今年に入り、日産自動車の話題に事欠きません。
追浜工場や湘南工場の統合など、残念ながら、良くない方の話題ですが。
早速ですが、
7月30日に同社の四半期決算が開示されました。
売上げは、前年同期比▲9.7%、営業損益は▲791億2,400万円(前年同期は+9億9,500万円)、最終損益は、▲1,157億5,800万円(前年同月は+285億6,200万円)と厳しい数値となりました。
そもそも、日産自動車の歴史は古く、1928年に日本産業株式会社(略称;日産)設立に遡ります。日本鉱業(現エネオス、JX金属)を母体とし、日立グループ、日産グループの始祖となる名門財閥でした。
1960年代前半には、乗用車の登録シェアが、トヨタを上回り、日本最大の自動車メーカーだった時代がありました。「技術のニッサン、販売のトヨタ」と呼ばれた頃の話です。
現在の単体従業員数は約25,000人、連結では13万人強と巨大企業グループのひとつです。
今回の経営危機は、初めてでは無く、1990年代後半にも財務危機がありました。
ルノーの出資を受け、ゴーンさんが来る前のことです。
バブル崩壊により、従前からマーケティングの不振や車種の整合性などの課題はありましたが、深刻な販売不振に陥り、トヨタ、ホンダの後塵を排することになりました。
余談ですが、当時の伝聞として、「富士銀行(現みずほ銀行)は、山一證券と日産自動車の択一で日産自動車を選んだため、山一は廃業に追い込まれた」ということを耳にしたことがあります。
私の世代からすると、印象的な車種も少なくありません。
思いつくままでも、
マーチ、サニー、ブルーバード、ローレル、セドリック、スカイライン、シルビア、180SX、セフィーロ、プレジデント、インフィニティ、フェアレディ、スカイラインGTR等などが挙げられます。
最近、聞かなくなった車種も少なくありませんね。
今回の日産自動車の経営は、グローバルでの自動車業界の競争が激化している中、企業戦略の軸が明確化できていなかったこと等が背景のように感じます。電気自動車やハイブリッド、水素自動車など、技術革新の競争も激化しています。前述のような魅力的な車種のラインナップも見られなくなりました。
ご存じの通り、今年、ホンダとの経営統合の話題もありましたが、具体的な話は流れてしまいました。経済産業省が間を取り持ったとの推測もありますが、プライドに固執せず、実利を取って欲しかったと感じています。
ただでさえ、厳しい業界の競争の中で、トランプ関税の向かい風もあります。
日産自動車だけではありませんが、国内自動車メーカーは、世界最大の米市場を睨み、組み立て工場をメキシコやカナダに置いています。関税の影響は逃れられませんね。
価格に関税を付加すれば、売上げ減少につながりますし、関税を自社で負担すれば、利益率が低下し、ただでさえ、高くない営業利益率が更に低下してしまいます。
注目のリストラ策ですが、7工場の閉鎖、2万人の人員削減策を発表済みです。
が、それに加えて、日産に納品している部品メーカーや販売会社(ディーラー)、更に言えば、未上場の部品メーカーなどにも大きな影響が及びます。実際に移転が決まった追浜や湘南工場の街には失望が渦巻いているようですね。商店街や賃貸住宅、学校などにも悪影響が考えられます。
個人的にも憂慮するのは、本体の2万人の従業員の削減や関連企業の従業員の去就への影響です。他の自動車メーカーに転職できる人は僅かな気がしますし、かなり、そもそも専門性の高い仕事と推測しますから、異業種への転職もハードルが高くなりそうです。
場合によっては、無責任な言い分ですが、業界全体の課題として再就職の問題も取り組む必要も考えられますね。
財務面での課題に止まらず、商品戦略や販売戦略といった全体最適の問題が山積みしているように感じて、切なく思います。
「自分自身が同社に勤務していたら?」
と考えると、年代や役職、権限等によって何とも言えませんね。
今後の復活劇を祈りたいと思います。
次回は、「レクサス沢山! 残クレの話」の予定です。
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