今回は、転職についてのブログです。
私自身、何回か、転職を経験しました。原稿を書いている段階で色々と思い出したことも多く、順不同になってしまっています。尚、あくまでも私見であることをご容赦ください。
新卒での就職と転職の最大の相違点は、「就職(転職)するタイミングを自分自身で選べるかどうか」だと思います。新卒の場合は、就職活動時点での景気や企業の採用計画などの外部環境に依存します。バブル時期の新卒採用組と新卒氷河期組とは、明らかに状況が異なります。就職に難易度をつけるのは、ナンセンスだと思いますが、新卒氷河期のケースでは、同じ企業への就職は、採用人数が抑えられていたこともあり、難易度がより高かったと言えます。その一方、転職は、基本的には自分自身で転職活動を行うタイミングを決めることができます。希望する業界が好調で拡大基調のタイミングで、転職を試みれば、採用の可能性も高くなり、好条件の処遇も期待できますね。もっとも、不況の業種で同業種に転職を試みる場合、採用の窓口も狭くなって、処遇も大幅な改善が難しい可能性もあります。同業他社への転職は、業界全体の業績の動向に留意する必要があります。
知人や友人と話をして、転職への共通認識が、「最初の転職に関するハードルの高さ」です。職場環境も変わりますし、仕事の進め方や人間関係も変わります。私も新たな職場環境への適合や人間関係を作ることに対する漠然とした不安があったような記憶があります。不謹慎かもしれませんが、2度目の転職からは、意識の上では転勤と大差ないようになりました。
仕事の進め方にしても、会議で発言をしないと評価が下がる会社と参加者が相互に警戒して本音を話さない会社もありました。どちらが健全な運営かは、明白ですけどね。
転居不要というのもポイントです。転職の場合、勤務先の場所や勤務形態によっては、転居を伴わずに済むケースが少なくありません。私自身、転居せずに済みましたので、メリットの一つとして認識しています。一方、地方在住の方が首都圏の企業に転職する場合は、面接などで負担が大きかったようです。物理的な移動時間や面接回数などが大変だったと聞きます。最近では、リモートの面接も増加しているようですが、いずれにしても、面接のスケジュールと勤務先の仕事の調整は、皆さん、ご苦労されていた印象ですね。(勤務しながら、面接のスケジュールを調整することなど)定時にコソッと退社するケースが相次いだりすると、上司の方は警戒するようです。実際に、「何か、怪しい?」という印象を持つケースは少なくないようです。
最近では、各サイトの転職情報が充実していますが、インターネットが普及する以前は、日本経済新聞の日曜版が数少ない貴重なものでした。
現在の情報収集の主体は、エージェント経由になっていると思いますが、どのエージェントにコンタクトした方が良いのかわからないケースでは、転職経験者に紹介をしてもらうアプローチが有効だと思います。また、エージェント会社や担当の方には、得手不得手があり、得意分野のマッチングが大事だと思います。
そもそも、転職の捉え方ですが、「収入を増やしたい」とか「今の仕事から脱出したい」などの理由は様々だと思います。転職前にある程度の理想をイメージした方が良い結果につながる確率が高まると感じています。
例えば、希望する条件に「収入増加」、「企業文化が好ましい」、「仕事のやりがいがある」などの理由があると思います。基本的に、転職活動はある程度、時間をかけて、計画的に取り組みたいものです。上記の3条件が、良いバランスの企業に転職できるのがベストだと思いますが、以前掲載したブログの通り、「待遇(収入込み)」、「企業に対するロイヤリティ(愛情、愛着)」、「仕事に対するコミットメント(情熱、意欲)」の3つの条件のうち、2つを満たさないと、充実したビジネスライフを継続することが難しいという私見をご紹介しました。事前にどの企業が総合的に優れているか、情報収集することの重要性は言うまでもありません。場合によっては、「今の仕事を辞めたい」ということ、現実逃避的な面も含め、「脱出したい」というモチベーションが優先するケースもあるかもしれませんが、それでも可能な範囲で事前の情報収集(転職候補企業の処遇や企業文化、スタッフの満足度など)をできるだけ行った方が良いと感じます。中には、転職先を決めずに退職するようなケースも見たことがあります。これは、かなりリスクが高いので避けた方が良いですね。
企業文化や仕事のやりやすさ、職場環境といった定性的な情報(ブラック企業か、ホワイト企業かという情報)は、なかなか、外部からは、把握することができません。優秀なエージェントの方であれば、ある程度の情報提供が可能だと思いますが、基本的には、同じ業界や対象企業のスタッフの方の情報が有益だと感じます。転職サイトに掲示されている企業情報には、適切な情報開示がなされていると信じたいところですが、実際には、中途採用を実施していない企業の情報が出ていたり、募集が終わった職種が出ていたりすることもありました。あくまでも参考情報として、鵜呑みにしないことですね。
また、企業が中途採用を募集するケースには、業態拡大による社員募集のケース、退職者の補充のためのケース、退職者増大によるケースなどが考えられます。業態拡大の場合は、良いのですが、最後のケースは、退職者が多い理由を良く考える必要があります。それを把握した上で判断しないと、自分自身も同じ目にあう可能性も高まります。
また、逆説的ですが、先に触れた3つの条件が高い水準でバランスされている企業の場合は、退職者が少なく、中途採用自体が行われないケースも少なくありません。逆に、外資などで大幅な人員削減や社内の混乱による退職者続出というケースの企業は、中途採用の募集機会は多いのですが、採用されても自分自身も雇用リスクにさらされる可能性が高くなると思います。
企業にもよると思いますが、一部の外資の場合は、企業の新陳代謝のため、10%程度の職員を毎年、入れ替えるケースもあります。入れ替え戦のようなイメージですね。とは言え、入れ替えられる10%のスタッフは、たまったものではありませんね。そこに上司の恣意的な意向が反映されたりしたら、人間不信に陥りますね。結果的に、常時、中途採用を行っているということになります。
また、新卒の採用の場合は、人事部やHRが主体となりますが、中途採用の場合は、基本的に採用を希望する部門主導で、事務手続きの段階で人事が登場するケースが一般的です。面接では、より具体的な戦術、戦略が求められる印象です。場合によっては、英語での面接のケースもありますので、心構えと準備が必要ですね。
外資の待遇が良いという印象を持つ方もいらっしゃると思いますが、私の認識では、グローバル企業の場合は、NYやロンドン、香港など他の地域で働いている同僚と同じグレードであれば、処遇は同一というものです。日本の賃金や報酬がグローバルの基準に対して、相対的に低いので外資が高く見えるというのが背景のような気がします。もっとも、常に雇用リスクがつきまとい、本国の都合で人員削減などのリスクもありますので、処遇に対して、割引率が高いためプレミアムが加味されていると勝手に解釈したりもしました。
日本企業は、かつては、「終身雇用」、「年功序列」、「企業内労働組合」などの制度を基に、成長をしてきた歴史があります。しかし、経済のグローバル化や労働人口の減少、生産性の低迷など複数の要因から、上記の制度維持が困難になってきています。企業に属するにしても、自立的に活動し、状況によっては、すぐに転職可能なスキルや人的ネットワーク構築の重要性が増してきているように感じています。かつては、一つの企業に定年まで勤務することによるメリットが大きかったのですが、徐々にメリットが減じているように見えています。米国企業の強さの一面に雇用の流動性の高さが指摘されることもあります。もちろん、全てが良いとは思えませんが、日本でも雇用の流動性確保というのは、今後の課題になってくるでしょうね。
ベストの企業に新卒でご縁があって、充実した生活を送れるのが好ましいと思う一方、転職というリセットの可能性も常に意識しておきたいところです。以前に比べて、転職に対する社会の理解も高まってきています。よりよい社会人生活を送るために、自己研鑽と情報収集のアンテナは常に高く立てておきたいものです。
次回は、「マーケット急落時に個人投資家で出来るヘッジ手段の印象」の予定です。
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