今回は、サラリーマンの税金対策についてコメントします。
知人の話や自分自身の経験を交えて、私見を述べたいと思います。
給与所得者(サラリーマン)にできる税金対策は限定されています。
逆に言えば、対策できることをするか、しないかで、将来的に大きな相違が生じることになりますね。各制度の概要を把握することは、もちろん大事ですが、制度の背景やデメリットも十分、理解しておきたいところです。当初の手続きは煩雑な面もありますけれど、将来的なベネフィットを考えると些細なことだと感じます。
知り合いの方々と話をすると、「面倒だからしていない」という声も聞こえて、個人の判断とは言え、やや残念な気がします。
それでは、合法的で主要な対策を紹介したいと思います。これ以外にも対策もありますが、紙面の都合で割愛します。
◆NISA(少額投資非課税制度)
◆iDeCo(確定拠出年金)
◆ふるさと納税
◆住宅ローン控除
◆NISA(少額投資非課税制度)
2024年から制度が変更になり、対象期間や投資限度額が拡大されました。
一定の有価証券投資に対して、インカムゲイン(配当など)やキャピタルゲイン(値上がり益)が非課税になる制度です。
保有期間は無期限に延長され、投資限度額もつみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠で年間240万円、合計年間360万円に拡大されました。あわせて、非課税保有期間限度額は、両方合わせて、1800万円となりました。バカにできない金額になりました。
投資対象は、株式や投資信託、ETFなどとなりますが、預金や債券(国債、社債)は対象外です。但し、債券に投資する投資信託は、NISAの対象となります。基本的に価格変動のある商品が対象です。因みに債券投資であっても、あらかじめ決められたクーポン(利息)は確保できますが、市場金利次第で価格変動は避けられません。従って、債券のファンドでも価格変動は株式に比べて、小さいながら存在します。
世間で人気なのは、オルカンと呼ばれる「全世界株式インデックスファンド」や「S&P500インデックスファンド」などです。長期的に経済成長すれば、果実として株価上昇の恩恵を受けることができるということが背景と思われます。個人的にも概ね、賛同できます。
SNSなどでは、大きめの株価調整があると、金融危機だとか、世界経済が終わると言った悲観的な投稿も見られますが、基本的に無視して良いと思います。
仮にそのような危機が生じた場合、実際の生活や仕事にも大きな影響が生じ、各国とも政治的にも対策がなされます。実際、ITバブルやリーマンショックの際も、数年以内に株価は回復しました。
留意点としては、満額投資する必要は無いこと(負担の無い金額でOK)、自分自身の投資可能額、リスク許容度を考慮して投資額や投資対象を決定すること、損益通算ができないことなどが肝要だと思います。
◆iDeCo(確定拠出年金)
公的年金に上乗せする私的年金のことです。掛け金が所得控除の対象(掛け金分、課税対象額が減る)、運用益が非課税、条件付きながら、受け取り時に控除が受けられるなどのメリットがあります。
一方、原則60歳まで引き出せない(加入10年以上が要件)、管理コストがかかる、月々の掛け金の上限があるなどのデメリットもあります。特に原則的に中途解約ができない点や減額する際にも最低金額の掛け金が必要である点などに気をつけたいところです。資産形成層の方の場合、急に資金が必要になっても、iDeCoからは、資金を引き出せない前提で検討したいところですね。
尚、受け取り時には、退職所得や雑所得の課税対象になります。
投資対象は、投資信託、預金、保険商品となっており、NISAと異なるのは、預金と保険商品も対象であることです。管理コストとの見合いですが、預金金利がコストを上回っていれば、所得控除のメリットが生かされますね。要は、iDeCoをすることで、所得控除が受けられ、運用先は価格変動無しということで、大きく増えないけれど、入り口の段階で課税対象額が減少し、税負担が減るというメリットが考えられます。
投資信託の場合は、価格変動リスクは避けられません。が、NISA同様、こちらも長期運用であること、運用途中で対象商品の切り替えが可能であること、値上がり益が出ていても非課税であることなどがメリットと言えると思います。ある程度、投資信託が大きく上昇したら、一部を預金にシフトしておくなどの作戦も考えられますね。急落局面で投資信託に再度、シフトするような作戦です。
仮に、iDeCoの資産が1200万円になった場合、月々10万円を10年間受け取ることができます。600万円だった場合は、月々5万円を10年間受け取ることが可能です。年金財政が厳しくなってきている昨今、無視できない金額だと感じます。
iDeCoを開始する際の手続きはやや煩雑ですが、将来を視野に入れれば、要検討の制度だと思います。60歳まで現金化できない制約はあるものの、税制面ではNISA以上に優遇されている制度だと思います。
◆ふるさと納税
かなり普及し、活用されている方も多いと思います。
地方税を他の自治体に回すことで、返礼品を受け取ることができます。
税務関係の仕事をされている方の多くは、ふるさと納税は外せないと耳にします。
各種運営会社があり、サイトから手続きが可能です。
事前にふるさと納税可能額を確認し、その範囲で自治体に申し込む段取りです。
事後にふるさと納税の証明書、返礼品が手元に届きます。返礼品は金額の約30%程度に設定されています。私は、サラリーマン時代にはしてなかったので、不確かですが、年末調整の際、証明書を添付することで事務手続きは完了すると理解しています。
とは言え、この制度には、議論があり、ご自身の居住地の地方税を他の自治体に納税する訳ですから、地元に思い入れのある方や地元の発展を望む方には、不向きかもしれません。
人事関連の部署の方に手順や納税可能額の確認をすると安心ですね。
◆住宅ローン控除
要件が色々ありますが、端的に言えば、住宅取得に際し、10年以上のローンを組んだ場合、年末の住宅ローンの残高×0.7%を所得税や住民税から控除できる制度です。対象期間は最長で13年間になります。尚、毎年のように変更がありますので、詳細については要確認です。
住宅ローン控除もバカにできない制度です。一定期間、控除を受けることができる訳ですから、今後、住宅を取得する予定のある方は、要件を確認の上、要検討だと思います。
住宅ローン控除に回数の制限は今のところありません。伝聞ですが、ある方は、何回か住宅ローン控除を使い、複数の不動産を保有しているということを耳にしました。住宅ローン控除の対象期間が終われば、残債(残りのローン)を返済し、改めて、取得する不動産で住宅ローン控除を使うという作戦のようです。手元に潤沢な現金があることが前提かと思いますが、うらやましい話です。
尚、今回は税務関連の話題でしたが、詳細については、税理士の方や人事総務の方にご確認頂きますよう、お願いします。
来週は、「零細投資家日記 2024秋」の予定です。
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