コア・サテライト投資の考え方

 

 本題に入る前に、以前、投稿した「2022年下期の私の勝手な投資戦略」を修正します。

 

 当時、米国の金融政策は、インフレが落ち着くことで、利上げペースがスローダウンする前提で考えていました。楽観的なシナリオでは、年末に利上げ停止、来春には、利下げの可能性もあるというものでしたが、最近のFRBのインフレに対する姿勢が想定以上に強硬であることから、利上げ継続で株式の低迷が続くことを考える必要があるように思い直しました。当時は、10月から11月頃までに買い場が来るイメージでしたが、現在は、より慎重で長期的なスタンスが重要であると感じています。本当の買い場がいつなのか、不透明になってきました。相場下落に耐えられる待機資金の確保やリスク管理が重要な局面ですね。

 

 

それでは、本題です。

 

「コア・サテライト投資」という考え方を国内でも見かけることが多くなりました。

 

マネックス証券のHPによれば、手元の運用資金を「減らしたくないお金(コア)」と「積極的に増やすお金(サテライト)」に分けておくことであると記載されています。

 

コア投資(中核)では、安定的なリターンを目指す一方、サテライト投資(衛星)では超過収益を目指すという考え方です。言い換えると、コアとサテライトをバランス良く持つことで、コストやリスクを抑えつつ、資産前提で市場平均を上回るリターンの確保を目指すアプローチと言って良いと思います。

 

私が以前、勤務していた証券会社でも、コアには、安定した過去実績のあるバランスファンド、サテライトには、テーマ型を含むアクティブファンドという切り口で投資信託を交通整理していました。とは言え、個人的には、「えっ!コアにバランスファンドなの?」という印象を持った記憶があります。

 

私の個人的な考え方は以下の通りです。

 

コア・サテライトの2分類よりも、「コア資産」、「サテライト資産」、「それ以外の資産」という切り口がベターと思っています。

 

 まず、私のイメージする「コア資産」は、減らしたくないお金という位置づけというよりも、相対的にリスクが低めで、わかりやすく、コストが妥当、流動性が高く、長期保有にふさわしい金融商品と捉えています。ということで、株式なども私的にはありと考えます。例えば、米国SP500のインデックスファンドやグローバル株のインデックスファンドなどが候補です。また、個別株でも、上記の条件を満たしたものであれば、コアに該当すると考えています。もちろん、株価水準や投資環境を考慮する必要はありますが、米国個別株で言えば、アップル、マイクロソフト、ビザなど、日本個別株で言えば、東京海上、トヨタ、NTTやKDDI、三菱商事、三井物産などが候補になるでしょうか?

 

株式はリスクが高いという声もありそうですが、積立投資などであれば、時間分散が可能になります。また、投資信託を見る際は、過去実績やコスト面、個別株であれば、配当利回りや株価収益率、企業業績トレンドなども考慮して検討したいところです。それでも、リスクが高く感じるのであれば、投資比率を抑えることで効果的なポートフォリオの構築が可能になると思います。

 

わかりやすさが大事なのは、追加投資や損失確定などの投資判断が可能になるからです。世の中には、有象無象な投資情報があふれていますが、客観的な有益情報が多く、判断材料が多い資産の方が好ましいですね。

 

 前述のバランス型投資信託をコア資産に位置づけることに関しては、私はやや、ネガティブな立場です。そもそも、どんな局面でも安定したリターンを確保できる運用手法は存在しません。実際、米国金利が上昇したことで、債券部分でやられ、株価下落で株式部分もやられ、仮に為替ヘッジをしていれば、高いヘッジコストを負担するだけでなく、米ドル高/円安の恩恵が得られていないファンドもあります。バランスファンドは、一旦、大きく下落すると、基準価額の回復に非常に時間がかかるという特徴があることも肝に銘じておきたいものです。少なくとも、金利上昇局面では、債券の投資比率が高いもの(バランスファンド、債券ファンドなど)は、避けておいた方が無難だと思います。また、バランスファンドに関しては、含み損の場合、追加投資して取得コストを下げた方が良いのか、損失確定の売却をした方が良いのか、一般の方には判断が難しいように思います。プロが運用しているから、いつでも安心というのは、幻想です。

 

 私の考える「サテライト資産」は、追加リターンを目指すもので、必ずしも長期投資前提とは限らないと考えています。投信で言えば、新興国株式、新興国債券や小型株、テーマ型などが該当しますね。また、個別株で言えば、小型成長株、グロース株のカテゴリーなどです。この分野は、マーケットの外部環境で大きくパフォーマンスが変動しますので、タイミングを判断することも大事になりますね。機動性が求められる面も否定できません。仮に魅力的な投資対象がなければ、無理して投資せずに、サテライト部分がゼロでもかまわないと感じています。

 

「それ以外の資産」は、現預金メインで短期の債券も検討しても良いかなと私は考えています。決済性資金や支出予定資金、生活資金などです。もちろん、人それぞれで、リスク許容度が異なり、コア・サテライト・それ以外の比率も異なってきます。「コア」は、多かれ少なかれ、価格変動リスクはあるもの、「それ以外の資産」は価格変動リスクをあまり考えなくても良いものという分類です。

 

 金融マーケットが安定した状態であれば、コア:40%/サテライト:20%/それ以外:40%、位のイメージでしょうか?リスクが高くなっている現状では、ザックリ、40%/0%/60%から、20%/0%/80%という印象です。比率は必ずしも固定ではなく、可変で良いと思います。保守的な方であれば、コア20%/サテライト0%/それ以外80%もあり、ですね。

 

 コア・サテライトという考え方は、投資手法として、万能な訳ではありませんが、ポートフォリオを組んでいくアプローチとしては有効だと感じます。闇雲に色々な資産や有価証券に投資するのではなく、一定の考え方に基づいてリスクレベルを分類し、投資比率を調整することで、リスク管理にも役立つ場面があると思います。また、積立NISAや通常のNISAで、SP500のインデックスファンドに投資している、または、保有しているケースでは、コア・サテライトの考え方で言えば、コア資産を作っている段階だと思います。良い意味での投資経験を積んだ段階で、サテライト資産も検討してみたいものですね。

 

 ベテランの方も、コア・サテライト投資の考え方は参考になると思います。コア資産で高配当株やREITなどを保有し、サテライト資産ではお好みの個別株や投信を保有するようなアプローチですね。個々の有価証券の比率の管理は、手間がかかりますが、コア資産/サテライト資産/その他資産の比率をザックリと把握することは、比較的容易だと思います。基本比率を決めておいて、必要に応じて、各資産のリバランス(比率変更)を行うことで、リスク管理も一定程度、可能になりますね。

 

 今回は、コア・サテライトのお話をしたので、次回は、「私流、高配当株投資(コア資産)」で行きたいと思います。

 

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