投資戦略~ダウの犬~

 

今回は、必殺投資戦略、「ダウの犬」を紹介します。

全然、必殺ではありませんが。

米国で知られている投資戦略のひとつです。

 

至極、簡単な手法です。

コンセプトは、高配当バリュー株(割安株)のリバウンド狙いと言ったところでしょうか?

 

 

【ダウの犬】

 

 NYダウは、30銘柄で構成されていますが、その中で高配当株ベスト10を選び、均一投資を年初に行い、年末に売却、新年に新たな高配当株10銘柄に投資し直すというものです。

配当は、再投資するのが基本ですが、投資額によっては難しいかもしれません。

 

 何故、犬かというと、米語のスラングで、「犬はくだらない、ダメなもの」とされており、NYダウ構成銘柄の中でもあまり、人気が無く、高配当になっている銘柄を投資対象とすることから来ているようです。その低位株のリバウンド、株価修正を期待して投資する考え方です。

 

「ダウの犬戦略」は、基本的にバリュー株投資になりますから、どちらかというと投資環境が今ひとつの時、例えば、景気悪化懸念や金融引き締めなど、ダウンサイドが小さい銘柄が好まれる局面で成果が上がりやすい印象です。また、単なる無作為の割安高配当株ではなく、NYダウに選ばれている銘柄がユニバース(母集団)になっていることがポイントですね。

 

ご存じの通り、NYダウは入れ替えがあるとは言え、米国を代表する30銘柄ですから、注目度も高く、企業の安定感も少なくとも、一定程度あります。

 

過去の実績を見ると、2000年から2018年の「ダウの犬」の年平均リターンは、約9%、「NYダウ」は7.5%程度とのことですから、環境によっては、検討の余地があるかもしれません。

 

「S&P500指数」の過去50年平均リターンは、9.7%程度で超過していますから、S&P500のインデックスファンドに投資すれば良いとも言えます。とは言え、バリュー株優位の局面や景気後退局面での棲み分けもあるかもしれません。

 

また、配当を再投資せずに、米国株の高配当を得るという目的にも合致するかもしれませんね。但し、米国企業の配当は、現地で10%税金が徴収され、残りに日本国内で20.315%が課税されますから、日本人投資家の手取りでは、額面の約70%程度になります。

 

2023年年初の「ダウの犬」銘柄は以下の通りです。(ティッカーと社名です)

 

・VZ/ベライゾン・コミュニケーションズ

・DOW/ダウ

・INTC/インテル

・WBA/ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス

・MMM/3M

・IBM/IBM

・CVX/シェブロン

・CSCO/シスコシステムズ

・JPM/JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー

・AMGN/アムジェン

 

 

【ダウの子犬】

 

また、「ダウの子犬」という投資戦略もあります。

 

「ダウの犬」の10銘柄の中から、株価の低い5銘柄を抜粋して均等投資するものです。

 

「ダウの犬戦略」と同様に年始に投資し、年末にリバランス(見直し)する手法です。

 

2000年から2018年の平均リターンは、約10%と「ダウの犬」戦略を超過しているようです。高配当低位株の中期のリバウンド狙いという印象ですね。こちらも、「NYダウ構成銘柄の中で・・」とう大前提があります。

 

 

【日本版ダウの犬】

 

日本株に応用はできないでしょうか?

 

国内にも「TOPIXコア30」という指数があり、同様の手法が可能です。

 

コア30の中で高配当ベスト10に年初に均等投資、年末にリバランスという手法をとると、パフォーマンス自体、TOPIXを超過しているようです。

更に、応用編として、上位10銘柄では無く、上位5銘柄に投資すると、2007年から2021年に期間では、10銘柄のポートフォリオを更に超過したパフォーマンスになっています。

 

コア30の構成銘柄は、日経225採用銘柄以上に日本を代表する銘柄の存在感が高く、個別株投資でも高配当株として人気がある印象です。

 

 

因みに2023年1月時点では以下の通りです。(尚、当時の配当利回りも表記しました)

ソフトバンク       5.75%

みずほFG            4.68%

武田薬品工業       4.42%

三井住友FG         4.38%

本田技研工業       3.89%

三菱UFJ              3.68%

東京エレクトロン3.64%

三菱商事              3.59%

東京海上HD       3.55%

伊藤忠商事           3.31%

 

 

「TOPIXコア30」上位10銘柄に関しては、やや金融セクターが多めの印象です。

 

10銘柄投資にこだわらず、この中から業種を分散して、3銘柄から4銘柄でポートフォリオを組んでも良さそうです。

 

 

 今回、紹介した戦略は、日米とも株価指数に採用されている優良株の中から高配当株を選び、場合によっては、更に低株価の銘柄を選ぶことで中期的なリバウンドを狙うというコンセプトです。もちろん、ハイテク株やグロース株中心の偏った相場展開では期待に沿うパフォーマンスにならない可能性もあります。高配当バリュー株投資をする場合において、ひとつのアプローチや考え方になるかもしれません。

 

繰り返しになりますが、あくまでも、NYダウやTOPIXコア30の中から高配当株をピックアップするというのがコンセプトです。

 

言わずもがなですが、投資は自己責任になりますので、念のため、宜しくお願いします。

 

次回は、「逆指し値の使い方」の予定です。

 

 

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