今回は、臨時のブログです。
が急落した際に行われる投資行動についてコメントします。7月9日現在、マーケットが調整に入りつつあるかもしれませんが、大きな危機が近いという相場観をもっているわけではありません。思いつくままに、箇条書きで対応策の是非を確認したいと思います。原理原則として、「致命傷を負わない」という点と、少額のポジションでも「マーケットに居続ける」という点が重要です。リーマンショックや他の急落時に個人投資家や機関投資家がどのような投資行動をしたかを、私の記憶(かなり、あてになりませんが)の範囲でまとめるとともに、個人の投資家ベースで対応できるものをピックアップしてみました。それらを選択しても、タイミング次第で損益が大きく変わりますし、他のポジション次第でも損益が大きく変わりますので、あくまでも、ご参考に留めてください。投資にあたって大事なものは、銘柄や投資対象をヒットさせること以上に、投資ポジションと精神のリスク管理というのが個人的な信条です。
しつこいですけど、投資は自己責任となりますので、ご了承ください。
【マーケット急落時の対応策】
・何もしないで見ている
・気にしない
・安くなった有価証券(株式、投信等)を追加で買付する
・平然と積立を継続する
・一部の有価証券を売却し現金ポジションを作る
・慌てて、全ての有価証券を売却し、後悔をする
・ブル/ベア投信を買う
・ブル/ベアETFを買う
・信用取引で新規の売りをする
・株式先物取引でショート(売り)のポジションを取る
・株式先物オプションでプットオプションをロング(買持ち)する
・ゴールド(または現物の金)を買付する
【マーケット急落時の対応策へのコメント】
・何もしないで見ている
→意外と正解のケースも多いと思います。マーケットが▲20%程度の調整することは、例年、一時的にはあり得ます。その後、反発して元の価格以上になったりもします。その際にリバウンドをシッカリするものなのかどうか、という判断は重要ですね。リーマンショックの際も、新興国株や米国株は、比較的、早く回復しました。但し、数年に一度以上のクラッシュレベルの際には、何らかの手段を取った方が良いとは思います。
・気にしない
→「買ったら売らない」というスタンスの方に多く見られます。これもひとつの判断だと思いますが、大きなクラッシュが起きた際には、グローバルで経済対策がうたれたり、超緩和的な金融政策が行われたりします。そうすると、クラッシュ後の業界動向や企業の競争環境が大きく変わり、勝ち組の企業が大きく変化したりしますので、変化には対処したいところですね。また、為替も中央銀行の政策で大きく変動します。
・安くなった有価証券(株式、投信等)を追加で買付する
→余裕資金で追加買付は良い判断だと思います。但し、買付を一回に全力ですることは控えた方が良いと思います。リーマンショックの際、投資信託を保有し、追加投資を試みましたが、買付しても買付しても下落が止まらず、含み損が増えるばかりでした。自己反省ではありますが、もう少し、計画的に▲10%、▲20%、▲30%という段階を踏んで追加投資を行えば良かったと記憶しています。
・平然と積立を継続する
→王道だと思います。仮に含み損の状態であっても、追加投資を行うことで取得コストが低下します。口数を多く取得できますので、元の価格に戻るだけで含み益が増加します。積立NISAやiDeCoで投資をされている方は、是非、継続してください。但し、バランス型や債券型の投信の場合、下落からの回復に時間がかかるケースがあり得ることはご承知ください。大きな危機が起きた場合、全ての資産(株だけでなく、債券やコモディティも)が売られる局面が訪れることもあります。別の機会(相関係数)のテーマでお伝えします。
・一部の有価証券を売却し現金ポジションを作る
→投資タイミングを理解されている経験のある方、投資判断のできる方にとっては有効なケースもあると思います。早期に現金化した後、リバウンドの初期に再投資できれば、大きなリターンが期待できます。但し、どのタイミングかという投資判断の難しさを排除することはできません。現金化したのが、どん底で買い戻ししたのが戻り局面では、投資効果はありません。また、証券会社で株式委託手数料はかかりますね。
・慌てて、全ての有価証券を売却し、後悔をする
→お勧めできません。仮に売却するにしても、将来性の高いものは残したいところです。
各国の中央政府や中央銀行にとって、金融マーケットの混乱は避けるべきものであり、
早晩、対策が実施されます。慌てて、全てを底値で売ってしまうというケースは良く見る光景でした。
ここからは、中級レベル以上になってきます。
・ブル/ベア投信を買う
→ブルは強気、ベアは弱気という意味です。ブル投信は指数が上がれば同程度、上昇しますし、ベア投信は指数が下落すれば同程度下落する設計です。ダブルブル/ベアという商品もあり、その場合は、上下とも2倍程度の値動きになります。留意点としては、どちらも投信の場合は、終値ベースでの価格となりますので、下がっているからベアを買うと下がった終値での購入価格となり、翌営業日以降、下落が続かないとうまくいかないということとなります。また、ETFも同様ですが、通常の投信よりもコストがかかるだけでなく、長期で保有するとネガティブな現象が起きます。
単純化しますが、指数が毎日、5%ずつ、上下を繰り返し、10営業日目に元の価格に戻ったとします。すると、原資産の指数の100に対して、ブルの10営業日の評価(コストを考慮していません)は、98.76になってしまいます。これは、日次での価格変化の連動を目指す全てのブル/ベア系の運用に伴うもので、避けることはできません。トレンドがハッキリしないボックス圏での動きでは、これらの商品の特徴を生かすことができません。従って、投資する際は、ピンポイントで短期のポジションにしたいものです。
100→100(10営業日目の指数)
100→105→99.75→104.74→99.50→104.48→99.25→104.21→99.00→103.95→98.76
(各+5%、▲5%を繰り返す)
・ブル/ベアETFを買う
→こちらも上記と同様ですが、マーケットが開いているタイミングであれば、いつでも売買できる特徴があります。機動性という面では、ブル/ベアに関する限り、投信を活用するよりも、ETFを利用した方が好ましいと思います。
・信用取引で新規の売りをする
→かつて、信用取引口座の開設の条件は結構、ハードルが高かった記憶があります。預かり資産が3,000万円以上とか5,000万円以上とか、現在、ネット証券等ではハードルが下がっているようですが、審査があります。
新規の売りに関しては、マーケットの下落時に限らず、その方の相場観にはなります。リスク管理の手法としては、保有銘柄を信用で売って、ヘッジするという考え方があります。株数を揃えれば、現物の評価損が信用の評価益となり、損益がフラットとなります。逆に株数を揃えないポジションというものも考えられます。個人的には、現物を伴わない信用新規の売りに関しては、追加保証金を求められるケースもあり、あまり、推奨できませんね。お好みではありますが、それであれば、ベアのETFを選択します。
・株式先物取引でショート(売り)のポジションを取る
→こちらも証券会社で口座開設のハードルが高い取引です。現在は、上記の通り、ブル/ベアのETFも投資できますので、一般の方はそちらの方で良いと思います。機関投資家の皆さんは、厳密なリスク管理の上、現物と先物のポジションのリスク量を把握した上で、ポジションの調整を行いますので、一般の投資家の皆さんのフィールドではないと思います。
・株式先物オプションでプットオプションをロング(買持ち)する
→こちらも証券会社で口座開設のハードルが高い取引です。株式先物以上に専門的になりますので、一般の投資家向けでは無いと思いますが、ロングポジションであれば、損失はプレミアム分に限定されること、アウト・オブ・ザ・マネーの安いポジションを取れば、少額の損失限定、利益無限大(プットの場合はやや異なりますが)となり、保険料としての投資であれば有効でもあります。この取引も、マーケットの影響を受ける総金融資産とプットのポジションの金額のバランスをどうやってリスクコントロールするか、という専門的で難しい課題が伴います。損失限定という意味合いでは、ロングポジションに限って、研究の上、検討する価値はあると思います。
・ゴールド(または現物の金)を買付する
→金額マーケットが混乱する際にリスク回避として、金が買われることがあります。大混乱に陥っている時には、金も高値近辺である可能性はあり、そのタイミングで購入すべきかどうかは、一考の余地があります。但し、普段から一定のポジションを保有することはリスク管理の面でも資産分散の面でも有効と思っています。尚、別の機会に紹介しますが、現物の金は税制面で不利になることもある点、国内のETFは流動性に乏しい点、金は基本的に米ドルベースでの取引が基準となるため、金が買われる局面は米ドル安円高となる場合も多く、そのケースでは円換算の金価格は減価することとなります。
結論としては、金の購入は、投資信託経由が税制面、流動性でも優れていると思われ、できれば、為替ヘッジ付(円高になった際の影響が軽微)の商品も併せて検討できれば良いと思います。個人的見解としての売り時は、マーケットが大混乱に陥り、金が買われている局面で金売り株式買いのポジションを取りたいと思っています。
リーマンショックやチャイナショック、コロナショック等の金融マーケットの混乱は、数年に一度はあるものと考えていた方が良いと思います。それに備えて、追加投資できる現金の確保や積立の継続、金の保有等の対策は通常でも可能です。また、確信度が高い場合に限りますが、評価損の小さいものを売却して、評価損の大きいものを購入し、取得コストを下げるという方法もあります。分散していないと値動きが連動してしまいますから、分散が必要ではありますが、私の場合は、国内リートを保有していた際に株式よりも下落が小さかったため、リート売却、株式購入というアプローチを取ったことがあります。値動きは、株式の方が一般的に大きいので、リバウンドが早めにあれば、リカバーも早くなります。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。
内容、ご相談に関しましては、株式会社 Noble principleまでお問い合わせください。