今回は、上昇が続いてきた株式市場に関するコメントです。
日米とも今年の株式市場は堅調で、4月の関税ショックから上昇局面に入り、日経225も、一時、52,000円を上回りました。但し、以前のブログでふれたとおり、一部の銘柄が牽引し、市場全体を表すTOPIXのパフォーマンスは劣後していました。
米国株式市場もAI関連銘柄、半導体銘柄が市場を牽引し、バリュー株のパフォーマンスはいまひとつの展開でした。
ここにきて、AIバブルを懸念する声も聞こえるようになってきました。
個人的な認識としては、一部に危なっかしい事象はあるものの、まだ、バブルとは言い切れないと感じています。そもそも、バブルの定義自体が不透明です。指数の下落率が▲10%程度は毎年のように見られますし、▲20%超も数年置きには発生しています。本格的なバブル崩壊ならば、主要指数が▲50%超ということになるかと思います。
バブルとも言い切れない理由としては、著しい株価上昇を見せた銘柄は限定的であること。また、バブル崩壊前夜は、最後の急騰を見せるケースが多く、今回はそこまでの急騰が見られないこと、企業業績も以前のバブルと比べて、シッカリ裏付けがあること、等が指摘できます。
と言っても、かつてのドットコムバブルとの類似点も見られます。企業がニューエコノミー、オールドエコノミーに区分され、前者のみに資金が大量に流入し、急上昇した経緯があり、最近の光景とも似ていますね。
また、バブル崩壊のキッカケとして、利上げや金利上昇(利上げを伴わない場合でも)になることも少なくありません。現在の日本では、長期や超長期の金利上昇が止まりません。日本銀行の利上げの有無は別としても、株式市場の上値の重さに影響を与えていると考えられます。
最近の日本市場は、円安、株安、債券安のトリプル安の様相を呈することが多くなってきており、中国との関係悪化も株式市場に影を落としています。
AIに絡んで、様々な企業が大規模なデータセンター投資に前のめりになってきています。最近では、米オラクルやメタ、アマゾンなどが小国のGDPに匹敵するような規模且つ長期の資金調達を行いました。資金調達の規模が大きいために、ハイイールドと呼ばれる低格付け企業の資金調達に悪影響も懸念されだしたようです。さらに言えば、データセンター投資のリターンが投資額に見合うかどうかという懸念も台頭しています。テータセンター投資で潤う半導体企業や電線企業などは恩恵を受けるとしても、投資する企業の今後の財務状況には注意が必要かもしれませんね。
直近では、オープンAIの「ChatGPT」に対して、Googleの「Gemini3」のパフォーマンスが高いということも話題に上っており、Googleの親会社のアルファベットの株価が堅調な一方、オラクルや日本のソフトバンクGの株価は冴えません。
ドットコムバブルの際も、全ての企業が成長したわけではなく、退場した企業も少なくありません。技術革新の途中ですから、どのモデルが勝者になるか、判断はできませんが、これからの経緯を十分に観察する必要はありそうです。
また、ドットコムバブル崩壊の際は、理由はともかく、“エンロン”や“ワールドコム”といった、今でいうマグニフィセント7と呼ばれる企業群クラスの企業が破綻しています。
巨大企業に対する投資も妄信は危険なケースもあるかもしれません。
仮に現在が、バブル状態と仮定して、今後、崩壊が起きるとしても、切ないのは、売り一辺倒で急落する場合だけでなく、時折、反発することもあるので、その都度、ポジションをとると傷が深くなることが考えられます。バブル崩壊の際には、何らかの信用不安が生じることも多く、CDS(企業や国の信用力の指標)などのチェックも有効かもしれませんね。
得てして、バブルの最中はバブルとはわからず、後になって、わかるのがバブルとも言えます。逆に、バブル崩壊や株式下落を恐れすぎると、投資の機会損失につながることにもなりますので、資金管理やリスク管理を徹底して、対処したいものですね。
特に、YouTubeを含めたSNSの発信では無責任な発信が少なくありません。
金融機関の方が万能とも思いませんが、TVやYouTubeでも専門家の意見を参考にした方が妥当かと思います。もっとも、専門家の方でも万年強気の人も万年弱気の人もいらっしゃることをお忘れなく。
次回は、「そろそろ、年末ですね」の予定です。
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