個人的、金融危機後の投資戦略

 

今回は、昨今の欧米の金融不安に関してリーマンショックを振り返って投資戦略を考えてみたいと思います。私見と独断に基づいていますので、悪しからず、ご了承ください。

また、ブログ掲載のタイミング悪く、前回の含み損銘柄に関するコメントと矛盾する点が多数あります。あわせて、ご理解のほど宜しくお願いします。

 

 今回のような金融不安で株式が大きく調整する場合、投資のチャンスでもあり、ピンチでもあります。基本的に谷がどこまで深いか、いつまで続くのか、という点がわからない以上、過去の事例を踏まえ、私は、致命傷を負わないことを最優先にしたいと考えます。

 

 金融不安や金融危機のケースで、タチが悪いのは、不安が連鎖することです。最初は、小規模な金融機関の信用不安であっても、次第に連鎖が大きくなり、最後には巨大な金融機関の信用不安に至ったのは、リーマンショックの際も、今回も同様(クレディスイスの事例です)だと思います。また、金融不安だけならば、まだ、良いのですが、先々、実態経済に影響を及ぼすことも十分考えられ、銀行の融資姿勢が厳しくなることで不動産市況やベンチャー企業の資金繰りへの影響も懸念されます。

 

 また、以前のブログでもご紹介しましたが、今回も本震の前の前震のような事態も考えられます。リーマンショックの約1年前にパリバ・ショックが発生し、約半年前にベア・スターンズの破綻、その後、中小金融機関の破綻、リーマンブラザーズの増資を経て、本丸に至りました。その間、約1年です。今回も同様の経緯になるとは限りませんが、シリコンバレー銀行(以下SVB)破綻から、少なくとも3ヶ月から半年程度は、要注意期間として警戒したいと考えています。リーマンショックの後も、約半年程度は、金融マーケットが不安定で急落が度々、発生したことを記憶しています。この事例では、ベア・スターンズの破綻からリーマンショックを経て、マーケットが落ち着くまでに約1年がかかっています。

 

 今回のSVB破綻、クレディ・スイス合併でもわかる通り、信用不安が進行する際には、強烈なスピードで不安が高まります。各投資家がリスクを劇的に落とす作業をしますから、その時に対処しても間に合わないことも多いように感じています。事前にキャッシュポジションを多めに持つ、リスク量を減らしておくなど、精神的な負荷が大きくならないようにしたいものです。もちろん、金融当局の対応で危機が連鎖せずに収束することも考えられ、機会損失が発生することも十分ありますが、やはり、致命傷を負わないことを優先したいと私は考えています。

 

一方、積立NISA、iDeCoなどの積立は、粛々と継続したいものです。

仮に谷が深く、長くなったとしても、信用不安もいつかは落ち着きます。

一時的に含み損になっても、株価が下落した局面で買付けできれば、取得コストを下げることができ、上昇局面では早い段階で含み益に転じることも期待できます。

リーマンショックの際も同様でした。

 

スポットでの投資の場合は、どうでしょうか?

 

個別銘柄も投資信託も株価下落により、魅力的な水準になることが考えられます。但し、株価の底値は、事後的にしかわかりません。谷の深さが事前にわからない以上、計画的な投資を心がけたいものです。個別株でも投資信託でも同様ですが、下落が続くとすれば、最低、3回以上に分けて投資したいと個人的には思っています。

 

やや、脱線しますが、取得コストの計算例です。

 

 100円だった株価が80円になれば、投資魅力が増すのも事実ですが、60円まで下落することも、信用不安の中では考えておく必要があると思います。従って、80円で第1弾、60円で第2弾、40円で第3弾というイメージで追加投資を検討したいところです。同一株数、乃至は同一口数ならば、3回の投資を行うことで平均60円の取得コストになります。

 

尚、個別株では投資単位がある関係で、難しいケースが多いですが、投資可能金額を分割して、基準価額水準や株価水準で投資するとより取得コストを下げることができます。

 

例1)

1,000円で1,000株投資し、500円で1,000株投資した場合、取得コストは、750円になります。1,000円で投資+500円で追加投資(100万円投資+50万円投資)の場合、

 

(1,000円×1,000株+500円×1,000株)/2,000株=750円

 

例2)

投資予算が200万円あったとして、100万円ずつ投資するケース(同一金額)

1,000円で100万円(1,000株)、500円で100万円(2,000株)投資した場合は、取得コストは667円となります。

 

(1,000円×1,000株+500円×2,000株)/3,000株=667円

 

 上記の通りの結果なので、可能であれば同一金額を投資することで、より取得コストをより下げることができます。株式の個別銘柄の場合は、投資単位があるので、難易度が高くなりますが、投資信託の場合は、金額指定で購入すれば、対応可能です。基本的に積立はこのケースに該当しますね。

但し、個別株も投資信託も銘柄によって、急落後の回復のスピードが異なりますので、銘柄選択には慎重を期したいものです。

 

尚、リーマンショックの際の個人的な反省点ですが、想定以上に株価下落が激しく、一応、計画的に買い下がりしたつもりでしたが、最後の投資をした後も更なる大幅下落に見舞われました。本当の底値になった時には、既に投資可能資金が尽きた状態でしたね。それでも、取得コストを多少なりとも下げることができたので、回復局面では比較的、早めに含み益に転じることができました。

 

 信用不安によって、投資家心理が悪化すると無責任に危機をあおるような記事やコメントを見る機会も増えてきます。できるだけ、無視することが良いと思います。但し、基本的には、やや悲観的で慎重なスタンスの方がベターと思いますが、とは言え、投資のチャンスでもあるわけですから、リスク管理を怠らず、キャッシュポジションとリスク資産のバランスを決めていきたいものです。

 

私自身、SVB破綻の前に含み益だった株式が、あっという間に大幅含み損に転落しました。

 本格的な回復にはまだ、時間が必要と思っていますし、今後、新たな信用不安や景気低迷の可能性も視野に入れつつ対処したいと考えています。ダメージが大きければ、大きいほど、早くリカバリーしたい欲求に駆られますが、しばらくの間は慎重を期したいと思います。全力でリスクを取るのでは無く、50%~60%程度の水準を個人的に意識しています。

 

この信用不安が皆さんにとってチャンスになることを祈念します。

 

次回は、「零細投資家日記2023-1Q」の予定です。

 

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