早いもので、2022年も11月後半になりました。今年も残すところ、あと僅かです。
今回は、私自身、再確認する意味合いも含めて、税務関連で年内に確認しておきたいことをまとめてみます。あくまでも、税務上の視点であり、他意はありません。
既にご承知のケースが多いかもしれませんが、確認の意味合いでお付き合いください。
《年内に対処しておきたい項目》
◆有価証券の損益通算
◆NISA枠の消化
◆ふるさと納税
◆医療費控除
◆12月決算銘柄配当狙い投資(次回)
◆有価証券の損益通算
今年の金融マーケットは、米国の利上げもあり、難しい展開が続きました。今年の成果は如何だったでしょうか?
うまくいった投資もあれば、残念だった投資もあったかもしれません。
ご存じの通り、有価証券に関する課税は暦年の損益通算が大事なポイントのひとつです。
含み損があったとしてもトータルで実現損益がプラスの場合は、実現益に対して20.315%の課税が課されます。(特定口座の源泉徴収の場合)一方、暦年の損益通算がマイナスの場合は、その年の課税は無く、確定申告をすることで損失の3年間の繰り越しが可能です。要は、含み損益ベースでは無く、実現損益ベースで課税関係が発生することになります。
理想を言えば、今年、確定している実現損益は別として、全体の含み益が大きい状態で年を越したいところです。また、来年、大きく上昇が期待できる株式や投資信託は売却せずに残しておきたいものですね。
個人的には、年末に向け、失敗した投資や期待外れの銘柄は清算のためタイミングを見て損失を確定したいと考えています。また、来年に向けては、成長や上昇が期待できる銘柄で含み損の場合、一旦、売却することで損失確定し、改めて、新規投資を検討したいとも考えています。今年の実現損を確定することで課税対象を小さくすること、下落した水準での再投資によって取得価格を下げることの2つの視点が理由です。株式の場合は、委託手数料の負担が生じますが、税金負担とのバランスで優位になる可能性も考えられます。
例)来年以降、期待できる銘柄の場合です。
取得金額100→時価80(そのまま保有) 含み損▲20→譲渡損益に加算されません
取得金額100→売却した場合80 実現損失▲20→譲渡損益に加算されます
新規投資金額80
実現損失 ▲20が今年の実現益と相殺でき、課税対象額を圧縮できます。
前述の通り、大きな実現益が出た場合、他の銘柄の損失を確定することで、課税対象を小さくすることができ税負担を小さくできます。過去に株価が低い水準で投資した銘柄を売却し、大きな利益が生じたケースなどが該当しますね。含み損の銘柄が無ければ、無い方がもちろん、良いのですが、
通常の投資の場合、利益確定が目標になりますが、年末に近い時期の場合、税務上の視点からは、損益通算を考慮し、如何に上手に損失確定するかが、税負担圧縮と来年に向けて含み益作りのポイントになると思っています。
◆NISA枠の消化
積立NISAを活用されている場合は、この限りではありません。既に積立をされているので、一定の枠の消化ができていると思われますので、
NISAは、現状、最長5年間保有で年間投資枠の上限が120万円です。
全ての枠を使い切る必要は無いと思いますが、枠が残っている方は、枠の消化を検討したいところです。今年は、米国の利上げの影響から金融マーケットが不安定な時期がありました。但し、現状はインフレがやや落ち着きを見せてきており、来年の利上げ停止の期待も高まってきています。私は、自身の相場観から、11月時点では今年のNISA枠を使っていませんが、12月の米国雇用統計や12月14日のFOMCの状況を見て、先進国か新興国の株式インデックスファンドを検討してみたいと思っています。
また、5年前に投資したNISA枠が期限を迎えますので、有無を含めて要確認です。
◆ふるさと納税
ふるさと納税も計画的に対処したいものです。
まだ、ふるさと納税をされていない方も、気持ちと時間の余裕があるタイミングで、少額でも試されることをお勧めします。
各種サイトに、制度、手順や商品の紹介は多くされているので、ここでは省略しますが、私が気づいたポイントをお伝えします。
◇慌てて申し込むと・・・・
一般的に申込みをしてから、10日から2週間程度で返礼品が届きます。慌ててまとめて申し込むと返礼品が集中して来てしまいますので注意が必要です。特に要冷蔵や要冷凍の海産物などの場合は、冷蔵庫のキャパシティの問題も生じます。そういった場合、地域によりますが、翌年以降にも使えるポイントを申し込めるケースもあります。欲しいものが無い場合なども有効ですね。また、返礼品には、季節限定商品(北海道のウニや各地の農産物)などもありますから、このようなケースも把握しておきたいところです。
◇返礼品も課税対象?
返礼品は一時所得の課税対象になります。
返礼品の原価が50万円を超過すると納税義務が生じます。原価率を30%とすると、寄付金額の総額が166万円を超えると、課税対象となり得ます。ふるさと納税に関しては、メリットばかりが強調されていますが、一応、気にしておきたいところです。特に高額納税者の方は、要注意ですね。
◆医療費控除
コロナの感染者が再び増加し、医療機関に受診しにくい昨今ですが、医療費控除も大事な税金対策です。
「医療費控除とは?」
支払った医療費の額がそのまま戻ってくるのではなく、支払った医療費に応じて税金を計算し直すものです。上限は、200万円です。
これは納税者個人が対象となるのではなく、生計を一にする家族の医療費が対象となる控除です。実際にかかった医療費から「10万円か、総所得金額の5%のどちらか少ない額を超えた部分」が対象となります。言い方を変えると課税所得が200万円未満の場合は総所得の5%を超えた部分、200万円以上の場合は、10万円を超えた部分が対象となります。
但し、医療保険などからの保険金は医療費から差し引かれます。例えば、20万円の医療費で、15万円の保険金が支払われた場合は対象金額が5万円となります。保険金と控除のダブル計上はできません。また、セルフメディケーション制度ができて、薬局などでの市販薬も一定の条件はありますが、12,000円以上10万円までの金額が対象になりますので、こちらも気に掛けておきたいところです。
前述の通り、扶養している家族も対象になりますので、現時点で基準の金額に満たない場合でも、年内に必要な治療を受けたりすることで基準金額を超えると控除の対象となります。もちろん、健康であることが一番ですが、今年、支払った医療費の領収書を確認し、医療機関に支払った金額とご自身の基準金額を比較して、年末に向け、必要に応じた受診も検討したいところです。
尚、扶養家族の医療費が10万円超過した場合、ふるさと納税のワンストップ特例(確定申告不要の特例)は使えないようです。寄付金控除としてあわせて、確定申告が必要になるようです。
今回は、税務上の視点での対処方法がテーマでしたが、紙面の都合で12月決算銘柄対象の高配当株ポートフォリオは次回とさせて頂きます。
と、言うことで、
次回は、「12月決算銘柄配当狙い投資」の予定です。
日本株で12月決算銘柄は、3月決算銘柄に次いで対象が多く、高配当銘柄も少なくありません。個人的な視点ですが、投資候補や個別に考えられるリスクを紹介したいと考えています。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
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