前回は、新NISAに関わる制度面についてコメントしました。
今回は、具体的な投資戦略について考えてみたいと思います。
あくまでも、私見なので、こんな考え方もあると言う程度で、ご覧ください。
新NISAは、毎年、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円が非課税枠となります。
が、各々、投資対象が異なります。
つみたて投資枠は、一部のインデックスファンドだけが対象です。
成長投資枠は、インデックスファンドを含む多くの投資信託、個別株式、ETFなど幅広い資産が対象です。
投資をする前に、特定口座などの通常の取引口座とのすみ分け、つみたて投資枠と成長投資枠のすみ分けなどを考慮したいところです。前回のブログでも触れましたが、新NISA枠で売却した枠も将来的に復活する点も大事なポイントですね。
基本線としては、特定口座よりも新NISAの非課税枠を優先すべきと考えます。
通常の取引よりも、新NISA枠を先に埋めることで、非課税での取引が可能となります。
まず、今回も、思いつくまま、新NISAの戦略面からポイントを列挙してみます。
■投資信託への投資は、新NISA優先。インデックスファンドは、新NISAの積み立て枠を優先して、枠をオーバーした場合に成長枠、その後、通常の特定口座での投資を考えたいところです。
■投資枠は、その年の購入可能額です。年の途中に売却や解約して現金化した場合、枠の復活はその年にできないものの、将来的に復活しますし、投資可能な現金の確保はできます。
■保有期間が無期限化されたとは言え、利益確定も無視はできませんね。
将来の投資枠の復活があることもお忘れ無く。何らかの理由で投資対象が急騰したケースなどは、売却も視野に入れてみたいものです。
■理想は、新NISA枠の満額投資ですが、現実的な余裕資金での新NISA活用が妥当だと思います。魅力的な非課税制度ですが、常に価格変動は伴いますし、損失リスクも存在します。
生活必要資金まで投下して、損失を被ることは、避けたいものです。人それぞれですが、余裕資金の大枠を意識したいですね。
■新NISAは、損益通算はできませんが、失敗した投資の損失確定も念頭に置いておきたいものです。
長期の含み損は、機会損失につながります。個別銘柄の場合、大きな利益獲得の可能性もありますが、大幅な下落の可能性も否定できません。インデックスファンドの場合は、長期的な視点に立てば、極端な大勝ちも大負けも限定的に思われます。
◆それでは、つみたて投資枠に関してのコメントです。
前述の通り、つみたて投資枠は、インデックスファンド一択です。
基本的に株式の場合、将来の企業利益が株価へ反映されますから、成長性の高い企業に投資することで勝率が高まると思います。また、成長性の高い企業が多いのは、人口が伸びている国、若い人口が多い国、イノベーションが盛んな国などですから、積み立て投資枠の主力投資対象(インデックスファンド)は、海外株が中心になると個人的には考えています。国内株のインデックスファンドに関しては、直接的な為替リスクはなく、一時的に海外株を上回るリターンもあるかもしれませんが、長期的に見ると人口減少や高齢化、硬直した税制や社会制度などから、個人的には、優先順位は低く感じます。もちろん、個々の企業で魅力的なものは、少なくありません。
「米国株か世界株か?」という議論もあるようですが、世界株ファンドでも米国の比率が高いため、それ程、大きな違いは無いと感じています。個人的には、米国株(S&P500、NASDAQなど)か世界株式と新興国株式が候補にしたいと思っています。新興国に関しては、ここ数年、目立った上昇はありませんでしたが、基軸通貨国の米国での利上げ停止、利下げ期待が、追い風になってくる(追随利上げをしなくてもよくなる)可能性を感じています。
直感的な個人的な配分としては、
世界株ファンド;60%
NASDAQインデックスファンド:20%
新興国株式インデックスファンド:20%
という印象です。もちろん、変更する可能性は常にあります。
また、国内株に関しては、成長投資枠の方で高配当銘柄や成長銘柄など個別株投資を視野に入れたいスタンスです。
◆成長投資枠に関しては、多くの選択肢が考えられ、個人の趣向や投資スタンス次第の面がありますね。配当などインカム重視の投資、値上がり重視の投資など、方向性も色々ですね。
投資対象としては、内外の個別株やETF、投資信託が候補になります。
個人的には、値上がり重視のカテゴリーは、米国株など海外大型株中心、インカム重視のカテゴリーは、国内株やETF中心に考えたいと思っています。長期や超長期の投資の場合は、最悪の破綻リスクを排除したいので、財務体質などを十分、注視したいと思います。
以前のブログでも紹介しましたが、海外株の場合は、リアルタイム情報に限界があるため、小型株への投資は投資信託を使った投資の方が良いと感じています。
仮に保有銘柄が急落した場合、損失確定すべきか、追加投資すべきか、という判断材料が乏しいのがネックです。国内株や米国大型株の場合は、多少、時間がかかっても、判断材料を確保することは、比較的できやすいと思います。
値上がり重視の投資は、現在では思いつかない成長ストーリーが生まれることもあるため、決め打ちではなく、柔軟に対処したいところですね。
インカム重視(配当など)の場合は、配当の原資である利益が継続的に伸びているか、安定しているかという点がポイントになると思います。もちろん、将来のことは、明確にはわかりませんが、経済の方向性を考えることで、向かい風のセクター、追い風のセクターという判断はある程度は可能だと感じます。
考え方次第ですが、シニアの資産保有層の方であれば、新NISAの対象期間が無期限というメリットを活用して、高配当株への投資も一興かもしれません。極端な話、相続が発生するまで、配当を非課税で受け取り続けるという戦術も考えられますね。預金金利よりも高い配当の企業は沢山ありますし、いざとなれば、売却して現金化も速やかに可能です。(もちろん、実現損の可能性もありますが)
高配当株投資に関しては、個別銘柄で行うやり方、ETFを使って行うやり方、高配当株投信を使って行うやり方など、手法も様々です。個別株の判別が難しい方は、高配当のETFや投資信託に投資するのも一策だと思います。銘柄や商品によって、配当(分配)の頻度や利回り、時期が異なります。
また、前回のブログでも紹介しましたが、NISA投資において、米国株は、国内での課税は非課税ですが、現地での税負担は回避できません。従って、特に高配当株の場合、現地での税負担によって投資効率が落ちることも考えられます。無配や配当水準が低い企業の場合は、影響が限定的で、気にしなくても良いとは思いますけれど。
これから始まる新NISAを通じて、証券市場が活性化し、投資家の皆さんの資産形成が順調に進むことを期待したいと思います。
最近、新NISAを数週間後に控え、日本の高配当株も下値が固くなってきているようにも感じています。高配当株を対象とした投資信託やETFの設定予定も相次いでいますからね。
12月決算銘柄の配当落ち後の株価推移(新NISA開始の影響)にも注目したいと思います。
次回も新NISAに関連する「高配当株投資の留意点」の予定です。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
金曜日が休日の場合は、お休みします。
いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。
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