仮想通貨投資をするならば

 

 前回は、最近、改めて、脚光を浴びている仮想通貨に関する留意点についてコメントしました。今回は、前向きに「投資をするならば」という視点で考えたいと思います。

 

前回のおさらいとして、以下のポイントを指摘しました。

 

仮想通貨は、価格変動が大きい点、適正価格がわからない点、価格の方向性を確認する術がチャート位である点、法整備が十分でない点、ハッキングなどのリスクがある点、日本の税制では不利という点

 

 たまたまですが、今週の日経新聞で、金融庁が制度面の整備に取り組むような記事がありました。そこで見かけたのですが、仮想通貨の口座開設数が2,024年末現在で、1,100万件に上るとの記載がありました。実際に投資されている方ばかりではないと思いますが、思った以上の方が興味を持っていることがわかりますね。

 

確かに、ビットコインが急騰すると「億り人」も急増すると言われていますからね。

 

さてさて、個人的な見解ではありますが、以下の項目を意識したいところです。

 

◆投資金額を抑え気味にすること

◆投資後、価格が上昇しても課税面を十分、考えて売却すること

◆株式投資でも代替可能であること

◆投資信託でも代替可能であること

 

 

◆投資金額を抑え気味にすること

 

 これは、仮想通貨の価格変動が大きく、簡単に倍や半分の価値になってしまうことが主な背景です。ある意味、夢を買うつもりで、全損してもダメージが少ない範囲の金額が好ましいと感じています。とは言っても、初期の頃に投資された方は、数百倍以上に価格上昇しているようですから、数万円の投資であってもバカにできませんね。

 

もうひとつ、考えておきたいのが、後述する税金のことです。

 前回のブログでも紹介しましたが、2024年2月現在、仮想通貨の利益は雑所得に分類されます。他の所得と合算され、総合課税となります。最高税率は55%です。切ないのが、雑所得は、損益通算が雑所得内でしかできないため、有価証券の損失などと損益通算ができません。高収入の方が大きなキャピタルゲインを得た場合、総所得の水準によっては、かなり高額の税負担が生じる可能性があります。

 

リスクをとって、大きめの金額を投資し、うまくいっても、売却のタイミング次第では、かなりの税負担が生じてしまうので、現在の税制を前提に考えると投資金額自体を事前に慎重に検討したいところです。国内でも、有価証券の譲渡損益に分類されるETFの誕生が待たれますね。

 

 

◆投資後、価格が上昇しても課税面を十分、考えて売却すること

 

 今後、分離課税に変わっていく可能性はもちろん、ありますが、現時点では雑所得に分類され、投資家にとって、不利な税制になっています。仮想通貨に投資をされる方は、有価証券投資(株式や投資信託)の経験がある方も多いとおもいますが、20.315%の分離課税とは、世界が異なります。少額のキャピタルゲインであれば、条件次第では、申告不要となり、有価証券の税率を下回る可能性はありますが、大きな利益確定をした場合、総合課税となり、利益の大きさと他の所得次第で税率が変わってきます。給与収入が少ない時に、ほどほどの利益確定ができれば、良いですが、所得水準が高い方の場合は、特に要注意です。場合によっては、税理士などの専門家に相談することも検討した方が良いかもしれません。

 

仮想通貨の譲渡益は雑所得に分類される以上、一定の条件次第で確定申告が欠かせません。

また、仮想通貨業者は、税務署に支払調書の提出義務があるため、申告をしていなくても、当局に把握されます。税務調査のリスクも考えられますね。

 

余談ですが、日本の税制に関してですが、

 

 株式投資をされている方の中には、ヘッジの為に、株式先物オプションにも取り組まれている方もいらっしゃると思います。が、確定申告が必要で、20.315%の申告分離課税となっています。先物オプション取引内での損益通算は可能です。

ここで、個人的に腑に落ちないのが、有価証券投資のヘッジ手段であるにも関わらず、有価証券の譲渡損益と先物オプションの譲渡損益の損益通算ができない点です。

 

 先物オプションの投資手法は、マーケットが下がりそうな局面で、先物を売る、プットオプションを買う、コールオプションを売る等の手法でリスクヘッジを行います。

 仮に、マーケットが下がらなかった場合、保有している有価証券にダメージがありませんが、(正確には必ずとは言えません)先物オプションのポジションではロスが出る可能性が高くなります。この場合、損益通算が有価証券の譲渡益と先物オプションの譲渡損との間でできないのであれば、ヘッジ手段としての効能に限界があるようにも感じます。

 

仮想通貨にせよ、先物オプションにせよ、税制の整合性に疑問を感じますね。

 

◆株式投資でも代替可能であること

 

仮想通貨投資に関して、税制の制約があることは再三、述べました。

それを回避するための手段として、考えられるのが有価証券投資です。もちろん、仮想通貨と同一の値動きをする訳ではありませんが、仮想通貨のビジネスに取り組んでいる企業等は、価格に一定の連動性があります。

 

仮想通貨関連株で検索すると日米とも多くの企業名が出てきます。

 

【仮想通貨(暗号資産)】関連が株式テーマの銘柄一覧 | 株探

 

仮想通貨の株式テーマ銘柄 – 株探(かぶたん)|米国株

 

どの銘柄が良いかは、皆さんのお好みですが、研究すると仮想通貨よりもリスクリターンのバランスが良い銘柄が出てくるかもしれません。

前述の通り、仮想通貨関連銘柄でも株式ですから、株式の税務となります。

 

 

◆投資信託でも代替可能であること

 

「仮想通貨!!」を銘打った投資信託は存在しないように思います。

 

が、以前、証券会社の商品企画部門で業務をしていた際に、紹介されたファンドに興味深いものがありました。

 

インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド 【愛称:世カエル】

 

 このファンドは、あくまでも「ブロックチェーンの技術」に着目したファンドという建付けです。が、仮想通貨自体、ブロックチェーンの技術を用いていること、組み入れ銘柄を見ると、仮想通貨関連銘柄があること等から、仮想通貨の値動きに一定程度、連動することが期待できるように感じています。

 

早い段階で、仮想通貨への投資の税制面の改良、仮想通貨のETFへの投資が可能になることを期待したいと思います。

 

次回は、「安定運用の投信でも元本割れする?」の予定です。

 

 

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