新NISAの準備に関して

 

2023年も早いもので、折り返しです。

 

 ご存じの通り、来年からNISA(有価証券投資の非課税制度)が改良され、より魅力的な制度となります。概要をおさらいの上、今年中に対処しておきたい準備についてコメントします。

 

今回の税制改正で新NISAが設計された訳ですが、穿った見方では、年金制度が先々、厳しくなるので、自己責任での資産形成を促そうというのが背景とも言われていますね。

 

ともあれ、新NISAは、非課税期間の恒久化、非課税限度額の引き上げ、投資枠の復活というのが大きなポイントです。因みに、有価証券の課税は、2023年7月現在、20.315%(復興課税含む)です。配当や譲渡益(利益)に対して、課税がなされます。大きな値上がり益、大きめの配当金などの場合は、影響が少なくありません。

 

具体的に新NISAの概要を見てみます。(2023年7月現在で把握できる概要)

現状、とても投資家に有利な制度設計となっています。

今後、変更される可能性もあります。

 

  • 保有期間が無期限とされること

 

保有している銘柄の配当が永続的に非課税になります。

また、値上がり益に対する譲渡益も非課税となります。

現状の保有期間は、通常NISAが最長5年、積立NISAが最長20年です。

 

  • 年間非課税枠がつみたて相当分が40万円から120万円に、一般枠相当分(成長投資枠)が120万円から240万円に拡大したこと、(生涯非課税投資枠が1,800万円、うち成長投資枠が1,200万円)です。(年間投資枠:120万円+240万円=360万円)

 

生涯投資枠が1,800万円で年間非課税枠のつみたて分が120万円、成長投資枠が

240万円で、合計360万円、5年間連続して満額投資した場合、生涯投資枠上限に達します。尚、もちろん、満額投資する必要は無く、負担のない範囲で投資すれば良いと思います。

 

  • 投資した有価証券を売却しても、翌年、投資枠が復活する点です。生涯投資枠は変わりません。

 

生涯投資枠の中で、キャピタルゲインなどで売却し、一時的に枠が無くなっても、翌年、投資枠が復活するということです。従来のNISAは、枠が復活することはありませんでした。

 

 

以前のブログでご紹介したように以下のようなプランが考えられますね。

 

【基本プラン】

積立枠相当分:120万円→米国S&P500、グローバル株式などのインデックスファンド

一般枠相当分:240万円→国内高配当株、国内成長株、米国成長株

 

さて、本題の準備に関してですが、以下の準備項目を考えてみました。

 

  • 新NISAに向け金融機関の口座を開設すること
  • 可能な範囲で、今年中に、投資経験を積むこと(NISA枠に関わらず)
  • 資産形成層の方は、収入と支出の改善を図ること

 

まず、

 

新NISA用の金融機関に口座を開設すること

 

2023年中に口座開設は、対応しておきたいものです。

この点に関しては、選択肢が幾つか考えられます。

 

銀行か?証券会社か?

基本的に特別な理由が無い限り、証券会社が好ましいと思います。

銀行では、投信に投資できても株式には投資できません。

また、投信の品揃えに関しても、銀行よりも証券会社の方が充実しています。

 

次に

ネット証券か?対面証券か?

こちらも特別な理由が無い限り、ネット証券の方が好ましいと思います。

ネット証券では、多くの投信がノーロード(販売手数料無し)になっていますし、株式の委託手数料も低率、場合によっては無料です。(NISA投資の場合など)

対面証券の場合は、投信購入の際、販売手数料が基本的にかかります。もちろん、営業マンのサポートがあるから安心という考え方もあると思いますが、コストに見合うか、疑問があります。また、証券会社や銀行の営業の方には、優秀な方も多いと思いますが、こちらのニーズに沿った提案が受けることができるかは、別問題の気もします。

 

次にネット証券の場合、ネット銀行との連携があると利便性が高まります。

資金の移動が振込み手数料無料で、且つリアルタイムで実施されます。

 

◆SBI証券×住信SBIネット銀行

◆楽天証券×楽天銀行

◆auカブコム証券×auじぶん銀行

 

などが挙げられます。

他のネット証券でも大手銀行と連携し、資金移動が容易になっています。

本題とは外れますが、上記のネット銀行は、条件付きで振込み手数料が無料だったり、コンビニ、ゆうちょでの入出金が回数限定で無料だったりします。

 

上記のネット証券も使い易さの特徴は各々異なり、どれがベストとも言い切れません。

但し、どれを選択しても、株式の委託手数料や投信の販売手数料などは無料のケース、低率のケースなどがあり、低コストでの取引が可能です。

 

一方、ネット金融機関の弱点は、投資情報や商品選定などの直接的なアドバイスが無いため、

SNSやネット情報に頼らざるを得ない点でしょうか?ネット証券でも税務処理やネットの使い方などのサポートは充実していますが、対面金融機関での相談のような機能は限定的です。その点がネックですね。SNSなどの情報は真偽不明のものや合理性のないもの、詐欺まがいのものもあるようなので、要注意ですね。

 

年末が近づくと、申込みが殺到する可能性も考えられますから、早めの対応が好ましいと思います。

 

 

可能な範囲で、今年中に、投資経験を積むこと(NISA枠に関わらず)

 

投信にせよ、個別株にせよ、基準価額や株価は、日々、変動します。

 

為替の影響、金利の影響、業績の影響、地政学リスクの影響など、背景は様々です。

 

とは言え、大枠で、長期の視点で考えると、世界の経済規模(GDP総額)が伸びることで、ある程度、連動して株式時価総額も伸びてきました。人間の欲望がある限り、今後も同様の展開が考えられます。但し、短期的には、様々なショックで大きな変動も考えられます。

 

投信を通じた海外株投資の場合、株高や現地通貨高(円安米ドル高のケース)がプラスに働きます。逆に為替が円高、株価下落はマイナス要因です。

いずれにしても、新NISAが開始される前に、日々の価格変動にも慣れておいた方が良いと思います。1%程度の変動は常に発生し、時には、一日で3%から5%程度の価格変動が起きることもあります。

 

価格変動を肌感覚で理解すること、その背景を考える習慣をつけること、結果的に売買のタイミングを把握することなどを通じて、金融リテラシーが高まると思います。

 

投資の感覚や価格変動の感覚、経済的な背景を掴むことが目的ですね。

投資金額は、もちろん、少額で良いと思います。

 

 

資産形成層の方は、収入と支出の改善を図ること

 

 冒頭の紹介の通り、新NISAの投資枠は、年間最大で360万円、生涯投資枠が最大、1,800万円です。金融資産を十分、保有している方にとっては、預金からの資金移動で済むかもしれませんが、資産形成層の方は、そういう訳にはいきません。前述の通り、満額投資する必要は無いので、無理のない範囲で、生活設計を改善し、投資できる資金を確保し、捻出をしたいところです。

 

 投資環境においては、景気変動や株価のサイクルは常にありますが、若年の内に投資できるに越したことはないと思います。月々1万円から3万円程度を積立枠で投資し、ボーナス時期に成長枠投資を使うようなイメージですね。また、NISAは、iDeCo(確定拠出年金)と異なり、いつでも現金化は可能です。(勝っているか、負けているかは別として)

知り合いの方は、積立NISAを始め、毎日の数字を見るのが楽しみになったそうです。(最近、投資環境が良いからでしょうけれど)

 

今年前半の株式市場は、非常に好調でした。

常に好調な訳ではありませんし、数年単位で見ると、好不調の波が見られます。

大化けする市場や銘柄も少なくありません。

また、配当利回り3%の銘柄であっても、10年保有すれば、30%のインカムになります。

これもバカになりませんね。

 

来年からの新NISAを通じて、皆さんの投資が成功することを祈念します。

 

次回は、やや難解ですが、「投資家から見た企業の公募増資と売り出しについて」の予定です。

 

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