私ことですが、米国個別株に自由に投資できる立場になって痛い目にあって、わかったことが幾つかありました。それまでは、米国株に関しては、投資信託主体の投資経験でした。
私の失敗談を中心にご紹介します。投資手法を推奨するものではありませんし、うまく対処された方もいらっしゃると思います。これが反面教師となれば幸いです。
まず、ご存じの通り、米国株にはストップ高やストップ安がありません。朝、起きると良くも悪くも思わぬ価格になっていることがあります。痛烈な経験だったのは、一晩で価格が約半分になったケースがありました。航空宇宙関連でドローン銘柄のイーハン・ホールディングス(EH)という株でした。春先に米中貿易摩擦の余波を受けた形になりました。色々、検索をしてみたものの、適切な情報が入手できず、やむなく、損失確定を行いました。
また、中国関連の米国上場の株式でも大きく価格が下落したものが少なくありませんでした。前述のイーハンは、2月高値の129.33米ドルから12月末には15.4米ドル程度まで下落しましたし、学習塾のTALエデュケーション(TAL)は、2月高値の90.96米ドルから12月末には3.8米ドル程度まで下落しています。改めて、認識したのは、このような銘柄を保有し続けるリスクです。20%程度の下落はよくあることですが、このレベルになると、特に集中投資では、再起は難しくなります。これらの銘柄が情報拡散で上下するミーム株的な銘柄という訳ではありませんが、日々の値動きが大きく、時差のある海外への投資の難しさを再認識しました。
情報技術の発展で、内外の株式の時価情報もリアルタイムで把握できるようになりました。しかし、急落時の背景などを把握する困難さは変わりないように思います。有名な銘柄であれば、後付けでのコメントを入手できるケースもありますが、小型株などでは、限りがあります。私の努力不足の面もあるかと思いますが、急落時にナンピンをしたら良いのか、損失確定をしたら良いのかという判断ができませんでした。このケースでは、損失確定を選びましたけれど。
また、前年まで好調だった銘柄が大きく崩れたのも昨年、2021年の特徴だと感じています。
保有していた銘柄の一部の高値と年末値、直近値を恥ずかしながら、ご参考までにご紹介します。現時点で保有しておりませんが、
■ペイパル(PAPL)フィンテック関連
310米ドル(7月)→189米ドル(年末)→181.01米ドル(1/13現地時間)
■ブロック(SQ)フィンテック関連
289米ドル(8月)→165米ドル(年末)→136.95米ドル(1/13現地時間)
■ドキュサイン(DOCU)リモート(DX)関連
314.5米ドル(9月)→155米ドル(年末)→130.59米ドル(1/13現地時間)
■ズーム(ZM)リモート(DX)関連
451.6米ドル(2月)→184米ドル(年末)→162.1米ドル(1/13現地時間)
■テラドック・ヘルス(TDOC)遠隔医療(DX)関連
308米ドル(2月)→92米ドル(年末)→78.5米ドル(1/13現地時間)
他にもビリビリ(BILI)、ビージックス(VUZI)等で痛い目にあいました。
これらの銘柄群は、実績のある投資信託の組み入れや各種の情報を基に投資したのですが、相性が悪いのか、残念な結果となってしまいました。
長期投資は大事なのは確かなのですが、このようなケースでは、ロスカット(損失確定)の重要性を思い知らされました。自分自身の目安(ケースバイケースですが)として、含み損が10%を超えたら要注意、15%を超えたら要警戒、20%を超えたら損失確定の売却を行うというイメージでしょうか?それに加えて、投資額(投資比率)の上限を設けることも再認識しました。
こういった銘柄の中で、将来的に大きく上昇するものがあるのでしょうが、それを引き当てるのは宝くじ的な要素が少なくないようにも感じています。コア銘柄をメインにして、多少、付け加えて保有する程度なのかな?と感じています。そうなると、投資信託やETFを保有すれば十分ではないかという矛盾した心の声も聞こえてきます。
また、時差の関係で米国市場は、冬時間で23:30から翌朝6:00まで、夏時間で22:30から5:00までの取引です。小心者な私の場合、睡眠に影響が出ることもありました。投資信託であれば、申込み直後の市場の終値で約定しますので、気にしてもしょうが無いのですが、個別株の場合は、上記の通り、値動きが大きいケースもあり、心身の健康に良くないようにも感じました。
ご経験のある方は、先刻ご承知でしょうが、コストの面で円貨決済と外貨決済も注意が必要です。円貨から外貨、外貨から円貨に転換するには為替の手数料が発生します。理想を言えば、円高(米ドル安)の時に外貨にし、売買も外貨決済で円転しないというアプローチが好ましいと思います。その都度、円貨決済にしているとコストがバカになりませんね。
日本株も同様ですが、一部の例外(手数料無料のETF)は、あるものの、売買の都度、手数料がかかることも改めて確認しておきたいポイントです。ノーロード投信(販売手数料無料)の場合は、申込み、解約の際に販売手数料という面ではコストはかかりません。従って、解約に際しても、実損益が生じるだけなのですが、個別株売買の場合は、買付けも売却も委託手数料が発生します。米国株の売買手数料率も低下したとは言え、不要なコストは避けたいところです。投資金額が少額の場合、手数料率が割高になる点もご注意ください。これらは各社の手数料テーブルで確認できます。
最後に「逆指し値」について、お伝えしたいと思います。「逆指し値」は、指し値以下になったら成り行きで売却する、指し値以上になったら成り行きで買付けをするという手法です。
【売却の逆指し値の例】
時価:100米ドル
簿価:70米ドル
逆指し値:85米ドル以下になったら成り行き売り
米国株取引には時差が課題となります。その際に、「逆指し値」を有効に使うことができると取引の幅が広がるように思います。様々な活用方法があると思いますが、私の使い方は、個別株にある程度の含み益が出てきた段階で、含み益を確保できる水準で「逆指し値」を入れておきました。想定外の急落が生じた際に、利益が確保できる水準で売却し、現金化する意図です。うまく行ったこともあれば、売却した後、引けで株価が戻ってしまったこともありました。
保険としての売却の逆指し値は、今後も検討したいと思っています。
次回は、「2022年、必ず、チェックしておきたい経済統計」をお伝えしたいと思います。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。
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