最近、金価格(ゴールド価格)が上昇傾向です。
XAU/USD リアルタイムチャート – Investing.com
以前もゴールドに関する投稿をしましたが、今回も直近の動向についてコメントしてみます。
まずは、ゴールドの資産としての特徴を改めてピックアップします。
◇産出量が限定され、資産性の高いコモディティである
◇貨幣の代替資産としての存在感もある
◇インフレに強いとされている
◇リスクオフ(株価急落や地政学リスク拡大など)の局面で買われやすい
◇中国やインドで、ニーズが高い
◇中央銀行の外貨準備高の一部が投資されている
◇株式や債券など伝統的資産との相関が小さい
◇現物投資、ETF投資、投信、金鉱株など様々な投資手法がある
◆利息がつかないため、金利上昇に弱いとされている
◆価格変動に理論的な裏付けが乏しく、需給で変動する
◆基本的にゴールドは、米ドルで取引される
現在のゴールド価格上昇は、米金利が上昇しているものの、中東情勢の地政学リスク拡大やロシア、中国などとの政治的分断などから、投資ニーズが拡大しているものと考えられます。
過去を見ると、米ドルの値動きと逆相関(米ドルが売られている時に上昇しやすい)、金利上昇局面では軟調な値動きになりやすいというような特徴がありましたが、現在は、それらと逆の値動きになっています。
項目ごとに一言コメントをしてみます。
◇産出量が限定され、資産性の高いコモディティである
昔から、グローバルで認められてきた資産です。かつては、金本位制という貨幣制度もありました。また、産出量に限りがあるため、需給で価格が動きやすい特徴があります。
◇貨幣の代替資産としての存在感もある
前述の金本位制に関連しますが、グローバルに存在し、価値が共有されていることから、通貨不安などの際にも、買われやすい特徴があります。
◇インフレに強いとされている
インフレは、貨幣価値が落ちることですから、相対的にゴールドの価値が上昇します。
但し、金利がつかないことから、インフレに伴う金利上昇がネガティブに働く面もあります。
◇リスクオフ(株価急落や地政学リスク拡大など)の局面で買われやすい
特に紛争や戦争と言った地政学リスクが拡大する際には、買われやすい特徴があります。
各国の通貨よりも普遍性が認められていることが背景と思われます。
◇中国やインドで、ニーズが高い
中国やインドでは、ゴールドの価値(宝飾品など)が評価されており、実需が継続しているようです。
◇中央銀行の外貨準備高の一部が投資されている
外貨準備の投資対象は、米国国債がメインとされてきましたが、各国の政治的分断などから、米国国債に投資するリスクも考えられ、ゴールドに対する需要が増加してきているようです。
◇株式や債券など伝統的資産との相関が小さい
ゴールドの価格変動は、株式や債券と異なる動きになることが多く、統計的に相関が小さいことが知られています。そのため、分散投資の一部をゴールドにすることで、リスク・リターンが向上します。(加重平均リターンを下げずに、ボラティリティを下げることができるという意味合いです)
◇現物投資、ETF投資、投信、金鉱株など様々な投資手法がある
個人投資家がゴールドに投資する場合、現物、有価証券などの手法があります。留意点としては、現物と有価証券の場合と税制が異なるため、現物を売却する場合は、高い税率が適用されることもあります。(適用される所得が複数あり、複雑です)
源泉分離課税の有価証券、投信やETFの方が、税制面では簡潔とも言えます。
投信やETFは、仕組みが複雑ですが、基本的にゴールド価格に連動します。
現物投資の場合は、保管の手間や盗難リスクが避けられませんね。
また、金鉱株(日本株だと住友金属鉱山など)に投資するアプローチもあります。
但し、株式なので、必ずしも、ゴールド価格に連動せず、独特の値動きになることは、念頭に入れておきたいところです。
最近は、あまり目にしませんが、以前は、純金積立などの手法もありました。
◆利息がつかないため、金利上昇に弱いとされている
前述の通り、ゴールドは、普遍的な資産である一方、金利がありません。
インカムゲインが無いため、価格が低迷している時には、有事の際の保険的な意味合いしか、メリットがありません。
◆価格変動に理論的な裏付けが乏しく、需給で変動する
株式や債券価格の場合、一応の理論的な評価がありますが、(必ずしも常に正しいとは言えませんが)ゴールドの場合は、インカムが無いため、評価が困難です。結果として、買いたい投資家と売りたい投資家の需給で価格が決まっていきます。言い方を変えると、需給が崩れると、価格の長期低迷のリスクもあります。
◆基本的にゴールドは、米ドル建てで取引される
国内の金価格も存在しますが、基本的には、米ドルでの取引に為替を勘案したものが国内金価格になります。従って、円安傾向の場合は、金価格が変動しなくても国内金価格の上昇要因となり、円高傾向の場合は、下落傾向となります。
このような特徴を持つゴールド投資ですが、古くから資産の一部を金で保有すると良いと言われてきました。伝統的資産との相関の話は別としても、有事の際に輝きを増すということや国の信用不安の時でも普遍性があるということが、背景と考えられます。
資産運用会社の分散投資のバランスファンドのアロケーション(資産配分)などでは、ゴールドは10%程度を占めるケースがあります。また、最近、日経新聞に掲載されていた方の見解では、株式とゴールドを50%ずつ保有するのが望ましいというものもありました。
グローバルで景気が良く、インフレも沈静化、株価上昇、国際紛争も無いような平和な時代だと、皮肉なものですが、ゴールドの需要は小さくなるように思います。言い方を変えると、ゴールド価格は低迷しやすくなります。金融マーケットだけで無く、様々なリスクが高い局面では、需要が高くなる傾向がありますね。
地政学リスクの高まり、インフレ傾向、各国の政治的分断、各国中央銀行の外貨準備などから、今後もゴールド投資の需要は継続しそうです。もちろん、必ず、値上がりするという訳にはいきませんが、なかなか、下がりにくい環境になってきているように感じています。
いつもながら、投資は自己責任となりますので、ご理解の程、宜しくお願いします。
次回は、「そろそろ5月。Sell In May?」の予定です。
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