今回は、2022年下期の投資戦略に関する私見です。
いつも以上に無責任なコメントとなりますので、くれぐれも、そのつもりでお付き合いください。言わずもがなですが、投資は自己責任でお願いします。
2022年上期の金融マーケットは、難しい展開が続きました。NYダウ9週連続安などもありましたね。主要指標の6月基準の年初来騰落率(半年の騰落率)は、以下の通りです。
NYダウ:▲15.3%
SP500指数:▲20.58%
NASDAQ総合指数:▲29.51%
日経225:▲8.33%
米ドル/円:18.33%(米ドル高/円安)
米国10年債:1.55%→3.02%
昨年からのコロナ禍におけるサプライチェーン分断の影響から、供給不足によるインフレが進行していましたが、それに加えて、年初のロシアのウクライナ侵攻により、原材料価格が上昇、グローバルなインフレが加速、各国の利上げが行われるという悪循環で、株式を初めとしたリスク資産が大きく売られる流れとなりました。
但し、日本人の米国投資(投資信託含む)に関しては、米ドル高/円安が、かなりのバッファーとなりましたね。ものによっては、株安や債券安を米ドル高がカバーして、円建てではプラスのパフォーマンスになったものも見られました。
2022年8月初旬の時点での今後の経済見通しのポイントは、米国のインフレの状況と景気の動向に絞られてきた印象です。インフレに関しては、原油や天然ガス価格は景況感悪化懸念から調整している一方、人手不足による人件費増加は新たな課題として認識されています。また、景況感次第では、利上げペースの鈍化も期待されています。景気悪化すると利上げペースのスローダウン、場合によっては利下げが期待される一方、企業業績にはネガティブな影響が出てくる可能性が高いことが悩ましいですね。また、最近では、台湾を巡る米中対立が先鋭化してきました。地政学リスクとして、ウクライナ問題に加えて、影響が懸念されます。
インフレ、景気、コロナの影響によるサプライチェーン分断、ウクライナの問題、中国景気、台湾を巡る米中対立など悪材料になり得る変数が多いのですが、独断で今年後半の投資戦略を考えてみたいと思います。
7月のFOMCでは、0.75%の利上げが実施されましたが、9月以降は、インフレ次第で、0.5%、0.25%と利上げ幅が小さくなっていく予想も出てきています。場合によっては、2022年後半から2023年前半には利上げ停止、景気動向によっては利下げの可能性も指摘されていますね。利上げは年後半にペースダウン、年明けからは、利上げ停止という前提で考えてみます。仮に楽観的なこのシナリオ通りの展開だと、株式市場は好感すると思います。
【米国債券】・・・▲
米国でインフレが沈静化し、利上げ停止、景気悪化の傾向が見えてくると、債券が買われ、金利低下が期待できます。但し、現在の金利の絶対水準は、現在3%程度であり、為替が円高にふれると、金利収入がすぐに無くなるレベルと言えば言えますね。もちろん、為替ヘッジすれば良いのですが、現在のヘッジコストが2%超の水準ということを考えると、個人的にはあまり妙味は少ないように感じています。4%から5%の金利水準であれば、食指も沸いてくるかもしれませんが。仮に何らかの理由で、米国金利が5%を超える水準まで上昇した際には、検討するかもしれません。
為替は、短期的な金利差の影響を受けやすいので、米金利低下を前提とすると、上期のような円安を期待するのは、やや難しくなりそうです。もちろん、日本の経常収支悪化などの円安要因もありますが、年前半の反動で円高方向に動くこと、円安になりにくい展開も視野に入れておきたいところです。
【米国株式】・・・○
株式に関しては、過去の事例では、米国の利上げ継続局面では本格的な上昇には転じていないようです。
前述の通り、年末から2023年春にかけて、利上げ停止、利下げ観測も出ていますが、その前提だと来年初頭位から、株式が元気になってくるという予想も考えられます。それ以前に、最近、投資家心理自体は、好転しつつある印象を私は感じています。もちろん、前半の下げをリカバリーする道のりは険しいと思いますが、下がった局面では買っていきたいスタンスです。
私見ながら、下値は、今の水準から下落しても、▲20%から▲30%程度というイメージでいます。また、8月から9月は、円高株安になりやすい傾向が過去実績であります。リスク管理をしながら、慎重に対処してゆきたいところです。これからしばらくの間は、下がっても将来の種まきの時期と認識し、買い下がりのスタンスです。
また、セクターに関しては、今年前半、堅調だった資源関連は景気後退の影響を受けやすいので、個人的にはアンダーウエイトに変更するつもりです。政策金利上昇と長期金利低下で逆イールドとなると、金融関連も厳しい環境になりやすいですね。業績の安定しているテクノロジー関連や景気変動の影響を受けにくい医薬品、ディフェンシブの食品、ヘルスケアなどに注目しています。
【日本株式】・・・△
為替が円安になっても、あまり買われない一方、円高になると売られる傾向にありますね。米国同様、小型株やグロース株に底打ち感が出てきていますので、一定割合は、小型グロースを検討したいと思っています。また、業績を伴った高配当株をポートフォリオの中心にしたいと考えています。セクターに関しては、米国同様、インフレ対応のポートフォリオ変更の必要性を感じています。市況産業である鉄鋼、素材、資源系などの銘柄は、ロシア、中東が落ち着く前提でアンダーウエイトを基本線と考えています。商社株も魅力的なのですが、ロシアによるサハリン1、サハリン2による減損の全貌や新会社への参加条件がはっきりしないのが難点ですね。
【日米REIT】・・・△
金利上昇がREITにもマイナスとなりますが、今後の利上げ打ち止めが見えつつある中、検討の余地が出てきているように感じています。但し、景況感悪化を前提とすると、影響を受けやすいオフィスよりも住宅などが投資対象の中心になってくるようにも思います。
【新興国株式、債券】・・・▲
基軸通貨国米国の利上げの影響を一番、受けやすいセクターです。
秋以降に大きく通貨や株式が売られる局面があれば、チャンスがあるかもしれません。
米国市場以上にボラティリティが高いので、リスク管理の重要性が高いのは言うまでもありません。下落した場合は、リバウンドを取りに行くイメージです。
【その他】
◇米国ハイイールド債:景気悪化でかなり信用リスクが高まり、大きく売られる局面があれば、検討の余地があると考えますが、現状では時期尚早の印象です。
◇為替:米ドル/円のボラティリティが上昇しており、先日までの円安トレンドが変化した可能性もあります。外貨建て投資に関しては、慎重なスタンスが好ましく思います。現在は、為替変動の材料を見ても、円高の可能性も円安の可能性も考えられる状況だと認識し ています。決め打ちせずに柔軟に対処したいと思っています。
◇国内債券:「お好みでどうぞ」という印象の投資対象です。為替リスクがなく、低リスク/低リターンのカテゴリーとされていますが、潜在的な財政問題などを考慮すると、信用リスクが低い水準を維持できるのか、懸念がなくはありません。期待リターンが低いので、投資妙味を個人的には感じていません。
基本的な考え方は、年内はまだ、株価下落や低迷があることを前提に、下落したら買い下がりのスタンスです。インデックスファンドの積立などは、引き続き、継続されることが良いと思っています。また、経験者の方は、ご存じの通り、下落相場では、計画的に投資しないと、資金が枯渇することも良くあります。下げの途中で投資資金がなくなるケースです。計画的に投資のタイミング(時期)を決めるのか、下落率で投資するの(▲5%ごとに追加)か、ルールを設けて、投資タイミングを計りたいところです。
身の蓋もありませんが、個別株にこだわるよりも、米国株指数のETFやインデックスファンドを買い下がってゆく方法が一番、勝率が高く、リスクも小さい気もしています。
再三、お伝えしている通り、米国の個別株は、時差がある上、一般的には、英語であってもタイムリーな情報収集が困難です。例えば、保有株が大きく下落した際、追加買付すべきか、損失確定の売りをすべきかの判断基準が見えにくいのがネックですね。時価総額の大きな企業であれば、情報収集もある程度、可能ですけれど。情報収集の難しい小型株などは投資信託やETFでカバーするのが妥当な気がしています。リスク管理も投資信託の方が容易に感じます。
結論としては、2022年後半は、慎重なスタンスをとりながら、米国株を中心に買い下がり、徐々にウエイトを高めてゆくスタンスで望みたいと個人的には思っています。
来週のブログは、お休みします。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。
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