日銀の利上げに思うこと

 

今回は、最近の日本銀行利上げに関する私見です。

 

今月、3月19日に日本銀行の金融政策決定会合と米国のFOMCが予定されています。

 

ご存じの通り、米国は利下げ方向、日本は利上げ方向です。

今年に入ってからも、日本銀行の首脳から利上げを匂わす発言が続いています。

 

が、ここにきて、米国のトランプ関税の影響から、金融マーケットが非常に不安定になってきています。個人的な見解ですが、今の混乱気味の経済環境で利上げを行うと、経済に対する悪影響が無視できないレベルになってしまうと懸念します。

 

経緯は、ともあれ、昨年の8月の金融マーケットの大混乱も発端は、日本銀行の利上げの影響が大でした。

 

さて、中央銀行が利上げをする場合、どのようなケースが考えられるか、教科書的に列挙してみます。

 

 

◆景気が過熱しているケース

 

オーソドックスな施策です。景気の過熱を冷やすために、政策金利を引き上げ、資金需要を抑えるアプローチです。借入れ金利が上昇するため、設備投資や住宅投資にブレーキがかかります。

 

 

◆物価上昇(インフレ)が続いているケース

 

政策金利を引き上げることで、需要を抑え、物価上昇率を引き下げる目的です。

但し、インフレ自体が、需要過多という理由では無く、供給不足で生じたものであると、政策金利引き上げ効果は、限定的だと思います。(今の日本やコロナの頃の世界)

補足すると、何らかの理由でものの供給に制約が生じると、供給不足だけで物価があがります。この場合、利上げしても効果はあまりありません。品不足は、金利の問題ではありませんからね。

 

 

◆通貨安(為替)になっているケース

 

外貨建ての借入れを行っている新興国で良く見られるケースです。

特に基軸通貨国である米国が利上げ方向の場合、金利差拡大を防ぐために利上げを行うことが少なからず見られます。新興国は、様々な理由で恒常的にインフレ率が高く、政策金利も高い傾向にあります。インフレや通貨安を防ぐために、金融政策が用いられます。

 

 

さてさて、では、現在の日本はどうでしょうか?

 

まず、景気の過熱感はありませんね。

外国人観光客のインバウンドによる過熱感は否めませんが、企業の設備投資も個人消費も、やや低調な印象を持っています。次に物価上昇ですが、確かに物価上昇は継続しています。

これも、一部、インバウンドの需要の影響も考えられますね。外国人の多いスキー場のラーメンの価格が3,000円程度という話も耳にしますし、海鮮丼が10,000円などの話も。

 

一方、実質賃金の伸びは低調です。従って、需要が大きくて、インフレが生じている訳では無く、海外からの輸入を含めて、供給サイドの課題と捉えることができると思います。需要が大きくて、景気が好調ならば、実質賃金の伸びは大きくなるはずと考えられます。

 

 通貨安に関しては、米ドル/円が、現在、140円台後半の水準です。100円と比べると円安ですし、160円と比べると円高です。円安になると、為替面でも、輸入物価が上昇するため、物価にネガティブに働きます。円高になると、為替面ではインフレを抑える効果が期待できます。但し、自動車産業を含め、円安で企業業績がかさ上げされている部分が少なくないため、急激な円高になると、物価は落ち着いても、企業業績を通じて、賃金上昇が止まることも考えられますね。また、日本は外貨建ての借り入れはありません。

 

ここまでの前提で言えば、個人的には、現在の環境での利上げは時期尚早と感じます。

 

一方、日本銀行の立場になって邪推すると、また違った景色が見えてきます。

 

本音では、利上げをしたくないと仮定して、

 米国トランプ政権から、水面下で為替水準を円高にするよう要請されているならば、利上げして日米金利差縮小による円高誘導があり得ますね。関税回避対策の一環としての円高誘導です。もっとも、それでも、関税がかかってしまえば、無駄打ちになりますけれど。

また、円高になれば、輸入物価に関して、為替面だけで言えば、物価を抑制する効果がありますし、海外観光客の増加も一服する可能性も視野に入るかもしれません。

関税の影響で今後、グローバルな景気後退が懸念されるとすれば、景気が比較的、堅調な段階で早めに利上げを行い、今後の利下げに備えたいとも考えられます。

 

米国のトランプ政権では、政府組織の縮小や財政支出の縮小、また、穿った見方ですが、低金利に誘導することで、国債の借り換えをスムーズにする意図があるようにも感じます。

一方、日本では、利上げすることで利払い費が増加し、場合によっては、増税につながる可能性すら感じます。

 

投資家目線としては、

 昨年夏の利上げで株式市場が急落し、それまで活発だった外国人投資家の資金流入が止まりました。実際、日本株は、昨年夏の高値更新ができていません。また、株式市場が好調な欧州を始め、各国が利下げ方向に進んでいます。

利上げ方向で、且つ、特別魅力のある訳ではない国に投資をする海外投資家は限定的に感じます。

今回の決定会合にかかわらず、今後も拙速な利上げをすることで、グローバルな株式投資家からの評価が落ちることを懸念します。

 

経済環境の不透明感が強い局面では、利上げはマイナスの影響が大きくなってしまうと感じています。来週の決定会合に要注目ですね。

 

次回は、「嗚呼!トランプ大統領!」の予定です。

 

 

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