先日、米国でSVB(シリコンバレー銀行)の破綻、UBSのクレディスイス買収が報じられました。
リーマンショックの際、1年程度前に「パリバ・ショック」というファンドの解約凍結があり、半年前には、「ベアスターンズの破綻」もありました。信用不安は、一時的に落ち着ても、再発する可能性も注意しておきたいところです。3月のFOMCは、予想通り、0.25%利上げという順当な結果になりました。
前々回、株価レーティングに関するコメントをしましたが、少し、補足です。
あくまでも個人的な印象なのですが、各社のアナリストの方が担当業種の企業分析をされ、株価評価をされています。そもそも論ですが、彼らが他社の企業戦略の評価をするのであれば、まず、「自社の営業戦略や財務戦略を向上させることの優先順位が上なのでは?」という感想を持っています。
組織に属する立場、業種が限定されている立場、業務上の責務の範囲などの背景は十分理解できるのですが、他の会社を評価して改善点や課題点を指摘するなら、まず、「自社の課題や問題点を改善すべきなのでは?」とかねてから感じていました。
意地悪ですね。
日本企業の組織上、難しい点はあると思いますが、低い評価や評価を下げられた企業からは、「何様?」という印象を持たれかねないようにも思います。
さて、本題です。
「含み損銘柄、持っていませんか?」というテーマですが、前提として、株式市場が混乱し、リスクオフになって、全ての銘柄が急落しているような状態は考慮していません。
今回の急落には、該当しませんので、ご了承ください。
簡単な質問から始めてみます。
(質問)
100万円の余裕資金ができ、投資を検討すると考えてください。
既にA株とB株を保有していたと仮定します。ともに100万円が取得価格です。
A株:時価120万円(+20万円の評価益)
B株:時価80万円(-20万円の評価損)
A株とB株に関して、どのような投資をしますか?
(選択肢)
- A株に追加投資する
- B株に追加投資する
- A株、B株、両方に追加投資する
- A株を売却し、売却代金と新規資金でB株に投資する
- B株を売却し、売却代金と新規資金でA株に投資する
(回答)
常に万能な正解はありませんが、基本的に含み益のAに投資することが妥当だと考えます。
従って、5がベストな投資行動で、次点が1で、2と3は微妙な感じ、4は避けた方が良いと思います。基本的に順調にいっている銘柄を残して、うまくいっていない銘柄を売却した方が妥当と言われています。以下に理由を述べますが、ダメな銘柄が回復する可能性と良い銘柄(含み益)の含み益が伸びる可能性を比較すると、後者の方の成功確率が高いように経験上も感じます。
含み益の銘柄は、理由はともあれ、投資する際のシナリオがうまく行っているケースですね。
一方、含み損の場合は、(1ヶ月から6ヶ月程度の保有期間を前提とすると)当初の目論見や見通しに誤りがあったか、想定外のニュースが出たり、予想外に業績が悪化したり、イメージと異なる事象が発生したりしたことが考えられます。その場合、継続保有した方が良いのか、売却した方が良いのか、悩ましいところです。
自分自身の経験や多くの投資家の方の投資行動を踏まえると、含み益銘柄の利益を伸ばした方が良い結果につながるケースが多いように思います。誰しも、見込み違いはある訳ですから、傷が浅く、機会損失が限定されている内に、切り替えた方が好ましく思います。また、「売却するまでは、損ではない」という信念?を持っている方もいらっしゃいますが、機会損失の面、資金効率の面、時価評価では同じ経済効果という面からあまりこの考え方はあまりお勧めできません。税金面で損益通算という点を考慮する必要はありますけれど、
資金が固定してしまって、良い銘柄があっても投資できないことは残念ですね。
得てして、してしまう投資行動に、含み益銘柄と含み損銘柄をセットで売却し損失を相殺することがあります。まとまった資金を確保する必要があれば、この限りではありませんが、あまり良い投資行動とは言えないと思います。可能であれば、含み損銘柄のみ売却し含み益銘柄は継続保有したいところです。もちろん、信用取引の場合は、差金決済が発生するため、この限りではありません。
また、別の投資行動として、含み益銘柄を売却して含み損銘柄をナンピン(追加投資)するケースもあるようです。確かに、取得コストは低くなりますが、含み損銘柄の株数が増加し、取っているリスクも増加します。相場格言にも「下手なナンピン、スカンピン」というものがあり、ダメな銘柄を増やすことで大きなダメージを負ってしまう可能性を指摘しています。結果的に株価が回復することがあっても、あまり妥当な投資行動とは言えないと思いますし、むしろ、前述の通り、含み損銘柄を売却して含み益銘柄に追加投資した方が良い結果につながるケースが多いように感じます
投資信託の場合は、比較的、分散投資がなされているため、保有する口数(投資金額)を増やしたい場合の追加投資(含み損益に関わらず)や含み損状態の積立投資などは投資行動として妥当だと思います。但し、こちらも個別要因で基準価額が下落しているようなものに追加投資をすることは、あまり、お勧めできません。
ここで言う、個別要因とは、特殊なテーマ型投信(旬が過ぎると厳しいケースもあります)だったり、パフォーマンスが振るわない投信(類似のファンドとの比較で)だったり、ファンドマネジャーが今ひとつだったり、投資対象がマクロ経済の視点で投資環境が好ましくないケース(政情不安や通貨安、インフレ進行)などが考えられます。
株式でも投資信託でも同様ですが、冴えないものに長期投資しても、結果は冴えない成果になるケースがほとんどです。見込み違いの事実に納得できたら、作戦の切り替えをする勇気が欲しいですね。(私も含めて)
やや、脱線して、投資対象に関して個人的な意見を述べさせて頂くと、
日本株と米国株を比較した場合、証券税制の面で日本株が優位な面はありますが、基本的には、長期的にも成長が期待できる米国の方が資産形成という投資目的(配当を得るアプローチは別です)には合致すると思っています。人口が多い点、面積が広く資源もある点、政治的に安定している点、イノベーションが期待できる点、企業にも政治家にも間違いに対する修正能力がある点などが理由です。このような背景を持つ国の企業とやや衰退気味の国の企業を比較すると、投資結果の期待値が異なってくるのは明白だと感じています。もちろん、日本企業の中にも株価が10倍以上になった企業がありますが、確率的に考えると、米国企業の方の魅力が高く感じます。もちろん、為替リスクが伴い、情報ソースも限定されるなどのデメリットもありますが、特にインデックスファンドなどの投資信託で投資する場合は、投資対象として優れているのは言うまでもありません。但し、レバレッジ型投信はお勧めしませんと言うか、避けた方が良いと思います。
配当収入を得たい方は、国内企業の場合、一般的に20.315%の源泉税で済みますが、米国企業の場合は、現地で10%課税がされた後に国内で再度、20.315%の税負担が生じます。概算は、額面に対して約70%の金額となります。従って、高配当株を検討する際には、税制の違い(手取り水準)も考慮したいものです。
自分自身の投資行動を振り返ると、定期的に(意識していませんが、月次程度)保有している銘柄のパフォーマンスを確認して、冴えないものと好調なものを峻別しています。その中の冴えない銘柄の場合、その理由を考えてみます。もちろん、理由がわからないことの方が多いのですが、自分の中での売却リストに入れます。日経225が大幅上昇していても上昇しない、指数が下落する際には、もっと下落する、このような銘柄は売却候補としてチェックします。
今回の信用不安によって、株価が大幅下落しましたが、リバウンド局面でも調子の良い銘柄、悪い銘柄が出てくると思います。それらも選別して行きたいと思っています。
次回は、「個人的、金融危機後の投資戦略」の予定です。
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