今回も難しいテーマを選んでしまいました。
「ナンピン」というのは、株式や投資信託が下落した際、追加投資をして、購入単価を下げることを言います。話を単純化すると、当初100で投資した資産が50に下落したとき、追加投資を行います。同一単位を投資した場合、
(100+50)/2=75
ということで、平均単価が75に下がります。
さて、この投資行動は妥当でしょうか?
結果は別として、必ずしも正攻法とは言えないと思います。(例外は後程)
有効なケースもあるところが、難しいところです。
株価が戻れば、もちろん、ハッピーなのですが、下落が続くと、傷が深くなっていきます。
残酷な言い方をすれば、理由はともあれ、失敗した投資の資産額を更に増やしたことになります。下落トレンドの場合、どの水準が底であるか、判断が難しいです。下落が続いた場合、ナンピンを繰り返すのか、大きな損失確定をするのかを迫られることになります。
最近では、NTT(9432)の下落が話題になっているようですね。
NTT法改正や業績見通しが期待に届かなかったことなどが売り材料のようです。
教科書的な立場で、ナンピンを検討する水準を考えると、株価下落が落ち着いた水準、若干でも上昇機運が出てきた水準、やや専門的ですが、チャートの短期線(5日移動平均や25日移動平均線)が横ばいから上昇に転じる水準などが考えられます。
下落の真っ最中に買付けするのは、底が見えない故、危険性が伴うように思います。
ナンピンの是非は、「その銘柄をフレッシュな視点で投資したい(ナンピンではなく)と思うかどうか?」が判断基準になるとも言われていますね。場合によっては、一旦、損失確定をした後に、再度、投資するという戦術も考えられます。少なくとも、当初の投資金額が増加することはありません。
証券会社のディーラー(自己売買部門)の勤務経験のある知人と話した際、当時、ナンピンは基本的に禁止だったそうです。逆にポジションがうまくいった場合の追加投資(買い増し)は、OKとのことでした。端的に言えば、失敗したポジションを増やすのは、傷を深くする可能性を高めるだけであり、成功したポジションを増やすのは、利益を伸ばせる可能性が高くなるという背景であると理解しています。
確かに。納得できる部分がありますね。
ナンピンに関しても、ある程度、計画的に実行するという考え方はあります。
当初の買い付けを投資総額の30%程度に抑え、一定の下落に応じて、30%ずつ追加投資を行う、但し、投資総額を決めておいて、それを超過しないようにする。また、損失確定のラインもあらかじめ、イメージしておくことなどが考えられます。投資総額を守ることが大事だと思います。
投資信託で全世界株式や米国株式などに投資するケースはどうでしょう?
積み立てをしていると、結果的にナンピンになるケースもあると思います。
結論としては、個人的には、「あり」だと思います。
幅広い銘柄に分散投資しているケースでは、景気循環や金融環境で下落することもあります。特にマクロ(経済全体)の影響で下げている場合は、外部環境の好転で基準価額も回復することが期待できると思います。リーマンショックの時も、時間がかかりましたが、回復しました。こちらも、投資総額をイメージしておきたいものです。
個別株の場合は、ケースバイケースかと思います。
ミクロ(企業業績など)の影響で下落している場合、株価の回復が難しいことも少なくありません。また、損切り(損失確定)のブログでも紹介しましたが、新規上昇株式の高値や材料株の最高値などの場合は、株価の回復が難しいことも少なくなく、この場合は、損切りが優先されると個人的には考えます。
優良株で特に悪材料が無く、全体相場が下落している影響で下がっている場合は、ナンピンの検討もありかと思います。但し、前述の通り、投資総額やどの水準でナンピンするのか、という事前の検討は重要ですね。一方、不祥事や業績悪化による株価下落の場合は、より慎重な検討が大事になります。
私の失敗談ですが、ずいぶん前のことになります。
中国本土の株式が活況で、その指数に連動するETFに投資しました。
間が悪く、その後、急落が続き、みるみる含み損が拡大しました。株価回復を期待した私は、無計画にナンピンを繰り返しました。結果、結構な投資総額になってしまいました。しかし、含み損は減るどころか、増加する一方です。
ついには、ナンピンする余力も尽き、見ているだけ状態となりました。
最終的には、損失が回復すること無く、他の銘柄とあわせ切りして現金化しましたね。
事前に投資総額を決めていなかったこと、ナンピンの水準も十分、意識していなかったこと、損切りの水準も考えずに投資したことなどが苦い教訓となりました。
「下手なナンピン、スカンピン」という投資格言があります。
また、「見切り千両、損切り万両」という相場格言もありますね。
含み損の状態が続くことで、貴重な投資資金が寝てしまうことや想定外の損失拡大を防ぐという意味合いと理解しています。
なかなか、難しいですが、一定水準の含み損まで、損切りもナンピンもせずに我慢して保有するという選択肢もあります。これは、投資総額を大きくしないという趣旨と損切りの水準までは忍耐という意味合いがあります。
ナンピンに関しても、色々な見方があります。あくまでも私見であるとご承知ください。
含み損が生じた際に、損切り、ナンピン、我慢で保有という選択肢がありますが、いずれにしても、リスク管理は重要なので、厳しい局面でも適切な対応をしたいものです。
次回は、「金利上昇と不動産の関係」の予定です。
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