中東情勢の緊迫化、米国長期金利上昇、対中半導体規制などから、金融マーケットは、不安定な局面が続きます。
今回は、それらを踏まえ、改めて、意識したい投資格言についてコメントしたいと思います。
「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」
古くからある投資格言です。
戦争は、古今東西、悲しい事象ではありますが、遠方の戦争の場合、復興需要などから株式市場に対してプラスに働くことが多いという見方です。一方、近くの戦争は、戦線拡大で自国に悪影響が出る可能性もあり、株式が下落するケースが多いと解釈されています。
しかしながら、戦争の影響度合いも時代ともに変わってきました。今回の中東の紛争も、悲観的なシナリオだと、戦線が複数国に拡大するリスクも考えられます。なにぶん、宗教や民族が複雑に関係する背景から、合理的な意思決定がなされるとは限らないのが切ないところです。特に、舞台が原油産出国の多い地域なので、紛争が拡大すると、原油価格がより上昇してくることも念頭に置く必要があるかもしれません。
ただでさえ、基軸通貨国、米国の利上げが継続し、グローバルで長期金利も上昇している中での紛争です。仮に原油価格が上昇すると、米長期金利も更に上昇する懸念があります。金利上昇に弱いグロース株が軟調になってくると、日本株への悪影響も考えられます。また、紛争が長期化すると、原油だけでなく、様々な資源価格が上昇し、インフレの再燃もあり得ます。
また、過去と比べて、世界中の金融市場は連動性が高くなっています。遠くの戦争であっても、様々な経路を通じて、遠方の金融市場にも影響が及ぶ可能性が考えられます。
金利上昇にも関わらず、ゴールド(金)価格が上昇しています。地政学リスクが高まると買われる傾向がある資産ですが、投資家視線では、リスク回避スタンスから債券や株式からゴールドに資金が流れているようにも感じます。
今後の市場の反応やリスク許容度を見るにあたり、米国長期金利、原油価格、ゴールド価格、VIX指数などの値動きを、随時、確認しておきたいところです。
戦線が拡大した場合、マーケットがどんな反応を示すのか、それが長期化する可能性はどうか、紛争地域の広がりの可能性はどうか、などにも留意が必要かと思います。
また、有事発生の際、ドル買いなのか、リスクオフの円高なのか、質への逃避で米国債買いが生じるのか、どのような動きになるのか、注目です。正直、予想がつきません。
何事もないのが一番ですけれど。
「落ちてくるナイフをつかむな」
暴落時は、株価が下落し、投資のチャンスと捉えることもできます。
しかし、魅力的な銘柄でも底値がどこかは、事前にはわかりません。
安いと思って投資しても更に下落することも多々あります。
この格言は、底を確認してから投資すべきであると言う教えです。
投資信託の長期積立などは、この限りではないと思いますが、基本的にこの考え方に同意します。
今回の株価調整は、米国長期金利上昇、景気後退懸念が背景ですがそれに中東紛争が加わりました。
仮に状況が悪化した場合、どのような展開になるか、予想が難しい局面です。無理な投資行動を取っても、ギャンブル性が高いように感じます。
確かに、運良く、大きな下落が底値となって逆張りが功を奏することはあります。
但し、大負けの可能性を秘めていることも心に銘じたいところです。
「休むも相場」
ナイフの投資格言と関連します。金融マーケットは常に存在します。これは、今日、取引しなくても、明日以降、いつでも取引することは可能という意味合いです。
この格言は、投資戦略がマーケットとうまく合わない時や市場が混沌としている時は、無理をせず、静観すべしという教えです。
負け戦の確率が高い局面で参戦するよりも、勝ち戦の確率が高い局面で参戦した方がベターですね。
「頭と尻尾はくれてやれ」という格言もあります。
最安値で投資して、最高値で売却することは、理想ですが現実的ではありません。
実際、ある程度、霧が晴れた段階で投資しても、遅くないことが多いと感じます。
一定のキャッシュポジションを確保した上で、打診で投資する戦術はありかと思いますが、全力投球は、避けて置きたいところです。
本当のチャンスがいつ来るか、わかりませんからね。
もちろん、長期の積立投資は、この限りではありません。
今回のブログは、自分自身に言い聞かせる意味合いもありました。
早々に中東地域に平和が訪れることを祈念します。
次回は、「含み損銘柄の損益通算」の予定です。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。
内容、ご相談に関しましては、株式会社 Noble principleまでお問い合わせください。
尚、HP下部にInstagramのリンクを用意させて頂きました。
基本的に毎日、日米の金融マーケットに関する投稿、不定期で投資やライフプランに関する投稿をしています。是非、ご覧ください。