いよいよ、スタグフレーション?

 

今回は、再び、米国の関税の影響に関するコメントです。

 

最近、この話題が多いですね。

4月初旬に、米国からの各国への関税の税率が発表になりました。

これを受けて、世界的に株価が急落と言うよりも暴落しました。

そのせいか、4月9日に相互関税の90日間延期が発表されると、株価は急騰です。

乱高下が続きます。

 

相互関税の内容に関しては、税率が高く感じる一方、報道されている通り、算出根拠が論理的ではありません。また、ペンギンしか住んでいない無人島にも課税するというジョークのような話もありました。

 

各金融機関のエコノミストやストラテジストの方々の米国や世界経済、株価の見通しが、かなり、悲観的になってきました。

 

 以前のブログでも触れましたが、関税は基本的に関税をかけた国の消費者(今回は米国の消費者)が負担します。

場合によっては、輸出する企業が一部、負担して現地での価格上昇を緩和することはあり得ます。結果、米国が多くの国に関税を課すことで、米国内の物価上昇率は高くなることになります。この点は、政権も経済学者も経営社も異論の無いところです。

 

コロナ以降のインフレをFRBの金融政策でようやく、押さえ込んできたステージで、再度、物価上昇の可能性が高まってきました。トランプ政権誕生までに、インフレが沈静化し、利下げ方向となってきましたが、話が変わってきそうです。

 

 4月上旬の関税発動だと、経済指標に具体的に影響が明確になるのは、6月以降になると思われます。因みに、アップルのiPhoneの米国での販売価格が33万円程度に値上がりするといった報道もありました。更にiPhoneを米国だけで製造すると50万円近くになるという分析もありました。実際、最近はアップルの株価下落が目立っていました。同社の製造は、中国主体で行っており、対中関税の影響が甚大になりそうであるということが背景です。

 

次に、関税の景気の対する影響を考えてみたいと思います。

トランプ大統領が選挙公約に掲げた減税や規制緩和は考慮しません。

 

まず、関税による物価上昇によって、消費が冷え込むことが懸念されます。また、世界での貿易量自体の減少も視野に入ります。先行き不透明感から、企業の設備投資も冷え込みそうです。という視点だけでも、景気減速、というか景気悪化の可能性が高くなりそうです。

 

直接的には、関税を賦課する米国に影響が考えられますが、グローバルのサプライチェーンが構築されていることや貿易量の減少などから、自動車産業を始めとした企業を筆頭に日本経済にも影響が及ぶと思われます。もちろん、株式市場にはネガティブです。

 

今回の関税で各国のGDP減速が避けられない意見が多く見られます。

かつての米国モンロー主義の時代も世界大恐慌を引き起こし、景気も株式市場も厳しい時代だったようです。

 

困ったものです。

 

話を米国に戻します。

 前述の通り、米国の中央銀行FRBは、景気と物価に配慮しながら、金融政策を行い、利下げフェーズに入っていました。ところが、ようやく収ってきたインフレが再加速する懸念が出てきました。輸入する物品が関税で値上がりしたら、物価は上昇しますね。

利下げよりも利上げが必要になる可能性も出てきます。

 

 その一方、消費の冷え込みや設備投資の減速に対しては、利下げで対処すべきところですが、物価が上昇すると、それもできません。

スタグフレーションとは、不景気でのインフレという経済状況のことを言い、金融政策の選択肢が無くなってしまいます。政府が景気対策を打つとインフレが加速し、中央銀行が利上げをするとインフレは落ち着くものの、景気に悪影響が出ます。また、利下げすると景気にはポジティブですが、インフレが加速するという困った構造になりますね。一旦、スタグフレーションに陥ると、健康な経済に回復するのがなかなか、困難であるという特徴があると感じます。

米国の消費が冷え込むと、米国に輸出している企業の業績にも悪影響が出てきます。

今月から、日米とも企業決算が本格的に始まりますが、今期の業績はともかく、来期見通しやガイダンスも厳しいものになりそうです。

 

 為替に関しては、関税とは別にトランプ政権は貿易赤字を縮小したいスタンスなので、円高米ドル安の指向が強そうです。一部では、大規模な米国国債の借り換えのために金利低下を望んでおり、株安も歓迎意向とも言われています。但し、関税を含めた政策にグローバルの投資家が拒否反応を示した場合、望むと望まないとに関わらず、米国株安、米国債券安(金利上昇)、米ドル安(円安)なってしまう懸念もあります。実際、中国は外貨準備で保有している米国債の売却を持続しているようです。ある意味、報復措置ですね。

 

金利上昇が加速すると、株安につながりますし、借換えの金利も上昇します。為替に関しては、金利差から米ドルが買われてドル高になる可能性もあります。市場の混乱が加速すると、簡単に収束させるのが難しくなってしまいます。

 

 前述の通り、相互関税の90日間延長が発表され、株式市場は大幅上昇しました。が、対中に関しては、報復関税の応酬です。今後も米中の貿易摩擦激化が懸念される中、景気動向や市場動向に注目ですね。米国が実際にスタグフレーションに陥ると、我々も傍観者ではいられなくなってしまいます。特に投資家の皆さんは、リスク管理や資金管理を重視しておきたいところです。

 

次回は、「不動産クラウドファンディングについて」の予定です。

 

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