私は社会人になって、複数の企業に勤務してきました。また、職種が営業職で金融機関や事業会社といった各種法人を対象とした仕事が多かったものですから、色々な企業の内情を伺うことができました。ヘッドハンターやエージェントの方からも、各企業の文化や傾向を聞くことがありました。それらを基に、お仕事に関する私見(転職を中心とした私見)をお伝えしたと思います。勝手な仕事観として捉えてください。
就職先を選ぶ際に、何を優先するでしょうか?
色々な価値観があり、私は優劣も勝ち負けも無いと思っています。とは言うものの、希望する企業に就職した際、期待通りの職場環境や待遇があるとモチベーションが上がりますね。
しかし、実際に就職した後、仲間から他の企業の話等を聞くと、相対的な企業のポジションがわかってきます。異業種でもそうですし、同じ業種でもそうです。初任給は高めだったけど、昇給や昇格が期待できないケース、収入は比較的高いけれど、ハラスメントまがいの職場環境のケース等など、就職活動の際には、わからなかったことだらけです。転職して、別の企業に勤務すると、企業文化の違いや仕事の進め方に驚くことばかりとなります。
蛇足ですが、新卒の需給は、外部環境に依存します。就職氷河期やリーマンショック、バブル崩壊等に直面された方達は、非常に厳しい競争を強いられたと思います。一方、転職の場合は、自分自身で外部環境の良いタイミングを選べるという利点があります。適切な自己研鑽を積むことで、チャンスをうまくつかめる人も少なくありません。勿論、日本の雇用制度は、退職金は勤務年数に応じ、増加するものですから、転職に際するマイナス面もお忘れなく。
また、最終学歴に関してですが、一般的に高い学歴に越したことはありませんが、私の認識ですと、新卒で就職した企業では一定期間は有効であるように感じますが、転職(特に外資)した場合は、小さいように感じました。即戦力としての採用ですから、如何に成果を出すかがポイントで、バックグラウンドに関して、関心はあまり高くありません。(採用時には必要条件として、多少、影響があるかもしれませんが、業務に入るとほぼ、無関心です)
仕事の進め方に関しても様々です。役職などで職務内容が定型化されており、トップダウンで降りてくる仕事をこなしてゆく手法の企業がある一方、業務の目的に即した上で、裁量を持たされ、自分自身で付加価値のある仕事を作ってゆくというアプローチの企業もあります。前者の場合、能力やスキルと職務内容にギャップがあるとフラストレーションが溜まります。後者の場合、指示待ちのカルチャーに慣れていると、苦痛以外ないでしょう。
会議でも発言することに価値を見出す企業がある一方、会議が牽制の場になってしまい、発言することがリスクにつながるケースもありますね。社内的にいわゆる、「忖度」が重要な企業もありますし、あまり、気にしなくても良い企業もあります。やはり、自分自身を含め、多かれ少なかれ我慢を重ねて、仕事に取り組んでいるのが現実だと思います。
さて、本題です。「収入、やりがい、企業に対する愛着」の3つが仕事へのモチベーションにつながる大事なファクターと私は考えています。もちろん、他にもモチベーションの要因になることがあるかもしれませんけれど。この3つのファクターで優先順位を付けたら、どれを捨てることができるでしょうか?
上記の3つが全て揃っている企業で自己実現できるのが一番、望ましい訳ですが、そのような企業はレアケースと考えた方が良いと思います。仮にあったとしても、経営陣が変わったり、株主が変わったりすることで、企業文化が大きく変化することは少なくありません。カルロス・ゴーンさんの例ではありませんが、新たな経営者が前経営陣の方針を否定することで株主や本国の経営陣にアピールすることも普通の光景です。
個人的な見解ですが、「収入」、「やりがい」、「企業に対する愛着」の3つのうち、2つが満たされていれば、基本的にはモチベーション維持が可能であると思っています。が、ひとつだと厳しいと感じていました。いくら収入が高くても、嫌な仕事で愛着のない企業で働くのは苦痛です。また、やりがいのある仕事でも、収入が満足できない水準で嫌悪感のある企業で働くのも苦痛ですね。更に幾ら企業に愛着があっても、収入が不十分でやりがいの無い仕事であれば、転職したくなります。一般的に転職の場合は、収入に対するプライオリティが一番高くなると思います。それはそれで良いのですが、「企業に対する愛着」につながる企業文化の理解が欠かせないと思います。新卒のケースと異なり、社会人の場合、実務経験を積むことでより、具体的なイメージが持ちやすくなります。できるだけ、色々なルートで情報を収集し、面接の際は、敢えて同様の質問を別の方にも聞いて、回答に矛盾がないか等を確認したいところです。また、外資の場合は、職種で応募し、社内の異動は限定的なケースが多いですが、日系の場合は、一定期間の後、初めの職種と異なる職種に異動になることが一般的です。また、希望の職種に中々、就けないことも少なくありません。そのようなケースでもモチベーション維持ができるかどうかが大事となってきます。満足できる収入や企業に対する愛着心があれば良いのですが。上記の3つの項目で、事前に把握しやすさを順番として敢えて挙げると「収入」、「企業に対する愛着(企業文化)」、「仕事のやりがい」でしょうか?「収入」は常識的に考えると事前に提示され、当面は維持されます。「企業文化」は、事前のヒアリングやリサーチである程度、全体像が見えると思います。(退職者が多い等は避けるべきと考えます)「やりがい」に関しては、実際のチーム、部署の仕事の進め方に依存するため、外部からは把握が困難です。仮に知人が勤務している企業であれば、ある程度のイメージはつくと思いますけれど。自分自身の経験を踏まえれば、特に転職の場合、事前に企業に関する具体的な情報収集や人事の傾向、経営者の人柄等の把握ができれば、期待とのギャップは小さくなると思います。
また、転職経験のある方は、同意されると思いますが、一回目の転職は、精神的にハードルが高いものです。面接も慣れていませんし、とりあえず安定した世界から別の世界に移る訳ですから、当然ですね。しかし、二度目以降は、そのハードルが下がります。精神的な面も勿論ですし、社内外の人的ネットワークや情報網も広がってゆくのが一般的です。業種や企業を選べば、引っ越しを伴う異動が限定的というのも特徴の一つだと思います。その一方、短期間で転職を重ねる方も少なくありません。色々な価値観ありますが、あまり、短期間で転職を希望する場合、ネガティブな印象が拭えません。協調性の問題で新たな職場になじめないとか、成果を上げることができないので短期で転職を希望しているとか、そのような印象を持たれることが多いように思います。少なくとも、2年から3年、できれば5年は、新たな職場で実績を積みたいものです。
今回のテーマに関して、順不同でまとめをしたいと思います。
・「収入、やりがい、企業に対する愛着」、どれが大事で、どれを捨てられますか?
・敢えて、一つを捨てるとすると、どれでしょうか?
・新卒でも転職でも、収入以外の企業文化や仕事の進め方の把握をしておきたいですね。
・事前に企業の定性的な企業文化や経営者の考え等を把握できた方が就職、転職リスクは小さくなります。
・転職は自分自身でタイミングを選べます
・二度目以降の転職は、精神的なハードルが小さくなります。
・転職を重ねると、主観的には人事異動に近い印象となります。
・一定の条件を満たせば、転居が伴いません。
・いつでも、希望すれば、転職できる実力をつけておきたいものですね。
・転職を目的とするのではなく、自己実現の場を作る、見つける努力が大事だと思います。
・外資の中途募集は、「業務拡大」、「退職者の人員補充」のどちらかが背景です。
・退職者が多くて、中途募集している場合は、原因の把握が必要です。
次回は、「為替の円安は良いことか?」のテーマを予定しています。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
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