最近に限りませんが、時折、「株式市場暴落説」のようなコメントを見かけることがあります。
そのようなコメントを見ても、そもそも、暴落の定義も良くわかりません。
現状から20%下落なのか、50%下落なのか、明快なものは少ないように思います。
「急落するぞ!急落するぞ!!」と煽っているようにも感じます。
投資経験のある方ならば、ご承知の通り、株式市場においては、個別株でも指数でも10%程度の下落(調整とも言いますね)は、普通にあります。
20%程度以上の下落も、感覚的には1年に1回程度は、あるように感じます。
オオカミ少年の話では、ありませんが、ずっと暴落、暴落と言っていれば、そのうち多少の調整はありますね。
まれに説得力のある説もないわけではありませんが、基本的には話を4分の1程度と捉えた方が良いと思います。「そういう見方があるのだね」という感じです。
株価上昇が続き、過熱感があるタイミングや何らかの理由で不安定なタイミングでは、そのような話を聞くと、早めに売却して現金化したくなるのが人情ですね。
仮に、そのような投資行動(現金化する)を取って、その後、更に株価上昇が続いたら、どうでしょう?
明らかに期間損失が生じます。
仮に半年後に実際、株価が10%程度下落したとしても、その間の上昇分を失うことになります。
以前、大手運用会社の方からもらったレポートで、「長期投資において、特に急騰した日(上昇日)を逃すと、トータルのパフォーマンスに大きな影響を及ぼす」というものがありました。稀な現象ですが、1日で指数が5%上昇するようなこともあります。事前にそれを予測できないので、それを享受するために長期投資は有効であるという趣旨ですね。逆に大きな下落を受けるリスクもあるので、100%賛同できる訳ではありませんが、意味合いとしては、概ね、賛成できます。
少なくとも、米国を中心としたグローバル株式市場は、経済成長と共に拡大してきました。一時的な大きな下落があっても、それをリカバーして長期的には大きなリターンにつながりました。ITバブルやリーマンショックと言った大きな下落でも、その後、多少、時間がかかっても、指数は高値を更新しましたね。
ここで、参考までに過去の有名な暴落を振り返ってみます。
ブラックマンデー
1987年11月に米国NY市場で起きた暴落です。
NYダウは、1日で508ドル下落し、下落率は、22.6%となりました。
暴落は、世界中に波及し、翌営業日の日経225も、14.9%の下落でした。
現在の水準で言えば、NYダウの1日の下落幅がおよそ、8,300ドル、日経平均では、5,100円程度の下落に相当します。
強烈ですね。
ショックの背景は、旧西ドイツの利上げ、米国の双子の赤字によるドル安によるインフレ懸念やプログラム売買(売りが売りを呼ぶ)の普及などが指摘されています。
また、金利上昇局面での株高の持続性に無理があったとの指摘もあります。
一部では、現在の米国市場との類似点もあるとの見方もあるようですね。
ITバブル
1999年から2000年にかけて、米国でインターネット関連企業の成長が期待され、通信やIT(情報技術)関連企業の株価が急騰し、日本にも波及しました。
国内では、ソフトバンク(9984)やヤフー(4689)などの株価高騰が目立ちました。
背景として、1997年のアジア通貨危機や98年のロシアのデフォルト、2000年問題への対処などから、FRBが積極的な利下げを行ったことが指摘されています。ITバブルはこうした金融緩和によってあふれたマネーが株式市場に流れ込んだこと、特に一部のセクターに集中したのが一因です。
当時は、ドットコムと社名につくだけで、巨額の資金調達ができました。
崩壊の背景は、金利上昇や株価上昇の過熱感、企業の不正会計や事業失敗、などです。
資金がだぶついているタイミングで、イノベーションが進行し、バリュエーションを無視した投資が行われたことも大きいと思います。
国内でも多くの投資信託が我先にと、IT企業に投資し、崩壊の際には、光通信という銘柄が20営業日以上連続ストップ安という惨劇も生まれました。
リーマンショック
2008年9月に起きた米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻を機に、世界的な金融危機と不況に発展した現象のことです。同社への救済措置がとられなかったことで市場参加者に不安が広がり、信用収縮がより深刻化しました。米国発ですが、先進国、新興国を巻き込み、強烈な金融市場の混乱が生じました。
リーマンショックは、リーマン・ブラザーズ破綻が原因とされていますが、その前のサブプライムローンという通常の審査に通らない低所得の人への融資の焦げ付き、それを証券化して、世界中の機関投資家が投資し、現金化できなくなった面も忘れてはいけないと思います。
背景としてヘッジファンドや金融機関のリスク管理の問題が大きかった印象です。
このように、大きな暴落でも背景はまちまちです。
但し、予兆のようなものは、事後的に確認できますね。
あくまでも、事後的なのが、残念ですけれど。
炭鉱のカナリアではありませんが、金利、為替、クレジット市場(企業の信用力)、原油や金などのコモディティ、地政学リスクなどの推移を見ていると、警戒感が高まっている局面をある程度、確認できるケースが多いように思います。但し、小さな調整で済むケースもあれば、大きな調整につながるケースもあることが、判断を難しくさせます。
今年に関して、敢えて、リスク要因を考えて見ると、
米国でインフレが再加速し、利下げできないケース、場合によっては、再利上げを余儀なくされるケースなどが考えられます。昨年後半から、2024年の早期利下げ期待で、米国株は上昇を続けました。やや前のめりになっている印象もあります。
その前提が崩れると、大きめの調整が入る可能性を感じています。
もちろん、大統領選挙も控えます。
また、中国の景気動向や政治動向にも注意が必要ですね。
とは言え、常に潜在的なリスクはあります。前述の通り、気にしすぎると、期間損失が生じます。ある程度のキャッシュポジション(投資可能な現金)を調整し、一定の手元資金を持つことが好ましいと思っています。
新NISAが始まり、投資初心者の方もいらっしゃるかと思いますが、積み立てに関しては、基本的に継続が好ましいと思います。
来週のブログは、「新NISA開幕!」の予定です。
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