Sell In Mayの続きの話

 

今回は、「Sell In Mayの続きの話」です。

 

 端的に言えば、「5月に売るだけでは無く、9月まで戻ってくるな」という投資アノマリーについてです。アノマリーとは、必ずしも合理的な理由付けができないものの、過去の経験から語り継がれているものです。

 

 米国では夏場の株式のパフォーマンスが振るわないことが多いため、一旦、5月の高値で売却し、株価が低迷していることの多い9月後半に再投資するのが効率的であるという趣旨の投資格言です。

 

英語表記では、以下の通りとなります。

 

「Sell in May, and go away, don’t come back until St Leger day.」

 

因みに、「St Leger day」とは、英国で毎年9月の第2土曜日に開催される競馬レースの日のことです。そろそろ、その時期になりますね。

 

このアノマリーに関して、様々な検証が行われていますが、概ね、9月の下落率が高く、10月以降は株価上昇の傾向にあると指摘されています。

もっとも、過去には、リーマンショックやブラックマンデーが発生した月なので、この影響が大きいとも考えられます。

 

アノマリー自体、プロの投資家の中では特に重視されていない傾向があるように感じます。

が、多くの投資家が意識することで、実際にアノマリーに近い事象が起きる可能性が高まるようい思います。今年は、特に政治、経済の重要イベントがあるため、秋口に株式相場が不安定になり、その傾向が強くなるかもしれませんね。

 

 2024年は、11月に米大統領選挙が控え、9月は、FOMCでの利下げ期待が高まっています。あわせて、景気動向も重要になってきています。今週もISM製造業景況指数や製造業PMIが下振れし、半導体株中心に株価が急落した場面がありました。金曜日には、雇用統計が控えます。

現状、利下げは既に実施されることが前提となっており、その上で足下の景気がほどほどの調整で済むのかどうか?というのが投資家の注目点になってきています。

 

 仮に、9月のFOMCで0.5%の利下げが行われた場合、必ずしも、ポジティブに捉えられる訳では無く、「そんなに景気が悪いとFRBが思っているのか?」という視点でネガティブな反応の投資家も出てくるかもしれません。また、0.25%利下げの場合は、0.5%利下げを前提に考えていた投資家からやはり、ネガティブな反応がでる可能性も否定できませんね。

パウエル議長のFOMC後のコメントが、通常よりも、より重視されると思います。

 

8月は、日本を始め米国を含め、グローバルで株価に大きな価格変動がありました。

9月もスタートに関しては、やや不安定な展開になりつつあります。

 

 市場見通しに関して、悲観論も目にすることもありますが、現状、少なくとも、企業の信用問題(クレジット)に特段の変化は無いように感じます。潜在的には、米国の商業不動産の問題や中東、ウクライナロシアなどの地政学リスク、米中経済対立など、不安材料は尽きませんが、多かれ少なかれ、常にリスク要因は存在しています。

 

因みに、9月以降の重要イベントのスケジュールは以下の通りです。

 

9月17日・18日:米FOMC

9月19日・20日:日銀金融政策決定会合

9月27日:自民党総裁選挙

10月30日・31日:日銀金融政策決定会合

11月5日:米大統領選挙

11月6日・7日:米FOMC

 

 9月の日米金融政策決定会合が終わるまでは、不安心理から不安定な展開になるかもしれません。毎週、発表になる米経済指標に一喜一憂する流れですね。

 可能性は低いとは思いますが、日本銀行の再利上げがあると、更に混乱する可能性が考えられます。大統領選挙も民主、共和候補とも接戦の模様で結果が出るまで趨勢は、判断できない状況です。

 

8月の急落で、投資家は、一定のダメージを負い、慎重なスタンスになっているかもしれません。

初秋は、株式のポートフォリオを組替えするのに良いタイミングとも感じます。

来るべき波乱に備え、慎重に対処したいですね。

 

来週は、「投資格言 国策は買い」の予定です。

 

 

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