ビジネスマン(給与所得者)ができる税金対策

ご存知の方が多いと思いますが、日本の所得税は累進課税で、所得が増加すると基本的に税率(税額だけではありません)が高くなります。最高税率は、所得が4,000万円超で所得税が45%、住民税が10%の合計55%になります。また、相続税や贈与税の最高税率も55%です。他方、香港やシンガポールでは、相続税がなかったり、所得税率が日本よりも低かったりという事実があります。個人的なお話ではありますが、PB試験を受験するに当たり、テキストで学習した際に、これらの事実を再確認し、改めて対策の必要性を感じました。

尚、所得税の税率の区分は、所得ベース(収入ではありません)で、195万円、330万円、695万円、900万円、1800万円、4000万円を超過するごとに税率(しつこいですけど、税率です)がアップしていきます。適切な対策を取ることで、課税対象になる所得額を減らす(所得控除)、支払った税金が戻ってくる(税額控除)ことが可能となります。また、教科書的にはなりますが、所得区分(給与所得、譲渡所得、一時所得等)を分散することでトータルの納税額を圧縮することも可能になります。

以下に一般的な給与所得者の方が対応できる対策を列挙したいと思います。チェック項目としてご覧ください。

 

  • 生命保険料控除、損害保険控除

皆さん、ご存知の年末調整で登場する所得控除です

 

  • 扶養親族の申告

ご両親への仕送りや生活費を負担している場合等に申告により扶養控除が可能です

 

  • 医療費控除

年間の医療費が10万円(所得が200万円未満の人は総所得の5%)を超えた場合、

最高200万円の医療費控除が利用できます。セルフメディケーションの場合は、12,000円を超えた場合、最高88,000円が控除できますが、どちらかの選択適用となること、確定申告が必要なことにご留意ください。

 

  • 住宅取得控除

住宅ローンを組んで、自宅を購入した場合、一定の条件の下で税額控除が受けられます。住宅を購入した年のみ、確定申告が必要となります。収益不動産への投資は、対象外です。また、複数回の利用が可能(但し、諸条件要確認)なので、借入を繰り返すことで保有不動産を増やすには有効な手法かもしれません。10年の間に適宜、繰り上げ返済を行い、控除期間終了後に完済し、次の不動産を購入された方もいらっしゃいます。

 

  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)、企業型確定拠出年金(DC)

個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は、勤務先の企業年金の有無や公務員、専業主婦、自営業者等によって異なります。掛金が所得控除となり、運用益も非課税です。60歳以降の受給開始となり、一時金で受け取るか、年金で受け取るかの選択ができます。投資枠は大きくありませんが、税制上も有利な制度なので、是非、検討したいものです。投資手法は、預金や投資信託に積立を行うものです。何に投資をしたら良いのかという点に関しては、今後も継続的に私見を述べさせていただきます。

企業型確定拠出年金(DC)は、企業ごとに制度が異なるケースがありますが、基本的に運用益は非課税、マッチング制度があれば掛金が所得控除になり、受取時は、退職所得控除、公的年金等控除の対象になります。マッチングを含めて、最大枠を活用したい制度です。尚、企業型確定拠出年金、個人型確定拠出年金の併用も企業によっては可能になっていますが、拠出限度額が増えるわけではありません。

 

  • NISA、積立NISA

NISA、積立NISAもともに非常に有利な制度なので、活用されていない方は是非、ご検討してみてください。次回、詳細に説明しますが、NISAは、年間の非課税投資枠が120万円、投資期間が最大5年間、積立NISAは年間の非課税投資枠が40万円、投資期間が最大20年間、配当や値上がり益に対して非課税となります。前者は、内外の投資信託、株式、REIT等が投資対象で、後者は国が定めた投資信託が投資対象となります。特に資産形成層で投資経験の浅い皆さんは、積立NISAを検討して頂きたいと思います。投資経験を通じて、金融リテラシーを高め、将来の資産形成力の向上が期待できます。

尚、これらの制度を受けるためには銀行や証券会社にNISA口座を作る必要があります。

 

  • ふるさと納税

自己負担2,000円で応援したい自治体、魅力的な特産品のある自治体に寄付をすると寄付をした分が所得税や住民税から差し引かれる(控除される)ため、支払う税金が少なくなり、更に特産品が手に入る制度です。ワンストップ特例を利用すれば、確定申告が不要となります。言い方を変えると(不正確であればご容赦ください)、同制度を利用しないで納税する場合と比較して、2,000円の自己負担で、納税額の一定割合の特産品を手に入れることができる制度と言えます。(納税額+2,000円≒特産品)色々なサイトがありますので、特産品や地域を比較検討することができます。

ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | お礼の品掲載数No.1 (furusato-tax.jp)

【さとふる】ランキングとレビューで探せる利用率No.1ふるさと納税サイト (satofull.jp)

 

注意点として、年末間際にあわてて申し込むと、同時に特産品が送られてくることが発生し、冷蔵庫に入りきらない可能性があります。また、控除額の上限を超えて寄付してしまうと、割高な商品を購入するのと同様の結果となりますので、あわせてご留意ください。各サイトにシミュレーションのページがあります。

 

他にも一般的ではありませんが、所得控除には雑損控除や寄付金控除、小規模企業共済等掛金控除、税額控除には配当控除、外国税額控除等があります。

 

上記の通り、給与所得者の場合、税金対策に限界があることが事実ですが、特に該当する方は④の住宅取得控除をお忘れなく、それ以外の方は、⑤のiDeCoやDC、⑥のNISA、⑦のふるさと納税の検討は必須だと思います。このような対策の後は、皆さんのご本業での収入の最大化を目指して頂きたいと思います。

尚、個別具体的な税務に関しましては、税理士の方にご相談ください。

 

次回は、⑥のNISAについて関連するテーマをお伝えしたいと思います。

 

当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。

内容に関しましては、株式会社 Noble principleまでお問い合わせください。