インデックスファンド(債券編)に思うこと

 

ワードプレスの不調により、ブログの投稿ができない状態になっていました。

今週から復旧し、毎金曜日に投稿していく予定です。

引き続き、ご愛顧のほど、宜しくお願いします。

 

今回は、債券のインデックスファンドについてコメントします。

 

私自身、過去に債券のインデックスファンドに投資した記憶はあるのですが、あまり印象に残っていません。背景としては、パフォーマンスの成果がいまひとつだったこと、株式のインデックスに対する興味の方が高いこと、為替の変動率とインカム(金利収入)のバランスに魅力を感じなかったことなどが挙げられるかもしれません。

 

そもそも、債券のインデックスは、「FTSE世界国債インデックス」、「NOMURA-BPI総合指数」、「JPM GBI-EMグローバル・ダイバーシファイド」など、株式の指数と比べて、一般の方にはなじみの無い指数が多く、目にする機会も非常に少ない印象です。

尚、債券もかなり多くのインデックスが存在しています。

 

債券ファンドを、組み入れ債券を償還(満期)まで保有する前提で考えると、利益が限定されます。利金収入だけが確定されており、償還までの期間に含み損益が生じることはありますが、満期保有前提ならば、値上がり益はありません。(デフォルトは考慮しません)この点、株式インデックスファンドと異なる点です。また、前述の通り、確定されている収益源が利金収入だけですから、信託報酬が高いと、その分、手取りが減少することになります。

債券のアクティブファンドには、そこそこ、高いフィーのものも存在します。

 

また、債券インデックスも、発行された債券のボリュームに応じて、投資比率が決まってきます。以前、外資系債券運用会社のセミナーで耳にした話ですが、「債券での資金調達が多い場合、自己資本比率が低下し、格付けが低くなるケースがあり、インデックス投資の場合、低格付けの債券に多く投資するという矛盾が生じる可能性がある」と言うコメントがありました。アクティブファンドのセールストークのようにも聞こえますが、確かに、株式の場合は、株式時価総額と信用力(格付け)に必ずしも、関連はありませんが、債券の場合は、負債比率が高くなることで信用力(格付け)にネガティブな影響を及ぼすことも考えられます。

 

債券インデックスファンドの場合、パフォーマンスに関して、各国の金融政策の影響を受けます。特に、基軸通貨国の米国金融政策によって、各国の金融政策が連動するため、各インデックスとも比較的、類似したパフォーマンスになる傾向を感じています。

米国がインフレ対策で金融引き締めを行うと、他国も通貨安によるインフレへの影響を排除するために利上げに動きやすくなります。従って、米国の利上げは、米国債に限らず、債券インデックスファンドにとって、ネガティブに働きやすいように思います。

 

では、前回同様、各種債券インデックスファンドのパフォーマンスを見てみたいと思います。

今回も、三菱UFJ国際投信のe MAXIS シリーズを取り上げます。名称の後にカッコで(S)と表記されているものが、e MAXIS slim(信託報酬がより低い商品)で、slimに無いラインナップは、通常のe MAXISシリーズ(オーソドックスな商品)のものです。

 

2023/3/31現在 騰落率(%)
基準価額 純資産(億円) 過去1ヶ月 過去3ヶ月 過去6ヶ月 過去1年 過去3年 設定来
国内債券インデックス(S) 9,830 182 1.4% 2.2% 0.3% -1.7% -3.9% -1.7%
先進国債券インデックス(S) 11,730 638 1.2% 3.6% -1.6% -1.1% 5.1% 17.3%
先進国債券インデックス(ヘッジあり) 8,528 5 1.7% 0.7% -0.1% -10.2% -18.3% -14.7%
新興国債券インデックス 14,102 47 1.5% 5.5% 4.7% 7.2% 23.1% 41.0%

 

 

各ファンドの定量データを見て感じたことは、

 

■純資産が株式インデックスファンドと比べて小さい点、

■新興国債券インデックスファンドのパフォーマンスが相対的に優れていた点、

■為替ヘッジ付きの先進国債券インデックスファンドが厳しいパフォーマンスだった点、

■国内債券インデックスファンドは、変動が小さかった点

 

などが指摘できそうです。

 

為替ヘッジが無いタイプに関しては、円安進行がパフォーマンスにプラスに寄与したことが想像できます。債券価格の変動と為替変動、それに金利収入のバランスでパフォーマンスは決まってきます。

 

他にも気づいた点として、

 

新興国債券インデックスファンドの組入れ国ですが、上位から、1位タイ、2位ブラジル、3位インドネシア、4位メキシコとなっています。もちろん、インデックスに応じた比率ですが、個人的には、やや違和感があります。インドや中国、ロシアなどが上位にありません。新興国の場合、様々な投資規制があり、海外投資家が自由に投資しにくいことが背景だと推測します。

とは言え、偏りは否めませんね。

 

次にヘッジコストに関して、コメントしたいと思います。

 

為替ヘッジを行うことで、為替変動の影響を低減させることができます。逆に言えば、円安局面でも円安メリットを享受できないということになります。円高の影響を一定程度、排除できますが、円安メリットを受けることができないとも言えますね。

 

更に、為替をヘッジするには、ヘッジコストがかかります。高金利通貨をヘッジする為には、コストを負担しなければなりません。どの程度の水準かと言うと、両国の短期金利の差と言われますが、正確には、為替のスポットレートとフォワードレートの差を年率換算したものです。常に変動してゆくものですが、2023年3月現在の米ドル円のヘッジコストは、概ね5%程度のようです。

現状、信託報酬と別に5%のコストがかかると、切ないものがあります。(インカムが限定されているという意味で)

 

昨年、米国金利が上昇し、為替が円安に振れました。

ヘッジ無しの債券インデックスファンドは、債券のマイナスを為替で補った格好です。

インデックスファンドに限らず、ヘッジ付き債券ファンドの場合、円安メリットを放棄し、金利上昇で債券価格下落、ヘッジコスト上昇と三重苦に陥りました。バランスファンドなどでも厳しいパフォーマンスの投信を見かけました。

 

ヘッジ付きの商品がダメだとは思いませんが、タイミングが重要(ヘッジコストの変化を予想すること)で、高い判断力が必要な気がしています。金利差縮小の円高局面では効果的なのですが、いつでもメリットばかりという訳ではありません。債券投資の場合、投資対象国の金利低下局面がチャンスなのですが、ヘッジが無いと、金利差縮小で円高に振れる可能性も高まりますね。

 

いずれにしても、相当程度の金融リテラシーが求められます。

 

基本的に債券投資は、金利が高いときに投資し、金利低下で価格上昇することでキャピタルゲインを獲得することができますので、投資機会としては、高金利で且つ金利低下が見込める局面が良いことになります。

 

但し、為替との関係を考えると、複雑化してきます。

わかりやすく、米国債投資を前提に、一般論で言えば

 

■米金利上昇⇒債券価格下落(負の影響)+米ドル高(正の影響)

■米金利低下⇒債券価格上昇(正の影響)+米ドル安(負の影響):

 

為替は、必ずしも、金利だけで変動する訳ではありませんが、傾向としては上記のような関係があります。但し、基本的に債券価格の変動よりも為替変動の影響の方が大きいと思います。

下段の米金利低下局面で米ドル安(円高)が生じるような展開の場合、ヘッジありファンドが活躍できそうですね。もちろん、ヘッジコストが低下していくことが前提です。

 

と、言うわけで、外債投資は、債券価格と為替変動の関係、更にヘッジの関係を理解しないと難しい面があります。一般的には、高金利通貨で安定した運用商品のように言われますが、為替の影響もあり、結構、奥が深く投資タイミング難しい面も否定できません。

 

私が見逃している点も多々、あると思いますが、個人的には、株式インデックスファンドの方がわかりやすく投資しやすい印象を持っています。

 

次回は、「グロース株が好きですか?バリュー株が好きですか?」の予定です。

 

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