最近、ブログの更新が滞り、ご心配おかけします。
今回は、最近、SNS等で話題になっている「メタプラネット」という企業についてコメントします。
「メタプラネット(3350)」という企業があります。
会社四季報によると、東京でホテル1店を運営している企業ですが、仮想通貨投資を始めることで、注目を集め、株価が急騰しました。
(株)メタプラネット【3350】:株価チャート – Yahoo!ファイナンス
この1年で、安値対比、株価は約26倍になり、過去2年に遡ると98倍になりました。
ビットコインの大幅上昇したことで、仮想通貨投資に注目が集まりました。
米トランプ大統領の次男が戦略アドバイザーに就任するなど話題に事欠きません。
但し、従業員は連結ベースで23名、本社は、六本木ヒルズだそうです。
また、仮想通貨投資の資金調達は、エボファンドというファンドを割当先にするワラントを発行して行っているとのことです。
株主にとって、理由はともあれ、株価が上昇するのはありがたいことです。
が、ワラントを発行して、その資金をビットコインに投資するという財務戦略は、何とも言えませんね。
そもそも、基本的にワラントや転換社債発行は、株式数増加による一株当たりの企業価値の希薄化を招きます。敢えて、そういった手段で調達した資金で仮想通貨投資を行うということが株価上昇ということで、評価されているのが何とも言えません。基本的に資金調達を行う場合の背景として、大規模な設備投資や企業買収などが考えられます。財務戦略的には、投資に対するリターン(ROIやROA)が資本コストを上回ることが適正な投資かどうかの判断基準になるとされています。仮想通貨投資の場合は、期待リターンの算出自体が不可能ですもんね。
同社は、株価上昇によって、株式時価総額は、一時、1兆円近くなり、東電HDやヤクルト、住友林業などを上回ってきています。これらの影響は大きく、他の業績が振るわない企業が続々と仮想通貨投資を掲げ、株価上昇につなげています。株価上昇を通じて、時価総額が増加すれば、株主からの評価は上がりますし、M&Aなどの戦略でも優位になりますし、ストックオプションを発行すれば、経営陣や従業員に経済的に大きなメリットが生まれます。
やはり、個人的には釈然としない気持ちがあります。
そもそも、仮想通貨は大幅上昇することもあれば、大幅下落することもあります。
また、仮に上昇しても、時価評価で資産価値は増えても、営業利益につながるとは思えません。かつて、日本のバブル時代に高株価を正当化するため、「Qレシオ」という評価基準が生まれました。PBR(一株当たり純資産)は、簿価ベースの評価基準ですが、それを時価ベースにすることで、保有している資産価値の上昇を通じて、高株価を評価しました。
ご存じの通り、不動産も株式もその後、長きにわたって、低迷しましたから、その後、「Qレシオ」という言葉も耳にすることは無くなりました。何か、それに通じるものを感じます。
最近、業績の振るわない企業の仮想通貨投資が相次いでいます。
メタプラネットの例を踏まえ、個人投資家にアピールすることで株価上昇を狙っているように思えます。個人的には、本業で持続的な成長を目指すのが企業活動の本質と思っているので、やり過ぎ感を感じざるを得ません。日本には、トヨタや任天堂などのキャッシュリッチな企業が多く存在します。このような企業が仮想通貨投資を行うことは考えられません。
日本の税制で仮想通貨投資は、雑所得に分類され、メタプラネット等の株式に投資する場合の分離課税よりも不利になっています。当局も税務の検討には入ったようですが、米国で仮想通貨のETFが上場していても、日本の投資家は投資ができない状態です。
このような背景もあり、投資家のニーズをくみ取った面もありそうです。
株価上昇は、投資家にとっても、企業にとってもハッピーなことです。
とは言え、安易に仮想通貨投資を謳い、投資家を誘導することが良いことなのか、何とも言えません。考え方が古いのかもしれませんが、企業理念や企業戦略の一部とは言えないと感じざるを得ません。仮想通貨投資を行う企業の本質的な評価がなされるのは、数年先になると思いますが、私の懸念が杞憂で終わることを祈念します。
次回は、「住宅ローンを借りるなら、固定金利、変動金利?」の予定です。
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