ハーバード大学とトランプ政権

 

今回は、米トランプ政権のハーバード大学への対応に関するコメントです。

いつもながら、私見に基づく見解ですので、悪しからず。

 

本日、6月6日の報道で、トランプ政権がハーバード大学の留学生に対して入国制限を課す布告に署名したと報道されました。

 

そもそも、ハーバード大学とは、米マサチューセッツ州ボストン郊外に本部を置く米国最古の私立大学です。各界に知られた名門校で、2018年時点で、米国大統領を8人輩出し、160人のノーベル賞受賞者や48人のピューリッツァー賞受賞者が出しています。

 

 世界各国からの優秀な留学生も多く、多様性や抱擁性を尊重し、米国成長の源泉の代表例のような存在です。日本からも、皇后雅子さん、楽天の三木谷氏、経済同友会の新浪氏などが卒業、修了しています。政界、財界に限らず、世界中で卒業生の方々が活躍されています。

余談ですが、ハーバード大学のスクールカラーは、「クリムゾン」と呼ばれるエンジ色です。

楽天の企業カラーや野球、サッカーのチームカラーもここに由来すると耳にしたことがあります。

 

 最近は、日本のトップクラスの高校生が日本の学府を目指さず、欧米の大学を目指す傾向が強くなっているようです。世界中から優秀な学生や学者が集積し、切磋琢磨することが米国の強さにもつながってきました。

留学生の皆さんは、卒業後、本国に帰国するケースの他、米国のトップ企業に就職し、M7(マクニフィセント7)などで活躍されている方も多いようです。米国の企業のトップは、必ずしも米国人のケースばかりではなく、外国人が務めるケースも少なくありません。

テスラやエヌビディアのトップも海外出身の方ですもんね。因みに留学性に関して、日本の場合は、大学の定員割れを防ぐために、外国人学生を集めることもあるとの話を耳にしますが、ハーバード大学とは、事情が全く異なります。

 

日本人でノーベル賞を受賞される方々も、海外の大学や研究室勤務のケースが多く、日本国内と現地での研究する環境の違いが感じられます。

 

 

で、

最近の報道の通り、トランプ政権は、パレスチナ問題に絡み、デモを行った学生を問題視し、ハーバード大学に対する助成金の支給停止や留学生の受け入れ資格を取り消す措置をとりました。また、留学生の割合の上限を15%にすべきという見解を示しています。

該当する在学生の皆さんは、他校への転校を検討したり、苦慮しているようです。また、学校も政府に理不尽な措置として、訴訟を行ったと報道されています。但し、ハーバードだけがダメで、スタンフォードやコロンビア、MITだったら大丈夫とも言えないところが切ないですね。

 

米国の学校は、9月から新しい年度が始まるため、この時期に波乱があっては、新入生の皆さんや在学中の皆さんは、たまったものではありませんね。仮に他校に転校したとしても、米国の大学の場合、トランプ政権から同様の措置を執られるリスクがあります。

世界のなかで最優秀な学生の方々が苦慮していることから、欧州やアジアの大学が破格の条件で迎え入れるオファーを出しているようです。

 

 これらを米国の政治的な課題という視点で見ると、貧富の差が拡大しており、特にトランプ大統領支持者は、中南部のブルーカラーの方々が多く、エリートに対して反感を持っているケースも多いと言われています。従って、支持者の意向を汲んで、意図的に強硬な措置を執っているようにも感じます。とは言え、貧富の格差を解消する場合、貧しい方々の所得を増やす手法が優先されるべきかと思います。確かに製造業の米国回帰を促すための関税発動を行っています。が、実際に政策リスクや関税と高い人件費のコスト比較、将来的な政権交代などを企業が思慮すると、簡単に米国に設備投資を行うことは難しいようにも感じます。

 

あくまでも、個人的な見解ですが、今回のハーバード大学への措置は、移民対策同様、米国の多様性を許容し、競争力につなげるという大国になった源泉を失いかねないと感じています。企業の米国への設備投資も同様ですが、政権の政策に一貫性が無く、唐突に政策が発表され、場合によっては、取り消されるという環境では、米国に安心して投資も留学もしにくくなりますね。

 

余談になりますが、現在、審議中の減税法案の中には、海外からの米国有価証券投資(日本人が投信で米国株に投資するケースなど)に課税をかける案も含まれているようです。

この案が可決されると、機関投資家も個人投資家も米国投資を避けることにつながりかねないと懸念します。

 

最後にハーバード大学の在学生の皆さんやこれから進学する予定の学生の方々が平穏な生活に戻れることを祈念します。

 

次回は、「零細投資家のつぶやき 2025年下期展望」の予定です。

 

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