今回は、新NISA制度に関する留意点です。
概要は既に公表されていますが、盲点がありました。
結論から申し上げると「NISA枠の復活のタイミング」に関するものです。
私も認識しておらず、証券会社勤務の知人から教えてもらいました。
運用会社のレポートなどでも、的確に説明しているものも見られますが、新聞報道でも正確ではない記載も見られます。
2023年8月時点での情報ですが、今後、変更される可能性もあることをご承知ください。
まず、新NISAのポイントを再度、確認します。
■保有期間が無期限とされること
■年間非課税枠がつみたて相当分が40万円から120万円に、一般枠相当分(成長投資枠)が120万円から240万円に拡大したこと、(生涯非課税投資枠が1,800万円、うち成長投資枠が1,200万円)です。(年間投資枠:120万円+240万円=360万円)
■投資した有価証券を売却しても、翌年、投資枠が復活する点です。生涯投資枠は変わりません。
3番目に記載されている「売却した場合、翌年、投資枠が復活する」というのが正確ではありません。現在でも、そのように記載されているケースが見られます。
大前提になるのが、「1年間に投資できる枠の上限が、積立投資枠で120万円、成長投資枠で240万円で総額360万円である」ことです。
1年間に投資できる金額の上限は、投資枠の復活とは、関係なく、ともかく総額360万円です。
5年間満額投資を継続すると、生涯投資枠の総額1,800万円に達します。
仮に2年目に有価証券を売却した場合でも、翌年の投資枠は通常通り、総額360万円です。
もちろん、どのタイミングで売却したとしても、翌年の投資枠(総額360万円)に変化はありません。
つまり、実際に売却した投資枠が空くのは、生涯投資枠を満たした後ということになります。
もちろん、その間も通常の積立投資枠と成長投資枠はあるのですが、あくまでも合計年間360万円が上限ということになります。言い方を変えると、1年目から5年目まで、毎年360万円が投資上限なので、その間に売却しても、枠の復活は、生涯投資枠まで投資した後ということになります。生涯投資枠上限の1,800万円(360万円×5年)に達した後に、売却した投資枠が復活するということですね。但し、その後も年間投資額上限が360万円であることは変わりありません。売却金額が積立枠120万円超、成長枠240万円超の場合(合計360万円超)は、超過した分は翌々年以降の枠になりますね。
結局、売却した枠をすぐに買い直すことができるというわけではなく、年間投資限度枠の範囲内(成長投資枠は240万円、つみたて投資枠は120万円の合計360万円)で生涯限度額まで投資できるということなのです。
逆に、年間投資枠に余裕がある場合(満額投資しない場合)でも、毎年の投資枠の上限は360万円で変わりません。生涯投資枠に至る途中で売却しても、年間投資枠と生涯投資枠の上限は変わらないので、結局、生涯投資枠を消化した後に、売却の枠が復活することになります。
考え方次第ですが、枠の復活や生涯投資枠の消化具合に影響されずに、必要に応じて、適切な利益確定をすることも重要かもしれませんね。
以上を踏まえると、新NISAに関する投資戦略は、以下が考えられます。
■順調なパフォーマンスが期待できる有価証券は、基本的に超長期で保有する。(売却を前提としない)
⇒同一銘柄(投信含む)を毎年、継続して投資することもあり
■保有期間中に何らかの理由で売却する場合は、枠の復活時期が先になることを認識する
■生涯投資枠の上限に達した場合(満額投資の場合は5年目以降)、翌年、枠の復活があるので、比較的柔軟に売却が可能となる。但し、成長投資枠は240万円、つみたて投資枠は120万円の合計360万円を超過して売却する場合は、復活が翌々年にずれ込む。
■パフォーマンスが順調な資産を大事にし、失敗したものは、適切に見切る(枠の復活時期を考慮しながら)
⇒NISA口座の場合、損益通算ができません。とは言え、うまくいかないからと言って、惰性で保有するのも合理的ではないと思います。
■積立投資枠での投信への投資は、限定された銘柄だけが対象なので、それ以外に投資したい場合は、成長投資枠になる
今回は、新NISAの制度設計のお話でした。
今後、変更が生じる可能性もあります。
新NISAの制度に関して、変更を含めた留意点など、今後も随時、発信していきます。
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