相場格言に関する私見 《後編》

前回に引き続いて、相場格言に関する私見を述べたいと思います。

今回も含蓄のある格言があります。

 

割高に売りなし、割安に買いなし

 

人気があり、上昇している銘柄はPER(株価収益率)などが平均を上回っている場合が多く、割高に見えます。反対にPERなどが平均以下の銘柄は割安に見えるのも事実です。
将来的に、割高は修正され、割安株も見直される時が来るかもしれませんが、単に割高、割安と判断して投資しては思わぬ損が出るという軽率な投資態度を戒めた格言です。

 

→こちらは、「麦わら帽子は冬に買え」と矛盾していますね。

個人的には、こちらの格言の方を支持します。割高に見える場合も、利益成長を加味すると妥当だと判断できるケースもあります。色々な指標をチェックして投資判断をしたいところです。

 

 

押し目待ちの押し目なし

 

株価は、一度、方向が定まるとしばらく継続する傾向があるため、上昇を始めた株の押し目(一時的な下落)を買おうとしても、下がるとは限りません。逆に強い銘柄の下落ごく小さいので、自分が考えた価格で待っていても、買うことが難しくなります。

 

→最近では、米国のテクノロジー株の値動きが該当しますね。

確信が高い場合は、ある程度、高い価格でも買付けした方が、良い結果につながるようにも思います。逆に急落時は、中途半端にポジションを取るのではなく、株価が落ち着いてからポジション構築した方が成功率は高くなるように感じています。「落ちるナイフは掴むな」という格言ですね。

 

 

噂で買って、事実で売る

 

米国では「Buy the rumor,Sell the fact」という言葉の格言です。

噂が先行すれば期待が大きくなり、実力との乖離が大きくなるので、事実で売られるケースが考えられます。決算期待や薬品セクターの新薬開発等が該当すると思います。

 

→該当するケースが少なくない格言だと思います。金融マーケットの状態にもよりますが、良い決算でも来期予想の水準やアナリストのコンセンサスとの乖離具合によっては売られるケースも多いですし、逆に悪い決算でも材料出尽くしで買われるケースも少なくありません。噂の期待値と事実の数値の乖離の大きさに依存するように思います。事実が噂の期待値を上回れば、この限りではないと思いますね。

 

 

買いにくい相場は高い

 

株価が高いと買いにくいという心理が働きます。が、株価が高いということは一定の理由で買いが集まっているわけで、株価上昇が継続する可能性があるという格言です。

 

→上昇相場は、緩やかに長く続くことが多く、逆に下げ相場は急激なケースが多くあります。また、上昇トレンドであれば、頂上をイメージして、現在は何合目程度か推測し、素直に乗った方が良いという意味合いと理解しています。リスク管理をした上での順張りというスタンスでしょうか?

 

 

利食い千人力

 

購入した株式が値上がりすると、含み益が発生します。しかし含み益であり、実現益ではありません。売却して初めて利益が確定します。利益確定のことを「利食い」と言います。

確実に利益確定し、結果を残すことが勝つ秘訣であるという格言です。

 

→半分、同意します。含み益を売却せずに含み損になるケース、含み益を実現してもその後、株価が上昇するケース、両方、ガッカリしますが、前者の後悔の方が大きいように感じます。

売却して現金化すれば、次の展開に切り替えることができます。(税金は考慮していません)しかし、テンバガー(時価が10倍になる銘柄)や大きな値上がりを達成するためには、良い銘柄を長期で保有する必要があり、利食い千人力の手法とは矛盾します。

また、利益確定だけを急ぐと、含み損銘柄のみ保有することにもなりかねません。

 

 

利食い急ぐな、損急げ

 

利食いよりも損切りの方が重要だということ。上昇相場の場合、一時的に下落しても、
含み益が多少減るだけで済みますが、損切りできない状態でいると、どんどん損失が
膨らむばかりという格言です。

 

→「利食い千人力」とやや矛盾するように思いますが、利益確定よりも損失確定の方を優先した方が良いというように理解をしています。損失は小さく、利益は大きくというアプローチが実現できれば、勝率はともかく、トータルの利益は大きくなることが期待できると思います。どちらの場合も、税金の年間の損益管理の重要性もお忘れなく。

 

 

見切り千両、損切り万両

 

投資家である以上、損失は避けられない保険のようなものです。
損失が出たら執着せずに、思い切って損切りすべきという教えです。

→重要な教えだと思います。

当然ながら、経験の有無や考え方次第で、対応手法や結果が異なりますね。

損失であれ、現金化することで新たなポジション構築が可能となる訳で、より魅力的な投資対象が出た際、その準備のためにも、必要な考え方だと思います。なによりも、深追いしすぎて、大怪我をしないことが重要です。

 

 

 

下手なナンピン、すかんぴん(下手なナンピン、大けがのもと)

 

購入した株が値下がりした際に、追加投資を行って取得コストを下げる戦術としてナンピン買いがあります。損失確定をしたくないばかりに下手なナンピンを入れると、最後には手持ちのお金がすかんぴん(無くなる)になりますよ、という格言です。

 

→同意します。下落トレンドが継続すると、追加投資が仇になり、損失が拡大します。仮に追加投資を検討する場合は、「仮に保有していなくても、新たに投資したいかどうか」という観点で検討すると良いと言われています。また、一つの銘柄に金額の上限をご自身のルールで作っておくのも有効だと思います。追加投資の金額を限定すれば、むやみに追加できなくなるという理由からです。

 

 

 

悪い銘柄は良い銘柄を駆逐する

 

心理的に損失確定を投資家は、嫌うため、含み益のある銘柄から処分して行く傾向があります。含み損の大きい銘柄を保有していると、その傾向はより強くなり、残っているのは、含み損の銘柄ばかりになります。

→含み益の銘柄は、マーケットのトレンドに乗っているケースが多く、今後も期待できるケースが多いと思います。含み損の銘柄は、理由はともあれ、トレンドと異なっているケースが考えられます。含み益拡大が期待できるものと含み損拡大が想定できるものであれば、後者を処分した方が良いという考え方ですね。また、税金に関して、年間の損益管理も重要になってくると思います。同意します。

 

 

 

命金には手をつけるな

 

命金(大事なお金)で、投資を行うと精神的な負荷が大きくなり、利益を継続的に確保することが難しくなります。投資は、余裕資金で行うことが重要という格言です。

 

→同意します。リスク管理にもつながりますが、最大損失可能額をご自身で設定し、リスク管理することをお勧めします。はじめに投資可能資金を確定し、損失可能額をイメージしてから、投資対象を絞って、投資戦略を検討する段取りが良いと思います。銘柄、市場分散と時間分散(投資のタイミングを複数にすること)も併せて、検討したいところですね。

 

 

 

次回は、「プロが考える?投資信託購入のチェックポイント」を取り上げたいと思います。

投信シリーズをしばらくしたいと思います。

 

当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。

いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。

内容、ご相談に関しましては、株式会社 Noble principleまでお問い合わせください。