先週のブログに関して、一部、訂正があります。
証券会社勤務の職員が他の証券会社に注文を発注することは、相場操縦などの可能性があることから、禁じられていましたが、金融業界が大きく構造変化したことから、証券会社勤務でも他社で株式の投資も可能になってようです。実際には、各社の判断で別途、規制があるようですが。ということを証券会社の知人からのアドバイスを頂きました。インサイダーに関わる取引の把握や相場操縦などが難しくなる面もあるかもしれません。
さて、今週のテーマである「元金融マンの投資生活 その2」に入ります。
投信に関しては、特段の規制がなかったので、積立、スポット投資とも、主要投資対象として考えていました。株式については、運用会社時代は、売買の規制が厳しかったため、既に保有していた銘柄は売買せずにいました。その結果、日本株が冴えない時代とは言え、退職時には、悲しい時価になっていました。その後の証券会社時代は、保有期間の制限があることから、配当重視主体に切り替えました。
まず、私の運用会社時代です。上場投信と投資信託のみが投資制限がなかったため、それらに投資をしました。レバレッジ型や海外株式、様々なREIT(不動産投資信託)などの魅力的なETFが登場した時期にあたり、これらも投資対象として研究しました。
当時の印象深い失敗は、2007年から2008年にかけて、リーマンショックの前後の頃です。新興国の成長が注目されていた時期でもあり、中国本土株式が激しく上昇していきました。その後、強烈な暴落をしていった訳ですが、中国株式・上証50連動ETF(1309)に惚れ込み、ナンピン地獄(高値から70%程度下落)にはまりました。リバウンドを期待して、下落する度に買い付けを行いましたが、その都度、更なる下落に直面しました。その後、日本株のレバレッジ型ETF(1570など)で凌ぎ、そちらの利益と中国株ETFの損失を相殺していく長く辛い作業を行いました。
ここでの教訓は、ひとつの銘柄に投資金額の上限を設けることを学んだことです。右肩下がりで大きな下落に見舞われると、投資する度に損失が拡大してしまいます。私の場合、意地になってナンピンした結果、私なりに投資総額も膨らみ、損失も大きく膨らみましたので、かなりの重傷を負いました。投資信託の世界でも一つの銘柄に10%などの投資上限を設けているケースもありますね。
暴騰した銘柄や急上昇した市場などを経験すると、「調整の後、再び大きく上昇するのでは無いか?」という判断をしがちですが、流れが大きく変わった際には、このような成功体験は仇になりかねません。「銘柄に惚れるな」という相場格言がありますが、軌道修正できる柔軟なスタンスが大事ですね。
また、証券会社勤務時代の若い頃の経験ですが、まわりの証券マンの噂にそそのかされ(?)、投資した銘柄が倒産し、上場廃止になるという憂き目にあったこともあります。これは、事前にシッカリ、財務諸表や業績をチェックしなかった自己責任と言うほかありません。
知人の大成功事例ですが、ヤフー(4689)、((現在のZホールディングスですが、))この銘柄で大成功をされた方がいました。1999年頃の日本のITバブル時代前半に投資されていたようでした。当時、株式分割を繰り返した上で、初の1億円銘柄などと報道されました。売却がうまくいったのかどうかは、定かではありませんが、金融機関勤務から大学の教職にキャリアシフトを目指していらっしゃいました。20年くらい前のFIREですね。
「ビジネスマンの生涯年収分は確保したので、後は、自分のやりたいことと社会貢献を考える」とうらやましいやら、尊敬の念を感じるやら、何とも言えない敬意を感じました。
私の話に戻ります。
全ての時代を通じて、各運用会社のファンドを研究する意味合いも含め、海外株や国内小型株のファンドにコツコツと投資をしました。もっとも、リーマンショックの時期は、連日、5%から10%程度の下落が続き、精神的にも相当、キツかった時期もありました。数ヶ月から数年間、投資して得た含み益が、みるみる大幅な含み損に転落していきました。長期投資前提でも、適切な利益確定や余裕資金確保の重要性を認識した経験です。
その暴落のさなか、継続保有するものと損失でも解約するものを選別し、解約によって損失確定を行った後、タイミングを見て、継続保有のもののみに追加投資を行い、取得コストを調整していきました。幸い、回復局面では、毎日、含み損が減っていくのを見る楽しみが出来ました。
今回のロシアのウクライナ侵攻の問題でも同様ですが、谷の深さ(下落率)と低迷の長さ(低迷期間)を事前に把握することはできません。余裕資金を確保しつつ、より慎重に追加投資の可否を判断していく必要があるように感じています。
言わずもがなですが、投資は勝率よりも勝ち方が重要で、いくら、勝率が高くてもトータルで負けることは、普通にあります。特にテールリスクが生じる際には致命傷を負わないようなリスク管理が重要であると強く思っています。損失が日々、膨らんでいく状況というのは、精神的にも厳しいものがあります。追加投資することで、取得価格を下げ、回復への希望をつなげるのですが、それが裏切られると更なる精神的ダメージとなりますし、経済的なダメージに関しては、言うまでもありません。
また、行動経済学でも指摘されていますが、一定レベル以上の含み損になると、人間の心理として「見て見ぬふり」をするようになります。嫌なこと、つまり、価格を見ないことで、精神的な負担を回避する本能なのでしょうね。私も記憶にあります。その場合でも、致命傷を負わないレベルの投資金額で損失を抑えたいところです。目を背けている内に、想定以上の含み損が生じているケースも考えられます。
投資生活に関する投稿は、2回の予定でしたが、予想以上に字数を使ってしまいました。つきましては、来週、完結編?をご紹介したいと思います。投資戦略や戦術の私なりの考え方や対処方法についてお伝えしたいと思います。
次回は、「元金融マンの投資生活 その3」です。
多分、完結できるかと思います。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。
内容、ご相談に関しましては、株式会社 Noble principleまでお問い合わせください。