有事のゴールド(金)投資 その1

 

 

     ロシアのウクライナ侵攻の緊迫化により、金融マーケットが荒れています。

「投資のタイミングが今か」どうかは別として、供給不足を背景に金を初めとするコモディティ価格が上昇しています。

 

今回は、金投資について考えてみたいと思います。二回シリーズで個別商品や為替との関係や税制にも触れたいと思います。

 

大前提として、金価格は、米ドル建ての取引がメインで、国内価格はそれに為替の修正を加えたものです。以降、便宜上、米ドル建ての取引をゴールド、日本国内に関しては、金とします。

 

ゴールドは、代替通貨の位置づけもあり、各通貨に不安が生じると買われやすくなる面があります。ゴールドは、実物資産でかつては、金本位制という通貨制度もありました。

また、インフレになると、通貨価値が減価することにより、相対的にゴールドが買われやすくなる面もあります。

但し、相反する点ですが、利息を生まないため、金利上昇局面では、売られやすくなる面もあります。また、軍事紛争などの有事の際に買われやすくなるのも特徴です。保有することに資産防衛の意味合いもありますね。以上のように、買われやすい要素と売られやすい要素が幾つも存在しますが、その時々の金融マーケットの見方や強弱感によってゴールド価格は変動しています。

 

ここ数年、ゴールド価格が高い水準を維持していたのは、コロナの影響などから各国の財政支出が拡大し、通貨に対する信認が低下していた面が強いように感じています。このケースでは、米ドル/円の為替とゴールド価格の値動きに相関はあまりありません。

ビットコインなどの仮想通貨も今後の評価次第で、ゴールドに近い立ち位置になってくるかもしれませんね。

 

足下のウクライナの問題を契機とした、ゴールド価格上昇は、「有事のゴールド買い」という側面だと思います。このような有事の際は、金融マーケット全体がリスクオフになり、為替の面では、スイスフランや円が買われやすくなります。その際、米ドル建てのゴールド価格が上昇したとして、為替がリスクオフにより米ドル/円が円高に振れると、ゴールド価格上昇と為替の米ドル安/円高によって、一定程度、値上がりが相殺されてしまいます。米ドル建てであるゴールド価格が上がっても、為替(米ドル安円高)が足を引っ張る構図です。

 

金価格(国内)?=ゴールド価格(米ドル建て)↑×為替(米ドル安/円高)

 

為替の影響によって、ゴールド価格(米ドル建て)上昇と比べると円建ての金価格上昇は、マイルドになる傾向があるように思います。(上昇のケースです。ゴールド安、円高であれば、大きく下落します)

以前、個人的にヘッジなしゴールドファンドに投資したことがありましたが、ゴールド価格上昇が円高で相殺され、円ベースでは、あまり満足のいくパフォーマンスにならなかった記憶があります。

 

 

◆通貨に対する信認の低下→ゴールド価格と為替に相関はあまり無い。ゴールド価格も金価格も共に上昇するケースもある(ゴールド高、米ドル高がベスト)

 

◆リスクオフの際の「有事のゴールド」→円が買われやすいため、ゴールド価格上昇ほど、金価格は上昇しない(円高の影響)

 

 

 上記のような特徴を踏まえると、「有事のゴールド」を想定した場合は、為替ヘッジを行うことが、ある程度、有効になると思います。両国の短期金利差の近似値であるヘッジコストはかかりますが、為替の影響を排除することができ、ゴールド価格との連動が期待できます。このタイプは、投資信託(確定拠出年金などにも商品提供されているようです)に投資することでアプローチ可能です。現物の金は、為替の影響を排除できません。もちろん、円高の影響以上にゴールド価格が上昇すれば、円建てでも価格上昇を確保することは可能です。ETFに関しては、為替ヘッジありの商品組成可能だと思われますが、今のところ、見た記憶はありません。

 

 

次回は、「有事のゴールド その2」の予定です。

具体的な商品の特徴についてコメントしたいと思います。

 

当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。

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