今回は、自動車購入に絡む残価設定ローンに関するコメントです。
残価設定ローンとは、自動車を購入する手法のひとつで、残価クレジットとも呼ばれています。レクサスに限りませんが、最近、高級車に乗っている若い方が多いなという印象がありました。また、散歩する際に、古びた賃貸アパートに高級車が駐車している光景もよく見かけます。
平均賃金や平均年収が決して高くなっている状況でもないのに、600万円とか700万円以上の自動車をよく見かけることに、やや違和感を覚えます。
このシステムを端的に言えば、「車を返却前提で安く乗れるシステム」ということですね。スマホにも同様の契約があるようで、「使用する期間の分だけ対価を支払う」とも言えます。短期間で新車に乗り換えることができる点は大きなメリットかもしれません。
但し、諸条件があり、必ずしも有利と言えません。
前述の通り、残価設定ローンは、少ない月々の負担で新車を手に入れることができる手段のひとつです。
あらかじめ、残価を設定し、新車価格から残価を引いた金額をローンで支払う仕組みです。
車体価格全部をローンで支払うよりも、対象となる金額が小さいので支払い額も小さくなります。残価が高ければ高いほど、支払い負担が小さくて済みますね。
契約終了時には、残価を一括で支払うか、再度、ローンを組むか、車を返却するかの選択が迫られます。
但し、留意点が沢山あります。
◆金利に関しては、新車価格全体にかかること
◆金利が高めに設定されていること
◆基本的に変動金利が該当すること(金利上昇局面では支払い額が増加)
◆総支払額が大きくなる可能性があること
◆所有権は車の販売店にあるため、カスタマイズに制約があること
◆走行距離制限があり、超過すると残価が減じることになること(月1,000キロなど)
◆内外装のダメージのよっては、査定ダウンで追加支払いの必要が生じることがある
◆契約終了時に追加費用が発生する可能性があること(前述)
◆支払後の新車への乗り換えには、同じメーカーの中から選択しなければならないこと
あまり、悪いことは考えたくありませんが、例えば
事故を起こしてしまった場合、きちんと保険に加入していないと修理費用負担や残価への悪影響が出てくるかもしれません。金利が上昇することで支払い額が増加することも憂慮されます。また、自分自身では丁寧に扱っていたつもりでも、内外装の評価が思った以上に低く、契約終了時に追加費用が発生する可能性もあります。
正確な統計は無いようですが、レクサスやアルファードの残クレ率は30%から40%以上と言われているようです。ドイツ車などでも同様の傾向のようです。
車種や地域によっては、それ以上の比率かもしれません。
自宅を保有するか、賃貸にするかという価値観同様、自動車に関しても、他人よりも高級車に乗りたいとか、プライドを持ちたいといった価値観がある方も多いかもしれません。
残クレに関しては、気に入った車を長く乗り続けたいという趣向の方にはマッチしませんね。私は、この傾向なのでご縁がありません。
「大きくて高価格で人気のある自動車に乗りたい」という個々の価値観を否定しません。
が、FPやPBの立場で、相談されたとすると、残クレはお勧めしないと思います。
通常のローンを組むか、現金で購入するか、それが可能な範囲での自動車の選択をお勧めします。総支払額が大きくなる可能性や使用制限などがネックになってきます。
若い年代の方であれば、今後、総収入をどのように増やすかと言う点に注力すべきかと考えます。十分な資産規模になった時に、気に入った車を購入することをお勧めしますね。
視点を変えると、この仕組みは自動車販売店にとって、相当、利潤の大きなビジネスのように感じます。金利収入、新車の販売実績、中古車の確保、瑕疵があれば使用者負担と販売店には、メリットしかないように思えてきます。残クレ顧客は、現金一括で購入される顧客よりも大幅に美味しいお客さまかと思えてきます。このシステムを考えた方のアイディア力や企画力に感服します。
高額な自動車の販売実績を安定的に確保できる点から、マクロ経済的には素晴らしい制度と言えるかもしれません。が、ミクロの視点で言うならば、知り合いや友人には関わって欲しくないシステムですね。
リボ払いも同様ですが、ビジネスで金融に関わることのある方は避けるケースがほとんどだと思います。費用対効果や金利のかかり方などを理解できれば、利用することはあまり無いでしょうね。寧ろ、このような仕組みを考えてより収益を挙げることに注力すると思います。
残価クレジットに限らず、お得そうに見えても、実際は避けた方が良いものが少なくありません。個々の価値観については、コメントできませんが、金融リテラシーの有無がこんなところにも出てきますね。
次回は、「最近の株価上昇に思うこと」の予定です。
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