今回は、今更ながらですが、米国株投資の魅力についてのコメントです。
今でこそ、日本でも米国個別株投資や投資信託経由での米国株投資が活発になってきましたが、1990年代は、個別株はおろか、投資信託でも米国株投資はできなかった記憶があります。
日本のバブル崩壊後の厳しい投資環境の中、投資家の方々は、国内株のみが投資対象だったと言って良いかもしれません。以前、お会いした著名な日本株のファンド・マネジャーの方が、非常に高い実績を上げているという触れ込みだったので、背景を伺ったところ、「担当ファンドに関して、米国株も投資対象にできる設計にしていたため、うまくいっただけですよ」とおっしゃっていました。日本株に少し、米国株を加えるだけで結果が異なるという示唆ですね。
確かに、90年代初頭の頃、日経平均が約30,000円だったのに対し、NYダウが約3,000ドル程度であり、「日経平均を1/10にするとNYダウに近似する」なんて言われていました。ご存じの通り、最近では、日経平均が40,000円弱なのに対し、NYダウは約45,000ドルとなっています。日経平均はほぼ横ばい、NYダウは約15倍という結果です。
前述の理論では、NYダウは、4,000ドルが妥当ということになってしまいますね。
30年間とは言え、3,000ドルから45,000ドルまでですから、凄い上昇ですね。
米国株式市場の強さは、世界中から優秀な方が集まること、例えば、ご存じのテスラのCEO、イーロンマスクさんは南アフリカの出身ですし、エヌビディアのCEO、ジェンスンファンさんは台湾の出身です。また、イノベーションが活発で、新しい技術やアイディアが事業に盛り込まれ、若い企業が次から次に出現し、新陳代謝が活発なことも背景かもしれません。
税制や社会的背景も企業成長の後押しをしている印象です。
以下のURLは、日経平均とNYダウを比較したもの、及び、同業種の日米の株価推移を比較したものです。たまたま、見つけたものですが、非常に興味深い結果となっています。
日本株と米国株~過去30年の株価の推移は~ | auカブコム証券 | ネット証券(国内株・米国株・信用取引・FX・投資信託・NISA・先物オプション)
米国株投資は、現地通貨である米ドルに投資します。従って、株価変動に加えて、為替変動もパフォーマンスに影響を及ぼします。円高/米ドル安になると為替差損が発生、円安/米ドル高になると為替益が発生します。
確かに円高になると、為替差損で株価変動が無くても、パフォーマンスはマイナスになります。逆に言えば、為替差損以上に株価が上昇すれば、トータルでプラスになることになりますね。もちろん、為替差損に株価下落のダブルパンチのリスクもあります。
個人的な印象では、多少の円高で為替差損が生じても、株価上昇がカバーできるケースが多いように感じています。
上記の通り、日米の株価上昇率には大きな違いがありました。
過去の実績が将来を予見する訳ではありませんが、現状、米国経済と日本経済を比較すると、依然として大きな相違があるように感じます。もちろん、直接的な為替リスク(企業自体は為替リスクを負っているケースが多いです)は無いから、日本株が良いという意見もあると思います。但し、日経平均とNYダウの長期的な上昇率の違いからも日本株投資と米国株投資を比較した場合、成功の期待値、パフォーマンスの期待値が大きく異なると言って良いと思います。株価が10倍になる銘柄をテンバガーと呼びます。もちろん、日本株にも少なからず存在しますが、母集団である指数のパフォーマンスがより優れた米国であれば、より現実的に存在すると言って良いと思います。
個別株投資の醍醐味は、NYダウやSP500といった指数を上回るパフォーマンスが可能であることですが、必ずしもうまくいく訳ではありませんし、情報収集に困難が伴います。
また、東京市場と異なる制度や時差もあります。例えば、米国にはストップ高、ストップ安といった制限値幅がありません。朝、起きたら、とんでもない株価になっていることも少なくありません。対応策として、以前のブログでご紹介した「逆指し値」を活用することが妥当だと思います。一定価格以下になった場合、売り注文を発注するという手法です。
更なる下落を避けるためには、特に米国株では適切に活用したいアプローチです。
株価が急落した場合の選択肢として、買うことでリバウンドを狙うという作戦と保有株が急落している場合は、損失確定の売却を行うという作戦が考えられます。但し、急落の理由が一時的なものなのか、企業の存続に関わるような重大なものなのか、によって適切な対応は異なりますね。瞬間的な判断は困難です。
大型株であれば、情報入手が事後的にできなくもありませんが、中小型株だと、現地の報道を見ても取り上げられていないケースも多くあります。この点は、米国の個別株投資の難点のひとつです。情報収集は、国内のメディアよりもブルムバーグやロイターなど、海外のメディアの方が参考になりますね。
とは言え、「個別株は訳わからん」という声もあると思います。
その場合は、インデックスファンドをメインとした投資信託が好ましいと思います。
新NISA積立て枠でも、米国を始めとした海外投資が可能です。指数を売買する訳ですから、把握しやすい点、分散されているので極端な値動きが少ない点、評価損益も指数の値動きと為替の値動きで把握しやすい点、あまり気を遣わなくても良い点などがメリットです。
日本株投資をメインにされている方も、米国株を少し持つとパフォーマンス向上につながると感じます。
SNS等では、米国株暴落説などを指摘している投稿も見られます。
そもそも暴落がどの程度の下落なのか、明示されていることはありません。
過去には、ブラックマンデーやITバブル崩壊、リーマンショックなどの暴落があったことは事実です。通常でも、▲10%程度から▲20%程度の調整はつきものです。
現状、米国商業用不動産の不振などのリスク要因はありますが、金融システムは安定しています。AIバブルとの指摘もありますが、ITバブルのような過熱感はありませんし、リーマンショックのような金融危機の予兆もありません。更に言えば、仮に米国株が大きな調整に至った場合、日本株はより大きなダメージを受ける可能性が高くなりますし、回復度合いも異なります。
米国株に限りませんが、我々は円資産で生活しています。
今年のように、円安が進行すると輸入物価が上昇し、生活感が厳しくなります。
全てヘッジできる訳ではありませんが、一部資産を外貨で保有することで、若干でもインフレの影響を緩和することができると感じています。
無責任にお勧めする訳ではありませんが、投資対象が国内株だけの方は米国株投資も検討の余地があると感じています。
来週は、「年末年始に投資家が気をつけること」の予定です。
尚、来週のブログが年内最終とさせて頂きます。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
金曜日が休日の場合は、お休みします。
いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。
内容、ご相談に関しましては、株式会社 Noble principleまでお問い合わせください。
尚、HP下部にInstagramのリンクを用意させて頂きました。
基本的に毎日、日米の金融マーケットに関する投稿、不定期で投資やライフプランに関する投稿をしています。是非、ご覧ください。