「2021年振り返りと2022年の展望」

あけましておめでとうございます。

皆さんは、昨年2021年は、如何、お過ごしだったでしょうか?

今回は、投資面で振り返りと2022年の展望についてコメントしたいと思います。

 

昨年は、コロナの影響とサプライチェーン分断の影響から供給不足によるインフレ懸念がテーマだったように思います。また、米中貿易摩擦の影響が金融マーケットでも顕在化しました。インフレに伴う米国の金利動向とコロナ感染動向に左右された印象です。

 

結果的には、各指数とも比較的、堅調な展開を見せた一年でした。

しかし、投資対象が少しでもズレてしまうと厳しい結果が待っていた年とも言えます。

 

代表的な各指数の年間騰落率を列挙します。(以下、各種資料より)

 

ダウ工業株30種 +18.7%

S&P500指数 +26.9%

ナスダック100指数 +26.6%

 

TOPIX +10.4%

日経225 +4.9%

マザーズ指数 ▲17.4%

 

中国上海総合指数 +4.8%

香港ハンセンH株 ▲23.3%

インドSENSEX指数 +22.0%

ブラジルボベスパ指数 ▲11.9%

 

東証REIT +20.0%

グローバルREIT指数(米ドルベース) +32.5%

WTI先物(原油) +55.0%

NY金先物 ▲3.5%

ビットコイン +59.8%

 

米ドル +11.5%

中国人民元 +14.7%

オーストラリアドル +5.3%

 

セクター別の騰落率では

エネルギー +30.7%

情報通信 26.4%

金融 21.5%

 

 

 国内では、海運株や半導体株の上昇が目立ちました。米国では半導体のエヌビディアや電気自動車のテスラ、アップル、マイクロソフトなどの情報関連株式、バーチャル・リアリティ関連株式などの上昇が目を引きました。その一方、2020年に好調だったスクエア(SQ)やペイパル(PAPL)といったフィンテック関連株式やドキュサイン(DOCU)、ズーム(ZM)などDX関連株式にとって厳しい年となりました。また、貿易摩擦の余波から中国系企業の下落も目立ちました。前年と比較して上昇した銘柄や業種が大きく入れ替わった印象です。為替が米ドル高(円安)になったこともあり、米国株投資を円ベースで見ると比較的、良い結果になりましたが、国内株でマザーズ上場の小型株に投資した場合などは、厳しいものとなりました。また、以外に内外のREITのパフォーマンスも株式を上回り、好調だった印象です。今年に関しては、インフレで貨幣価値減少に伴う相対的な不動産の優位性と金利上昇に伴う不動産の現在価値の減少とのバランスに注目したいと思います。

 

今年の前半は、サプライチェーンがどの程度、回復するのかという点とインフレの安定(金利の安定)がポイントになってくるように思います。後半は景気回復のペースが気になります。

 

また、米国では中間選挙、日本でも参議院選挙が控えています。

政治的な立場を別としても、米国の富裕層との格差是正政策や日本の金融所得課税や自社株買いへの規制などが気になるところです。特に国内では、ここ数年の投資主体が外国人や事業会社中心の自社株買いになっていることから、投資意欲の減退にならないような政策を期待したいところです。

 

また、一部では、税調による贈与税と相続税の一体課税(生前贈与ができなくなる)も話題になっているようです。この点も、富裕層や高額納税者、グローバルで活躍している人材の海外流出につながらないように憂慮します。

 

米国株式市場は、ここ数年、好調な時期が続いてきました。インフレに伴う利上げ(2022年に3回利上げという声が多いです)が見えてきている段階で、昨年と同様の展開は難しいようにも感じています。しかし、NASDAQ指数やS&P500などの指数の騰落はともかく、業種間での資金移動は大きくなるように思います。金利上昇は、テクノロジー関連には、基本的には向かい風になりますが、長短金利のスプレッドが開けば、金融株には追い風になってきます。また、景気自体の回復が明確になると景気敏感株が選好されることも想定されます。テクノロジー関連株式に関しては、金利上昇があったとしても、業績の裏付けが確認できれば、株価上昇の継続が期待できるように思いますが、利益成長が期待を下回ると昨年以上に苦戦するケースが出てくるように思います。

 

また、杞憂だと思いますが、行き過ぎた利上げが株価にブレーキをかけるリスクも認識しておきたいところです。インフレを抑えるために利上げすることは、教科書的に正しいと思いますが、今回のインフレはコロナによる供給不足という面が小さくなく、金利を上げたとしても、供給が増えるわけではありません。需要が伸びてインフレが生じているのであれば、金融政策は有効だと思いますが、需要を抑え込むだけでインフレを抑制できるようには感じません。その際、必要以上の利上げの継続や利上げ幅が起こると、株式市場に大きいブレーキがかかる可能性もリスク要因として考えておきたいところです。

 

個人的には、今年はグロース株(成長株)からバリュー株(割安株)に少し、ウエイトを移したいように感じています。S&P500等のインデックスファンドに関しては、継続投資、継続保有で良いと思いますが、アクティブファンドに関しては、慎重な判断が必要になると考えています。

 

また、為替に関しては、短期では金利差(実質金利)、長期では購買力で決定されるという理論がありますが、国内の金利上昇が期待薄ということからも、2021年末の米ドル/円115円近辺よりも米ドル高(円安)の方向が基本線のように思っています。

 

地政学リスクに関しては、中国やウクライナ等の動向が気になりますし、まず、2月の北京の冬季五輪がスムーズに開催されるか、注目したいと思います。

 

本年は、昨年以上に、どの地域のどのセクターに投資できるかで、一年の成果が決まってくるように感じています。また、現金保有と有価証券投資のバランスを考慮したリスク管理の重要性を個人的にも念頭に置きたいと思います。

 

 

次回は、「米国個別株投資で学んだこと(ほぼ、失敗談)」をお伝えしたいと思います。

当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。

いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。

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