今年に入り、ネット証券口座の乗っ取りについて、SNS中心に話題になりました。
3月、4月と被害が大きくなり、一般のメディアの報道も増加しました。
当初は、楽天証券やSBI証券が対象だったようですが、5月29日の報道では、証券会社17社まで拡大した模様です。また、証券会社にめったにログインすることの無い方も多いと思われますので、被害の全貌は更に大きくなる可能性も考えられます。
今回は、このテーマについてコメントします。
報道やSNS、ネット証券での広報活動などを通じて、現在、把握できている情報です。
私の過誤や認識不足があり得ることは、ご了承ください。また、対策に関しては、IT音痴の私の見解であることもご理解ください。
まず、証券口座乗っ取り被害に関して
不正ログインにより、投資家が保有している株式が勝手に売却され、流動性の乏しい(取引の乏しい)中国株を高値で買付けるという事件が起きました。加害者サイドは、保有している株式を高値で売却し、大きなキャピタルゲインを得ることが目的と推測されます。
高い価格に指し値をしておき、被害者の口座から大きな成り行きで買いをいれる手法です。
また、3月以降は、中国株式に止まらず、流動性の乏しい日本株式でも同様の手口が見られるようになりました。結果、被害を受けた投資家の方は、保有している株式や現金が無くなり、見たことも無い流動性の低い株式を高値で買わされ、それだけが残るという状態になったようです。
株式を売却され、売却現金を失うという訳ではありませんが、見知らぬボロ株だけが残るということですから、口座を見たら、ショックですね。
当初、個人的には、売りを出した証券会社を特定し、口座も特定すれば、加害者の属性が把握できるのでは?と感じていましたが、どうやら、海外の手口の可能性が高そうです。
もちろん、証券各社や金融庁、証券監視委員会なども、懸命に調査していると思われますが、今回の推移や全貌は、まだ、明らかになっていません。
さて、別の視点でも考えてみます。
積立てNISA等の投資信託の場合は、どうでしょうか?
株式の場合、売却後、その代金で即座に他の銘柄に投資できますが、投資信託の場合は、受渡日が異なるので、即座に他の銘柄に投資することはできません。
従って、報道はされていませんが、投資信託を売却して他の銘柄に投資する可能性は、今のところ、比較的低いと思われます。但し、ほったらかし投資家の方の多くは、めったに証券会社の口座にログインしていないケースがあると思いますが、週に1回程度は、ログインして状況の確認をした方が良いと思われます。もちろん、後述の2段階認証も忘れずに。
何故、今回の事件が生じたのでしょうか?
当初は、フィッシングメールが原因とされていましたが、被害者の方々のインタビューから、フィッシングメールを開いたことの無いとのコメントを多く聞きました。
フィッシングメールも巧妙になってきており、証券各社の名義で私のところにも沢山、届きます。なかには、「不正ログインされているので、確認して欲しい」という悪質なものもあります。少なくとも、メールにあるURLを無視することが妥当ですね。また、カード会社のメールには「不正使用がされたのでログインして確認してください」というものもありました。
専門家の方のコメントを見ていると、フィッシングメールよりも、PCやスマホの乗っ取りが原因の可能性が高いというものもあります。また、セキュリティソフトを入れていても、被害にあった方も少なくないようです。対策が難しいですね。
それでも、対応できる策は採りたいところです。
思いつくまま、列挙してみます。
◆長時間、不要なログイン状態を維持しない
デイトレードをされている方は無理ですが、ログイン状態を維持することで、何らかのハッキングを受ける可能性が高まるように感じます。必要な取引や確認ができたら、速やかにログアウトした方が良いと思っています。
◆セキュリティソフト導入
セキュリティソフトは、導入が好ましいと思います。もちろん、入れたからといって万全では無いと思いますけれど。尚、複数のセキュリティソフトを入れると、双方の機能がケンカして、十分な機能が発揮できないという見解もあるようです。
◆フリーWi-Fi状態でログインしない
喫茶店やホテル等でフリーWi-Fiが導入されていますが、これもできるだけ避けた方が良いようです。フリーWi-Fiの場合、悪意のあるハッカーであれば、簡単に情報を抜き取ることができると言われています。できれば、避けたいところです。
◆証券会社の2段階認証設定
証券各社は、今回の事件を受け、セキュリティ強化のため、2段階認証の導入が始まっています。当初、この件の被害に関して、証券会社は保証できない旨のスタンスでしたが、セキュリティ強化を前提に一定程度の保証が見込めるようになりました。
但し、5月末までに、セキュリティ設定をしないと、ログインできなくなる証券会社もあるようです。
証券会社の口座から、保有している現金が引き出された訳ではありません。
が、勝手に保有している株式を売却され、訳のわからないボロ株だけが残る事象です。
銀行の場合、スマホでは、指紋認証が導入されていますが、証券会社では見かけません。
また、海外のネット証券でも、このような事件は報告されていないようです。
早急かつシッカリした対策を希望します。
金融機関のネット口座は、便利で欠かせない存在になってきていますが、今回の騒動が落ち着いても、新たな手口での被害が想定されますから、今後も細心の注意が必要ですね。
次回は、「ハーバード大学とトランプ政権」の予定です。
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