当や優待の権利付き最終日(決算月が多い)に向け、株価上昇となるケースが見られます。権利を獲得する前に売却し、キャピタルゲインを得た方が結果的に高パフォーマンスになる場合もよくあります。一方、権利落ちして、株価が下落した局面でリバウンドを狙って購入することで、リターンを獲得する手法もあります。特に配当利回りの高い株式や不動産投資信託等では、一時的に大きく下落することがあり、チャンスの場合も少なくありません。但し、配当や優待目的でも、株価水準を考慮しないと、高い買い物になってしまう可能性があります。5万円の配当や優待のために10万円のキャピタルロスや含み損になったら、意味がないですよね。

 

心理的な影響も無視できません。配当も優待も同様ですが、権利を獲得する前に含み益になっていても、優待を欲しいというインセンティブが働き、冷静な判断(適切なタイミングでの売却)が難しくなる局面があります。金融マーケットが不安定になっていて、保有銘柄を売却しておいた方が望ましいという冷静な判断がなされていても、例外的にこの銘柄は保有しておくというケースは、私も経験しました。また、本来ならば、利益確定すべきタイミングや損失確定するタイミングでも、意思決定が遅れる可能性もあります。私は、あまり自信がありません。2021年9月末にかけて起きた株価調整も該当しますね。

 

また、企業業績によっては、優待が廃止されたり、制度が改悪されたりするケースもあります。自社製品を優待として提供する製造業等は、安定的に優待が継続されている印象ですが、クオカードやカタログギフト等を提供する企業や飲食業での割引クーポン等を提供する企業の場合は、より業績動向に注意が必要になると感じています。

 

個人的には、優待銘柄の値動きを把握し、トータルリターンの内のオマケという位置づけで投資する方が良い結果につながりました。優待銘柄のエキスパートの方も多数、いらっしゃると思いますし、私見に過ぎませんが、常に含み益の状態が確保できるように株価が大きく下げた局面で投資したいところです。書店に行っても、ネットの情報を見ても、株主優待の情報を沢山、見ることができます。ブログ等を書かれている方の優待銘柄の含み損益の状態がどのようになっているのか、個人的には興味があります。「意外と含み損の状態で、配当や優待を受け取っている方が多いのでは?」という気もしています。また、優待確保の最低金額で投資されるケースも多いようで、ブログ等を拝見すると保有銘柄数が多くなっている方も多いようです。リスク管理上、保有銘柄数が過多になると管理が困難になるように思います。「買ったら売らない」という投資方針であれば、とやかく申し上げることはありませんが。保有銘柄数で言えば、30銘柄程度が限界という印象です。

 

 

株主優待に関する教訓を踏まえて、まとめとして

 

・個別株価の値動きの癖(特徴)を把握する

・権利付き直前ではなく、あらかじめ(1ヶ月から2ヶ月以上前)、投資を検討する

・長期保有か短期保有(優待後に売却)するかを、事前にイメージする

・配当、優待、値上がり益のトータルリターンで投資対象を検討する

・余力があるからといって、慌てて、投資する場合は、特に慎重に

・心理的な影響を受けないように冷静な判断を行う

・優待銘柄の業績に留意する

・保有銘柄数を意識する

・優待がなくても、投資したい銘柄なのか、(割と大事だと思います)

 

 

株主優待は、投資の楽しみのひとつであると思います。但し、株価水準やタイミング、企業業績等に注意しないと、高い買い物になってしまうケースもあり得ます。ご参考に優待情報のURLを以下にご案内します。

 

株主優待 – Yahoo!ファイナンス

 

株主優待人気ランキング2021年版:マイベスト総合 | 知って得する株主優待 (net-ir.ne.jp)

 

 

次回は、「REIT(不動産投資信託)について考えてみる」を取り上げたいと思います。

 

当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。

いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。

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