前回は、戸建てとマンション(区分所有)に関してのコメントでした。
個人的には、やや「マンションの方が住みやすいかな?」というスタンスですが、
改めて、マンションの課題について考えてみたいと思います。
特に一次取得者(初めての購入)の方には、理解しておいて欲しい項目です。
尚、賃貸でお住まいの方は、駐車場以外のランニングコストはかかりません。
◆修繕積立金の水準
マンションに住むと毎月、修繕積立金や管理費がかかってきます。
管理費はエレベーターやゴミ収集などの共用部分維持コストであり、修繕積立金は建物のクオリティ維持のため、将来の修繕費用です。どちらも定期的に発生するコストですが、性質が異なります。
修繕積立金は、長期修繕計画に基づき、将来の大規模修繕などに備えて、計画的に積立されるものです。しかし、管理組合の中には、修繕積立金が十分にあるケース、不足しているケースがあって、財務状況は様々なようです。毎月の修繕積立金は、負担が少ない方が楽ですが、積立不足で将来、追加負担を求められると言うのも困ったものです。
特に中古物件の購入を検討する際は、事前に長期修繕計画の有無や修繕積立金の水準を確認しておきたいものです。また、新築の物件でも長期修繕計画と積立金の水準が妥当か確認が必要ですね。
修繕積立金は、毎月負担するコストではありますが、マンションの価値を維持するためのものですので、安ければ良いという性質ではありません。
◆総戸数と管理費のバランス
戸数の多いマンションと少ないマンションは、どちらが良いでしょうか?
戸数が多いと、様々なタイプの入居者の存在が考えられ、管理組合で意見がまとまらないケースや共用部などを大事に使わない入居者が出てくるケースもあるようです。もちろん、戸数が少なくても、そのような方はいるかもしれませんが、ある程度、お互い、個人を特定できるので、入居者のまとまりがあることが多いようです。
一方、コストの面では、エレベーターなどは、それなりのメンテナンスコストがかかるため、入居者数が少ないと一戸あたりの負担は大きくなる傾向があります。また、共用部の清掃やゴミ収集場所の管理などのコストも入居者負担もありますから、戸数が大きいマンションよりも戸数が少ないマンションの方の管理費が高くなる傾向があります。
尚、敷地内駐車場の収入は、管理組合の収入になります。
◆機械式立体駐車場
比較的新しいマンションには、駐車場の附置義務(敷地内での一定数の駐車場の確保義務)が課されており、一定水準の駐車場が確保されています。しかしながら、用地に限りがあるため、機械式の立体駐車場の設置が多いのが現状です。駐車場のタイプによって、メリット、デメリットも異なるようですが、以下に考え得るデメリットを列挙してみます。メリットは、狭い用地でも多くの車が駐車可能ということに尽きますね。
・車を出すのに時間がかかる(大規模マンションの場合は特に顕著のようです)
・地下部分は、浸水被害のリスクがある
・機械式立体駐車場が浸水した場合、修繕コストもかかる
・機械式駐車場は、メンテナンス費用が高い
・ミニバンなど車種によっては、サイズオーバーで使用できない
・空車が多くなると、管理費の値上がりにつながる
・解体するにも相応のコストがかかる
機械式立体駐車場を使用していた知人の話によると、「新築時は駐車場使用率が高かったものの、次第に車を手放す入居者が増えるにつれ、管理組合の駐車場収入が減少し、それを補うために入居者の管理費負担が増加した」とのことでした。駐車場を利用していなくても、人ごとではありませんね。
また、経年劣化とともに、駐車場のメンテナンスコストも増加し、知人曰く、「今後は、機械式立体駐車場のあるマンションには住みたくない」とのことでした。私が以前、住んでいたマンションの駐車場は、平置きだったため、そのような悩みはありませんでしたが、昨今の異常気象では、車が浸水するリスクも高くなってきていますので、駐車場の立地や車を避難できる場所の確認などにも注意を払いたいものですね。何年か前に台風が首都圏を襲った際には、浸水や風の被害を避けるため、羽田空港の駐車場に車を移動された方々もいたようです。
マンションの購入を検討されている方は、駐車場が機械式立体駐車場かどうかの確認も必要かと思います。駐車場を使用していなくても、将来の管理費に影響が考えられますので、要チェック項目かと思います。もっとも、他の項目を含めた優先順位を考えると、機械式立体駐車場だからダメとも言えず、何とも言えない部分はありますけれど。
上記の課題をクリアするような画期的な機械式立体駐車場ができれば良いのですが、
◆管理会社と管理組合
管理組合は、区分所有者(マンションの部屋の所有者)が加入しますが、義務でもあり、権利でもあると思います。理事は持ち回りです。戸数の少ないマンションの場合は、すぐ、回ってきますね。私も最初は、正直、面倒に感じました。
築年数が経ったマンションの事例を聞くと、管理組合のスタンスによって、マンションの評価(価格や人気)は、かなり、変わってくるようです。マンションの管理会社に良い管理をしてもらうためにも、今は、管理組合の機能は非常に重要だと感じています。建替え決議などの重要な決議事項の際も、管理組合と入居者のまとまりが成否を分けます。
管理会社に関しては、新築時は、建築に関わった企業のグループ会社が管理することがほとんどだと思います。担当者の方や組織体制によって、入居者からの評価は大きく分かれます。場合によっては、管理組合から管理会社変更の手続きが取られることもありますね。必ずしも、大手が良いとは限らないようです。
そもそも、管理会社主導の管理コストが妥当かどうかや修繕計画の妥当性など、管理組合が確認しなければならないことは少なくありません。マンションの維持には、運命共同体である管理組合の結束が大事だと強く感じます。面倒sくさがらず、総会には参加して意見交換を行い、他の区分所有者とも親交を深めたいものです。
次回は、「リーマンショックと今回のマーケット下落との類似点、相違点」の予定です。
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