本題に入る前に最近、気になるファンドを見つけたので、紹介してみたいと思います。
以前のブログで、インデックスファンドの中で組成しにくいカテゴリーがあることを指摘しました。新興国の個別株や特殊な指数などです。それを覆すようなファンドが設定されました。どちらのファンドも本邦初の商品です。
一つ目は、大和アセットマネジメントの「iFreeNEXT インド株インデックス」です。
このファンドは、インドの株価指数であるNIFTY50に連動することを目的にしたファンドです。インドの代表的な株価指数には、30銘柄で構成されるSENSEX指数と50銘柄で構成されるNIFTY50指数があります。こちらのファンドは、後者に連動するものです。信託報酬は、税抜き0.71%ということで、インド株ファンドでは、かなり低いコストです。私のなじみのあるインドのアクティブファンドの信託報酬は、税抜き2.0%ですから。
投資家にとってはありがたい水準です。
今後、登場してくるかもしれませんが、現在、国内で投資できるインド株インデックスファンドは、このファンドだけです。
iFreeNEXT インド株インデックス (daiwa-am.co.jp)
二つ目は、ニッセイアセットマネジメントの「ニッセイSOX指数インデックスファンド (米国半導体株)」です。こちらは、米国の主たる半導体企業30社で構成されるSOX指数に連動することを目的にしたファンドです。信託報酬は税抜き0.165%で、他の先進国株式インデックスファンドの水準と遜色ありませんね。2022年末の構成銘柄を見ると、エヌビディア、AMD、TSMC、インテル、クアルコムなど、代表的な半導体企業がカバーされています。半導体市況が改善し、シリコンサイクルが好転していく段階になってくると注目が集まりそうなファンドですね。
<購入・換金手数料なし>ニッセイSOX指数インデックスファンド(米国半導体株)|投資信託のニッセイアセットマネジメント (nam.co.jp)
さて、本題です。
グロース株とバリュー株には様々な定義があります。
今回は、かなりザックリとしたもので考えて見たいと思います。
グロース株は、成長性の高い企業で株価上昇を期待したい投資対象ですが、配当は無いか、あっても少額です。また、株価の変動が大きいことも特徴として挙げられると思います。大きな値上がり益を獲得するチャンスがあります。
バリュー株は、割安株とも呼ばれ、安定成長の企業で株価上昇よりも安定した配当獲得を優先したい投資対象です。一般的に株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)が、グロース株と比較して低めで、昨今、話題になっている東証のPBR1倍以下の企業に対する改善策に該当するケースも少なくありません。
どちらが良いかというのは、好みやリスク許容度との兼ね合いとは思いますが、まず、財務的な視点で考えてみたいと思います。
グロース株は、基本的に成長ステージにあり、利益を獲得して配当に回すよりも、利益率の高い本業に再投資し、株価上昇によって株主に還元したいという考え方があります。米国のハイテク大手もかつて、成長ステージ初期の段階では配当をしていなかった企業が多かった印象があります。
一方、バリュー株の場合は、安定した利益水準が維持可能であり、本業に対する再投資と共に、配当や自社株買いを通じた株主還元を一定程度、優先する考え方が主流です。もちろん、無配企業(配当なし)も存在します。企業によっては、決算時に配当性向(利益に対する配当の割合)を明示するケースも増加しています。緩やかな株価上昇と配当や自社株買いで株主に還元したいというスタンスですね。
とは言え、外部環境次第では、バリュー株のカテゴリーでも大きな株価上昇になるケースもあります。昨年の海運株や商社株、年末からの金融株などが該当します。前述の東証の改善策によって、財務体質改善の傾向が出てきているのも追い風ですね。
さて、投資家目線では、どうでしょう?
資産形成層の方の場合は、少額の配当を積み重ねるよりも、投資資金を増やすことの優先度が高いという考え方もあり、その場合はグロース株の比率が高めになるかもしれません。但し、グロース株は、上場以降の業績の実績が必ずしも十分ではないため、玉石混淆の傾向があります。株価が10倍になるケースもあれば、1/3になってしまうケースも少なくありません。また、バリュー株以上に投資する銘柄の選別が大事になってきます。情報収集や投資経験などを通じて、投資の期待値を高めたいものです。外れ銘柄にあたっても、大当たりの銘柄に巡り会えば、トータルでは大きく勝てるのもグロース株投資の魅力ですね。個人的には、一点集中投資よりも、複数の銘柄に分散投資した方が負けた際のダメージが限定されると考えています。
バリュー株に関しては、やはり、配当が魅力になると思います。
特に資産家の方にとって、預金金利と比較すると配当利回りは、とても魅力的な水準です。株価が上がらなくても、配当が維持されれば、それで良いというスタンスの方は、業績の安定した銘柄を長期保有することで満足度は維持できると思います。それに加えて、ある程度のトレンドに乗れれば、株価上昇も期待できるのが現在の投資環境だと思います。
最近は、様々な媒体で、高配当株についての紹介を見ることがありますが、基本的には、業績が安定していることや利益に見合った配当かどうか(配当性向で判断できます)などがチェックポイントになると思います。結構、無責任な記事やコメントも見かけますので、ご注意ください。
バリュー株の中には、万年割安株と称される銘柄群もあります。割安には、何らかの理由があり、株価が修正されにくいということでしょうか?配当を楽しみにしていても、無配に転落する可能性も常にあります。ある意味、株価上昇を期待せず、配当を楽しみにしていた場合は残念な結果になりますね。
余談ですが、海運株は業績が好調な高配当株ということで一昨年から株価が上昇しましたが、現在ではコロナによる特需がおさまり、業績も下降気味です。まだ、高配当であることは事実ですが、今後の業績次第では、配当水準も下がり、株価が下落する可能性も考えられ、このようなセクターには注意が必要だと思います。
企業のサイクルは成長ステージから安定ステージ、成熟ステージにシフトしていきます。
投資の観点では、当たり外れがあるものの、初期段階だと大きな株価上昇が期待できる一方、株主還元よりも企業成長が優先されるため、株価上昇しか楽しみが無いとも言えます。外れを引いたら、もちろん、株価下落で残念な結果になります。
一方、ある程度の成熟度になった企業は、企業成長と株主還元のバランスを考える傾向が強く、最近では、株主還元に積極的な企業が大幅に増加してきています。現状の株式市場では、それらが評価され、株価上昇につながっている側面もあります。
私自身を振り返ると、
若い頃は、グロース株中心で、その後、バリュー株のウエイトが大きくなってきました。
やはり、定期的な配当収入の魅力が捨てられません。
とは言いつつも、グロース株とバリュー株をある程度のバランスで保有しているのが現状です。証券会社に勤務していた頃、大きく上昇した銘柄を見ることも多くありました。御利益に預かりたいという訳ではありませんが、夢を見たい欲望があり、グロース株中心に投資した記憶があります。もっとも、特に成功した記憶はありませんが、
小型のグロース株などは、場合によっては、株価が数分の一になることもあり、業績だけでなく、経営者の姿勢や評価なども重要になってくると思います。外部からは、把握しにくい面ですが、IR資料や経営者のインタビューなどを通じて、一端は推測できると思います。
最近では、バリュー株:グロース株の保有比率は、7:3程度が基本なウエイトになっています。また、3月や6月といった決算時期の配当権利取りを意識して、ポジションの変更をしています。
日本株の場合は、ある程度、大型株≒バリュー株、小型株≒グロース株という関係がありますが、米国株の場合は、大手ハイテク株など大型株でもグロースの色合いが強く、投資戦略が異なる気がしますね。リスクを冒して、情報の少ない米国小型株に投資することと、アップルやマイクロソフト、エヌビディアなどの大型株に投資することのリスクリターンを考えると、個人的には、現状、後者の方が優位に感じています。
仮に海外の小型株に投資するのであれば、実績のある投資信託経由の方が良いと感じています。ファンドのコンセプトを十分、理解することが前提ですけれど。
次回は、「S&P495、ご存じですか?」の予定です。
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