今回は、最近の日本株上昇についてのコメントです。
最近、若干の調整気味ですが、7月以降、日本株の上昇が目覚ましいですね。
米国株が下がっても上昇、上がったら更に上昇という流れが見られました。
7月22日終値が、39,774.92円だった日経225ですが、8月18日には、43,714.31円まで同期間で約9.9%の大幅上昇となりました。
この上昇に関して、個人的には、やや違和感を持っています。
日本企業の直近四半期決算を見ても、米国の関税の影響もあり、減益方向であまり、パッとしませんでした。利益が伸びずに株価が上昇しましたから、PER(株価収益率)も上昇です。
投資理論で言えば、投資家の期待値が上昇したと解釈できます。
とは言え、割高かどうかは別としても、企業業績や日本経済への期待感が高まっている印象はありません。
むしろ、グローバル経済の景気動向や米国の関税、日本銀行の利上げスタンスなどの業績や景気の先行き不透明感の方が強いようにも感じます。
では、日本株上昇の要因は何が考えられるのでしょう?
あくまでも、私見ではありますが、、
グローバル投資の視点で相対的に日本がマシに見えてきたことが背景な気がしています。
私は、世界各国の年金基金等、機関投資家のアロケーション(資産配分)の変更があり得ると思っています。端的に申し上げると、米国への投資資金を他の地域にシフトしている可能性です。米国株式は確かに堅調で、最近まで高値を再三、更新していました。が、足下は、やや調整気味です。一方、ドイツ株や中国株などは高値更新をしています。
米国に関してですが、最近では新たに家具に対する関税の報道が出ています。また、トランプ政権は、FRBや統計局への圧力を強め、民間企業に対する干渉も目につくようになってきました。経済統計の客観性や持続性にも疑念が生じかねないようにも思います。
雇用統計の修正に関しては、そもそも、連邦政府の職員を削減した結果が、影響した可能性も感じます。また、インテルへの政府の資本参加も話題になりました。信用不安の際の金融機関への資本注入は別として、事業会社への政府の資本参加は、株主利益と政府の関与のバランス調整が難しく感じます。
具体的な民間企業への干渉としては、記憶にある範囲でも
◆アップルに対して、インドでの生産を止めるように要請
◆アマゾンの販売価格の内訳明示(関税分と本体分)を止めるように要請
◆GM等、自動車メーカーに関税の転嫁を止めるように要請
◆インテルのCEOを解任するように要請
◆ウオルマートに関税分の価格転嫁をしないよう要請
これらを見ると、特に年金運用の機関投資家は、受託責任があるので、合理的な投資判断や説明責任が果たせない市場に資金を入れにくくなっていると推測します。
政権の意向で、企業の経営戦略が左右されることや連邦政府が発表する経済指標の信頼性に疑義が生じると、資金を預かっている投資家や受益者に対する説明責任が果たせなくなりますね。あくまでも、推測ですが、運用資産の一部を米国から欧州や日本を含むアジアなどにシフトしたことが、日本株上昇につながったような印象を持っています。
静かな資金移動の可能性ですね。
日本株を低い水準で既に保有している投資家の皆さんは、高みの見物ができると思いますが、新たな投資タイミングとしては、何とも言えない気もします。株価上昇の持続性の観点です。前述の通り、グローバルのリバランスがあったとしても、持続性があるかどうかは、何とも言えません。
かねてから「米国がくしゃみをすると、日本は風邪を引く」なとという比喩がなされる通り、経済的なつながりは強く、特に日本は、米国経済の影響を受けやすい構造になっています。
ただでさえ、関税や為替などの不透明要素が大きい中で、株価が一本調子で上昇するかと問われると、微妙に感じます。
このブログでも「Sell In May」などのテーマを取り上げました。
結果的に、様々な不透明要因があっても、今年はジリ高になっています。
ですが、修正された悪い米雇用統計、徐々に上昇しつつあるインフレ指標などから、深追いには、注意したいと感じています。もっとも、私自身、春以降、上昇トレンドについてゆけずに、機会損失を負っていることも事実ですが。
今年も残すところ、4ヶ月となりましたが、実りの秋を期待したいと思います。
次回は、「有価証券税制に関して」の予定です。
尚、来週のブログはお休みします。
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