利上げがされると・・?

 

今回は、金融市場で話題になっている日本銀行の再利上げについてのコメントです。

 

 中央銀行は、短期金利を調整することで景気刺激や景気を冷やすことを目指します。

基本的に、物価の安定、金融システム、雇用の最大化の安定が目的とされています。

基本的には、長期金利は市場の需給で決定します。言い換えると、利下げをしても、長期金利が低下するとは限りません。

 

現状、米国は雇用情勢が悪化し、インフレ懸念があるものの、利下げが実施されています。

欧州は、景気低迷で利下げが実施されました。我が日本の場合は、物価上昇が目立つことから、利上げ方向とされています。

 

さて、日本銀行が利上げを行うと何が起こるでしょうか?

 

 まず、円安がインフレを招いているという見解もあり、利上げを行うことによって、海外との金利差縮小で、円高方向に圧力がかかりやすくなります。但し、為替は金利差だけで動くものでは無く、日本の信用力が落ちると利上げを行っても円安になりやすくなります。

また、円高になると、海外からの物品が為替の分、減価しますので、インフレが落ち着くことが期待されます。こちらの点も万能では無く、海外の生産コストが為替の円高分以上に上昇すると、結局、円ベースの物価が低下しないということも考えられます。

何もしないよりは、マシという印象がありますね。

 

また、利上げを行うことで、消費(需要)を抑え、インフレが低下する効果も期待されています。とは言え、現在の日本の物価上昇は、供給サイドのコスト増が原因で、需要が過多という訳ではありませんから、この視点でもインフレの沈静化の効果は限定的かと思います。

 

預金者には朗報です。

預金金利上昇による金利収入増加が期待できます。一方、金融所得課税強化の話題もあり、預金に対する税率が20%から30%になるとの予測もあります。仮に増税されると、預金金利上昇の恩恵が減ることになりますね。

 

負の面はどうでしょうか?

 

借入金利が上昇します。

個人の借入れに関しては、住宅ローンや自動車ローン等への悪影響が考えられます。

特に住宅ローンは、昨今の不動産価格、資材価格高騰で住宅価格が上昇し、頭金の少ないトーンやフルローンで借入れをされている方が少なくないようです。ローンの種類にもよりますが、一時的には支払い額が増加しないケースでも、総支払額は増加します。

また、通常の自動車ローン以外でも、残価クレジットやリボ払い、消費者ローンの金利上昇も考えられます。可処分所得減少による個人消費への悪影響が考えられますね。

 

 

 また、金融政策は、全国共通で、各地域の経済動向の濃淡を十分、考慮できない点は難しいですね。都市圏は景気が堅調な一方、地方経済は基本的に疲弊しています。

輸出企業の下請け企業は、関税の影響も少なくないようです。

最低賃金の上昇なども、人件費高騰で経営に影を落としているのも事実です。

 

大企業勤務の方や財務基盤の強い企業への影響は限定的かと思いますが、日本経済全体の消費や設備投資への悪影響が懸念されます。

 

前述の通り、現在の日本のインフレは外部要因が大きい点(需要が強くて物価上昇している訳ではない)や景況感が必ずしも良くない点などから、早期の再利上げには個人的に、やや、疑問を感じます。

 

拙速な金融政策変更が、将来に禍根を残すリスクを私は感じています。

 

次回は、「配当遅延? みんなで大家さん」の予定です。

 

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