ご存じの通り、2024年から、NISA制度が衣替えをしました。
投資枠の拡大や保有期間の無期限化など、投資家にとっては非課税投資の選択肢が増えました。
1月中旬時点では、正確な統計データが出ている訳ではありませんが、株式市場にどんな影響があったのか、半月間を振り返って見たいと思います。
日本株は、日経225の上昇で、素晴らしい年明けとなりました。
NISA資金のインパクトは、まだ、不明です。
それでは、新NISA幕開けの序章として、12月決算銘柄の配当落ちからの株価推移をチェックしてみます。年初に、配当落ちで安くなった銘柄に資金が入ったかもしれないという仮説です。
配当落ち日が、昨年12月28日でしたが、その後の株価変遷を見てみます。
個人投資家に人気のある高配当株系を例に取ってみます。
JT(2914) 配当利回り:4.95%(四季報新春号による)
12月28日;3,612円(▲107円)
12月29日:3,645円(+33円)
1月4日:3,709円(+64円)
1月5日:3,757円(+48円)
1月9日:3,758円(+1円)
1月10日:3,800円(+42円)
1月11日:3,795円(▲5円)
と、配当落ち後、順調な値動きをしていました。12月28日の下落は、配当落ち分なので必然として、その後の値動きに注目です。
昨年の年初の配当落ちの後、深めの調整だった記憶があります。
この値動きは、個人投資家のNISA資金、又は、投信やETF経由の資金が入った可能性を感じます。
1銘柄だけでは、傾向がわからないので、次の銘柄です。
こちらも12月決算銘柄です。
ブリヂストン(5108) 配当利回り:3.33%(四季報新春号による)
12月28日;5,825円(▲115円)
12月29日:5,840円(+15円)
1月4日:5,895円(+55円)
1月5日:5,913円(+18円)
1月9日:5,928円(+15円)
1月10日:6,009円(+81円)
1月11日:6,100円(+91円)
この銘柄も値上がり傾向が続いていますね。
資金の多寡は別として、NISA資金流入の可能性がありますね。
投資信託の世界でも、三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の1日の設定額が、1,000億円を超えたとの報道がありました。
投資信託の世界では画期的なことです。
とは言え、対象の株式市場は大きいので、株価に対するインパクトは限定されると思います。
一部の識者は、NISA資金が為替の円安要因になるようなコメントをされていました。
私は、それには懐疑的です。為替の世界はとても大きく1日あたり、数十兆円規模以上の資金が常に動いています。もちろん、投資信託の設定が円安要因になるのは事実ですが、こちらもインパクトは限定的と思わざるを得ません。
また、株式市場にプラスになるとのコメントも耳にします。
個人的な興味から、幾つかの前提を置いて試算してみます。
日本の成人人口(NISA対象年齢)が約1億人として、そのうち、5%の500万人がNISAを満額使った場合、年間の枠は、
積み立て投資枠:500万人×120万円=6兆円
一般投資枠:500万人×240万円=12兆円
となります。
後期高齢者の方や壮年でも投資に興味の無い方もいらっしゃると思うので、5%が適切かどうか、は何とも言えません。また、満額投資するかどうかも、不透明ですね。
因みに東証プライム市場の1日の売買代金は、最近、約4兆円程度のケースが一般的です。
従って、試算した新NISAの一般投資枠、12兆円自体は一見、大きいのですが、年間取引日数を250日とすると、1日平均48億円、比率を計算すると1日の取引金額の1.2%程度となります。
もちろん、全ての銘柄に均等に投資される訳ではありませんし、米国株や投資信託、ETFを選択される方もいらっしゃると思われます。
とは言え、1日平均48億円程度の資金が、人気のある高配当株に流入するとバカにはなりませんね。前述のJTの1日の売買代金が200億円から300億円程度なので、数パーセントのNISA資金が流入しても、それなりのインパクトがあるかもしれません。
但し、機関投資家の資金量は、膨大ですから、NISA資金で全体の株価変動に影響を及ぼすケースは稀と思われます。実際、1月17日(水曜日)の午前中からの急落では、中国国内での日本株ETF売買停止報道で幅広い銘柄が売られました。
大型株ではなく、小型株やREITなどならNISA資金の占有率が高く可能性もありますね。
2024年年初の株価上昇は、外国人投資家の資金(中東や中国と言われています)が背景と推測されています。1年間は、短いようで長いですから、山あり谷ありの展開かと思います。
良いタイミングで新NISAの投資ができることを祈念します。
来週は、「ヘッジファンドのあれこれ」の予定です。
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