最近の決算直後の株価急落について

 

11月も中旬になり、国内企業の決算発表もピークを過ぎました。

 

今回は、決算発表後の株価急落について投資家目線でコメントしたいと思います。

 

 通常、決算の内容が良い企業(銘柄)の株式が買われ、悪い企業の株式が売られるはずですが、最近の株価動向を見ると、業績が好調で増収増益、増配(配当を増やす)などの内容でも、急落する銘柄が少なくありません。

 

今回のポイントを箇条書きにしてみます。

 

■決算で急落した銘柄の例

■好決算に見える企業の株価急落の背景

■ザラ場中の株価急落、急騰

■投資家の視点

 

 

今回の決算は、決算発表後に急落した銘柄が目立った気がしています。

特に良好と思われた決算でも、急落が見られました。

 

思いつくだけでも、キャノン、ヤマハ発動機、味の素、日本製鉄、神戸製鋼、住友林業、コマツ、日立建機、三菱商事などなどが挙げられます。

 

 

その背景はどうでしょうか?

 

 最近、アナリストやストラテジストなどの、金融のプロと呼ばれている人々の業績のコンセンサス(見込み)を上回るかどうかが、株価変動のポイントになっているように感じます。当該企業からすると、株主や社員に報いるために、営業活動や財務活動を行い、結果として高い業績を達成しても、コンセンサスに届かないという理由で株価が急落するのは、何か理不尽ですね。

 

 財務的な視点では、株価(企業価値)は、将来のキャッシュフローの現在価値に収斂すると言われています。従って、短期のノイズがあっても、稼ぐ力が向上してれば、中長期的に株価は本来価値に近づくと考えられます。従って、長期投資のスタンスであれば、株価推移を見守りつつ、継続保有が妥当なケースがほとんどだと思います。

 

 

ザラ場中の決算における株価急落、急騰

 

 ザラ場中(取引時間中)の決算発表の場合、直後に株価が急上昇することや急落することも少なくありません。常識的に考えれば、開示された資料を読み込み、投資判断する時間があるとは思えない値動きです。可能性として、ヘッジファンドや証券会社の自己売買部門に属する短期投資家の場合、事前に売上げや営業利益、配当などのコンセンサスの数値を、トレードシステムに入力し、数値が上回れば買付け、下回れば空売りというアプローチがされていると想像します。引け後の決算発表も同様に感じます。

 

 決算発表の直後に企業のHPを見に行っても、フリーズして見ることができないことも良くありますし、業績の変化の背景が、為替要因なのか、営業戦略に基づくものなのか、特殊要因なのか、などを分析することは、瞬間的には困難だと思います。

 

金融商品取引法に基づいた取引であれば、違法ということはありませんが、やはり、投資家を翻弄させる株価変動は、釈然としない気持ちになります。

 

 

 

投資家目線で、これらの株価変動を捉えると?

 

 個人的な見解ですが、決算直後は、長期投資家(年金や投信)は、慌てて投資するケースは限定的で、あくまでも、ディーラーやヘッジファンドという短期の投資家が主体だと考えます。言い換えると、真っ当な銘柄で、理不尽な下落をしたものがあれば、投資チャンスが生まれるということも指摘できますね。但し、急落が1日で終わるとは、限らないので、2日か3日程度の期間で、安値を拾うアプローチが有効に感じます。

 

株価が急落しても、数日から数週間で元の水準に戻ることも多いですね。

ある意味、優良銘柄に投資をして、含み益を作るチャンスと捉えることもできそうです。

 

 但し、注意が必要なのは、決算の内容がホントにダメで急落した場合は、リバウンドが来ないこともある点ですね。特に小型株の場合は、投資家が偏っているケースもあるため、下落しっぱなしのことも少なくありません。大型株の場合は、投資家層が広く、厚いため、安くなったら買いたいというニーズも考えられます。後述の資生堂のストップ安、翌日の反発なども、このような背景かと思います。

従って、どちらかというと、大型株の方が無難な気がします。

 

企業決算のスケジュールは、ネットで情報収集が可能です。

長期投資の銘柄は別として、短期目線で銘柄を選択する場合は、決算発表またぎ(決算発表をまたいで保有すること)のリスクも念頭に置いておきたいものです。

 

 以前の決算ですが、半導体企業のレーザーテック(6920)は、1日に株価が3,000円程度下落した記憶があります。100株でも、30万円の評価損が出た訳です。今週も資生堂(4911)が、700円安の4,185円という強烈な下落をしました。100株投資で考えても、投資額50万円程度に対して、7万円の下落ですから、ダメージはかなりありますね。幸い、翌営業日から反発しましたけれど。

 

考え方次第ですが、決算またぎの急騰、急落は、運次第の面もあり、むしろ、決算発表後に投資判断をした方が無難に感じています。

 

もちろん、逆に決算が好感されて急騰するケースもありますが、事前にポジション調整(保有株を減らすなど)も検討する余地があるかもしれませんね。

 

次回は、「新NISAで投資したい資産」の予定です。

 

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