今回は、新興国投資の債券編についてコメントします。
一般的に、新興国には金利の高い国が多く、債券投資でも、魅力的に見えます。
例えば、最近の政策金利の水準で言っても、
◆ブラジル:10.75%
◆トルコ:50.0%
◆南アフリカ:8.0%
◆インドネシア:6.0%
◆インド:6.5%
と先進国の金利と比較して、高金利です。
実際の市場金利は、期間にもよりますが、これよりも高いケースが多いと思われます。
金利水準だけを見ると、非常に魅力的に見えるのですが、海外に投資する以上、為替リスクが避けられません。特に高金利通貨の場合、インフレ率も高く、実質金利(名目金利からインフレ率を引いたもの)がマイナスになっているケースも少なくありません。
一応、外債投資のリスクとしては、以下の項目が考えられます。
◆発行体リスク:信用格付けなどで判断できます
◆為替リスク:現地通貨安になると、為替差損が発生します
◆金利上昇リスク:インフレなどで金利上昇する場合や信用力が落ちて金利上昇する場合があります。
一般的に、どの国でもインフレは通貨の減価要因(通貨安要因)となります。
投資に関する話を簡略化すると、名目金利が10%の場合、10%のインカムは確保できます。(発行体が破綻しなければ)しかし、インフレ率が20%の場合、為替が20%程度、減価する(下落する)可能性が出てきます。結果として、10%のクーポンは確保できますが、元金が20%減価する(為替差損が発生する)という意味合いですね。単純に2国間のインフレ率の相違分の為替が減価する訳ではありませんが、高インフレ率の国への債券投資は、為替差損のリスクが無視できません。
投資信託や外債投資を通じて、金融機関で上記国の債券に投資することが可能です。
私の知る限りでも、過去、通貨の大幅下落で、辛い目にあった投資家の方は多い印象です。
仮に、金利上昇局面の場合は、金利が上昇することで、債券価格が下落します。条件によっては、為替と債券価格のダブルでのマイナスの影響も考えられます。(もちろん、両方、プラスでハッピーの場合もあります)従って、投資するタイミングがより重要になってきます。
また、新興国の金利が高い理由としては、
信用力が先進国と比べて落ちるため(信用格付けが低いため)、高いクーポンでないと資金調達が難しいという面やインフレ気味なことが多いので、インフレ抑制のために意図的に金利を高くしている面などが考えられます。多くの新興国はかつて、強烈なインフレで苦しんだ過去があるため、予防的に金利を高めに維持して、インフレに対処しているとも言えるかもしれません。例えば、ブラジルでは、1999年に42%の政策金利だったことがあります。
当時は、金利が高すぎて、金融機関の融資が機能不全になっていた話(お金を借りて、住宅を買うことや自動車を買うことが困難だったとも言えます)や高インフレのため、給与が週割りで支払われた話、富裕層は自国通貨を信用せずに、米ドルにシフトしてい話などがあります。
前回のブログでも紹介しましたが、基軸通貨国(米国)の金融政策の影響を新興国は大きく受けます。米国が利上げスタンスの場合、新興国も金利を上げないと、通貨安になるリスクが高まります。(2国間の金利差の関係で)通貨安になると、輸入物価が上昇し、インフレが加速する一面もあります。したがって、仮に景気が悪くても利上げを余儀なくされるケースも少なくありません。実際に新興国の通貨危機は、米国の利上げ局面で発生したことが多い印象です。
逆に米国が利下げ局面に入ると、新興国投資には、基本的に追い風が吹きます。
金利差拡大で利下げする余地が生まれます。また、金利を引き下げなければ、金利差という面だけで言えば、通貨高要因になりますね。
株式にせよ、債券にせよ、米国が利下げトレンドに入ると、新興国にはプラス面が大きくなると思います。もちろん、中国などは、米中対立があったり、ロシアはウクライナ問題があったりと、国際情勢や経済情勢も不透明ですが、投資対象として継続監視したいと思っています。
次回は、「サラリーマン(給与所得者)ができる税金対策」の予定です。
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