2022年金融マーケットレビューと個人的失敗事例

 

今年も残すところ、僅かとなりました。

皆さんは、どのような一年だったでしょうか?

 

こと、金融マーケットに関しては、難しい1年でした。

 

ロシアのウクライナ侵攻から始まり、各国の利上げ、仮想通貨交換業大手FTXの救済買収の頓挫、トドメは日本銀行の緩和修正がありました。足下では、円安トレンドも米ドル/円が130円近辺まで修正されてきています。

 

特に米国FRBの金融引き締め姿勢が米国株式にも影響し、大手ハイテク株にとって厳しい1年となりました。

 

以下に主要指標の2021年末比で2022年11月末の騰落率をまとめてみます。

12月に入ってからの株価急落、円高進行は反映していません。

 

2021年末 2022年11月末 騰落率
SP500 4,515.55 4,080.11 -9.64%
NASDAQ 13,070.70 11,256.81 -13.88%
NYダウ 35,131.86 34,587.46 -1.55%
日経平均 28,791.71 27,968.99 -2.86%
USD/JPY 115.07 137.97 19.90%

 

 

 米国株式指標は金融引き締めの厳しい環境ながら、健闘したようにも見えます。金利上昇に伴い、NASDAQ市場やグロース株は苦戦しましたが、ヘルスケアや生活必需品などのセクターは堅調でした。為替は、10月に一時、151円台まで円安が進行し、年間を通じては、米ドル高円安に振れため、円ベースでの米国株のパフォーマンスはまずまずでした。日本株は、為替の円安効果(輸出企業)の恩恵か、米国株より優位なようにも見えますが、根本的に金融政策が異なりましたもんね。但し、今週の日本銀行の金融政策変更で来年の動向が読みにくくなりました。

 

 

次に公募投信で、残高が多く資金流入の多かった米国株中心のファンドのパフォーマンスを比較してみます。インデックス型とアクティブ型をそれぞれ、2ファンド選んでみました。円ベースでの評価ですから、為替の円安効果が反映されています。

 

2021年末《円) 2022年11月末(円) 騰落率
eMAXIS slim 米国株式 19,204 19,380 0.92%
楽天・全米株式インデックスF 20,094 19,940 -0.77%
AB・米国成長株投信Bコース 49,742 43,232 -13.09%
netWIN (GSAM) 26,772 20,265 -24.31%
USD/JPY 115.07 137.97 19.90%
円建てSP500概算値 519,604 562,933 8.34%

 

 

インデックスファンドは、為替の影響もあり小幅マイナスで済みましたが、例示したアクティブファンドは、該当期間はあまり芳しくありませんでした。例えば「netWIN」は、グロース株に投資をするコンセプトですから、今年のパフォーマンスは、むしろ健闘したようにも感じています。

 

また、株式と債券がともに軟調だったのも、今年の特徴です。

投資信託で言えば、米国債を中心とした外債ファンドの場合、ヘッジがなければ、為替益が発生したため、債券の評価損をカバーできましたが、ヘッジ付きの商品の場合は、ヘッジコストに加え債券の評価損が膨らんだため債券型ファンド、バランスファンドとも厳しいパフォーマンスになりました。

 

日米株式市場とも数ヶ月おきに、上昇下落が発生するベアマーケットラリー(下落局面での反発)が見られ、うまく対処できれば、相応のパフォーマンス獲得ができたかもしれませんね。逆のポジションだと寂しい結果になりますが。

いずれにしても、米国株投資に関しては、円安の恩恵が大きく日本人投資家にとって、為替の恩恵が得られた1年でした。但し、今後、為替が円高に転じた際の影響も考えておく必要を感じています。

 

2023年は、原状、FRBの政策金利上限が5.1%程度と想定され、それを前提とすると、0.75%の利上げ余地があります。仮に0.25%ずつ利上げすると、5月のFOMCまで利上げが続くことになります。来年の株式見通しは、強弱感が対立している印象ですが、利上げ停止までは、本格的なブルマーケット到来は厳しいように感じています。足下ではインフレの動向はもちろんですが、以前よりも景気動向にマーケットの注意が向かっているように感じています。来年前半は、現在のようなやや弱含みな展開を前提に投資戦略で臨みたいと個人的には思っています。また、日本株に冠しては、日本銀行の緩和修正の影響から、金利上昇の可能性を考慮した投資戦略が必要になってきそうです。長短金利差拡大で恩恵を受けやすい金融業界はプラス効果が、住宅ローン金利上昇や借入れ金利上昇懸念から住宅業界や不動産業界などには、向かい風が吹く可能性があると考えています。

もちろん、私の予測が外れると良いのですが、

 

続いて、個人的失敗事例です。

 

■高配当株戦略

以前のブログでもご紹介しましたが、高配当株投資を行う際、決算期が異なる銘柄を上手に売買することで資金効率が良くなります。

 

《高配当株が高値更新し続ける→買いたい銘柄を高値圏で再投資する》

 

今年の日本の株式市場は、商社や鉄鋼などの高配当バリュー株が堅調で、高値更新する銘柄も多くありました。そのため、微益で売却した高配当バリュー株が更に上昇を続け、投資しようとした別の銘柄が高値を更新するような展開が見られました。悪い予感はしたのですが、次の銘柄を高値で買付けたことで、投資後、含み損が膨らむことになりました。

下手くそとしか、言いようがありません。結果論とは言え、当初の銘柄を継続保有していた方が良い結果となりました。

 

また、最近話題の新NISA制度で物色対象に変化が生じてくる可能性を感じています。保有期間の恒久化によって、高配当株や高成長株に対する投資家ニーズが高まるのでは?と感じています。

 

また、半導体関連株式は、上昇も下落も大きいため、深追いするとこれも結構なダメージを負ってしまいました。10月頃からの米国発の半導体関連銘柄の上昇で国内株も賑わいましたが、シリコンサイクルの底は、早くても来年春以降という見通しを甘く見た結果ですね。

 

■短期トレード戦略

 金融機関勤務だと保有期間の制限(承認を得てから1ヶ月保有とか3ヶ月保有など)があったため、良くも悪くも中期投資目線でしたが、今年は短期目線も導入してみました。これがまた、うまくいったりいかなかったり、残念な結果となりました。

 

《短期トレードもカンでは無く、理論的なアプローチが重要》

 

中長期投資は、企業の利益成長を前提に投資を行い、基本的にプラスサムの世界ですが、短期トレードは、需給で価格変動が発生し、見るべきポイントが大きく異なります。

 

今年の発見としては、SNSで発信されている個人投資家の皆さんのスタンスが興味深かったです。対面証券で取引をするような従来型の投資家像と大きく異なる投資手法です。金融仲間から話は聞いていましたが、ネット証券の大口投資家のレベルは、大手証券を凌ぐということを改めて認識しました。小口投資家からスタートして、かなりの大口投資家になった方々の話は、失敗談を含め、実に興味深く、証券会社や運用会社出身者の私にもとても参考になります。但し、自分のスタイルとの相性なども大事であると感じています。株式市場では、従来、金融機関のアナリストやストラテジストの発信力が大きくマーケットに影響を与えていましたが、著名個人投資家の存在感も高まってきている印象ですね。また、多くの投資家の方々は、テクニカル分析重視でトレードしているようです。今年から、私も試行錯誤しながら挑戦を始めてみました。体験談(おそらく、失敗談)を改めて、ブログで紹介したいと思います。

 

■レバレッジ型ブルベア投信、ETF

日米ともレバレッジ型ブルベア商品のラインナップが増加しています。例えば、日経225連動で上昇するとき指数の概ね2倍上昇し、下落するときは約2倍下落するレバレッジ型ブルETF(1570)があります。逆のパターンとして、レバレッジ型ベアETF(1360)もあります。他にも様々なETF、投信があります。

 

《株価下落にこだわり、追加投資するも含み損が膨らむばかり》

 

株式先物や信用取引を利用しなくても、資産下落のヘッジができる点がありがたいのですが、タイミングがとても大事になります。マーケットが変調をきたした際に、速やかにベア(下落で上昇する)に投資し、タイミングを見計らって利益確定するのが理想です。私の場合は、利益確定し損なって含み損になるケースが頻発しました。また、追加投資で取得コストを下げたつもりが、含み損が膨らむ結果に陥りました。自分自身の教訓としては、ナンピンはしない、必要に応じて損失でもポジションをcloseする、ムキになって一方向にベットしない等が反省材料として挙げられます。

 

 

■有価証券の損益通算に関して

年末に近づくと、有価証券の損益通算のための取引が盛んになります。私も損益通算のために含み損の銘柄を売却し、12月決算銘柄に入れ替えた事例(12月の配当を得るため)があります。しかし、今年のように12月に株価が下落すると、別の銘柄に再投資しても、早速、含み損の状態に陥っています。今月の配当の権利付き最終日は12/28なので、時間の制約があるものの、慌てて投資すると、含み損になる確率が上昇する事例ですね。

 

《損益通算のための売却、銘柄入れ替えも計画的に且つ慎重に・・・・》

 

今年は、不測の事態が多かったように感じますが、事前に確定しているスケジュール(FOMCや米国消費者物価指数発表など)に対しては、あらかじめ、ポジションを調整する重要性を再認識しました。サプライズがあった際の準備ですね。100点満点は無理でも、50点位の対応はできたようにも思います。現金ポジションを高めて大きなイベントを迎えたことでダメージを減少できたと感じています。

 

 2023年もマクロ経済の大枠のシナリオを作って、(もちろん微調整を続けながら)個別銘柄や投資信託に落とし込む作業を緻密に継続することを大事にしたいと思っています。

 

年内は今回が最終で、次回は、年明け1/6(金)に「新NISAでの投資戦略」の予定です。

 

当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。

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