ロシアのウクライナ侵攻の問題が長期化し、被害も拡大しています。また、原油価格だけでなく、幅広い資源価格が上昇し、今後のガソリン価格や電気料金などへの深刻な影響も懸念されます。
オイルショック以来の未体験のステージに突入しつつあるように感じています。
また、実体経済もロシア制裁による影響が幅広く広がりつつあり、不景気下のインフレ、スタグフレーションを懸念する声が大きくなってきています。
前回は、ゴールドの特徴についてコメントしました。
今回は、具体的なゴールド関連の投資対象と留意点について、お伝えしたいと思います。今回も便宜上、米ドル建てをゴールド、円建てを金と表記します。
金やゴールドに投資するに当たり、選択肢としては、以下のものが考えられます。
現物、投資信託、ETF、金鉱株など
【現物】
貴金属会社などが取り扱っています。こちらは、国内価格での取引になります。報道によれば、国内金価格も上昇していて、買い取りのニーズが高まっているようです。
現物の金の場合は、最低取引単位があり、最低投資金額が大きくなるのが難点ですね。(積立などもあるようですが、)
前回のブログの通り、為替の影響を受けること、現物の保管場所の確保、税制に関しても注意が必要です。
一応、おさらいですが、金貨価格は、以下の関係にあります。
金価格(国内)=ゴールド価格(米ドル建て)+為替(米ドル安/円高)
つまり、米ドル建てのゴールド価格が上昇しても、為替がリスクオフなどで、円高に振れると、価格上昇が抑えられることになります。
逆に、米ドル建てゴールド価格が上昇し、為替が円安(米ドル高)になると、為替の影響が加味され、価格上昇は大きくなります。
課税は、有価証券と異なりますので、こちらは、特に要注意です。
【投資信託】
ゴールド自体に投資する(ETFに投資するケースもあります)投資信託も増えています。これらの商品は、「為替ヘッジなし」と「為替ヘッジあり」のタイプがあります。
有事の際は、円高になりやすいため、その影響を排除するためには、「為替ヘッジあり」の方を検討してみたいものです。
インフレなど通貨に対する信認低下という局面では、為替の値動きとゴールドの値動きが連動しないことも多く、ゴールド高と米ドル高という動きが生じ、両方がプラスになる展開も考えられます。
このケースでは、為替ヘッジがない方が、パフォーマンスが良くなることもあります。また、種類が多いわけではありませんが、コモディティ(原油など)に連動する投資信託も設定運用されています。
【ETF】
国内市場にも海外市場にもETFが上場されており、取引可能です。国内市場の場合は、流動性が低いケースもありますので、ご注意ください。
また、国内市場のETFの価格評価は、円建てのゴールド価格(海外ETFを基準にするケースもあるようですが)となります。
従って、円高になると為替の評価が減じます。
海外ETFには、ゴールドのETF以外にも原油やコモディティ全般などに連動する商品が数多く上場されており、投資対象の選択肢として検討の余地がありますね。
このブログを書いている最中、以前、金の国内ETFに投資したことを思い出しました。
その時は、米ドル建てゴールド価格が上昇しても、円高局面だったため、国内ETFの価格が思ったように動かず、イライラした記憶があります。
【金鉱株】
金鉱株などの資源株は、固定費の比率が高いケースが多く、ゴールド価格上昇により、利益が大きく伸びるケースがあります。
日本企業で代表的な企業は、住友金属鉱山などでしょうか?投資信託では、ブラックロックに「金鉱株ファンド」などがあり、海外には、金鉱株のETFもありますね。
他の商品も同様ですが、ピークを過ぎると、次の相場まで相当な期間を要するケースも想定しておく必要があります。
これらのゴールド関連商品の中で投資金額や取引の容易さ、保管リスク、税制などを考慮すると、ゴールド関連の投資信託の敷居が一番、低いように思います。
投資金額も少額から可能ですし、確定拠出年金などにも商品提供がされています。売買に関しても、通常の投資信託と同様、金融機関営業日であれば、随時、対応可能です。
金に関する投資では、税制にも注意が必要です。
投資信託、ETF、金鉱株などの有価証券の場合は、特定口座源泉徴収ありの場合、20.315%の源泉分離課税の対象となり、源泉徴収で納税は完結します。
一方、現物の金の場合は、売却時に通常は、譲渡所得として区分されます。
また、営利を目的とした場合には、雑所得、事業所得(実態による)とされ、どちらも給与など他の所得と合算の上、確定申告を通じて、総合課税(要は累進課税になる)となることから、税務面でも十分な注意
が必要です。特に一定水準以上の所得のある方にとっては、重要なポイントです。金の現物取引に限りませんが、総合課税になる資産への投資は、税引き後のリターンを十分、考慮する必要があると思います。
昔から、一定程度、金を保有した方が良いという考え方があります。
特に有事の際は、幅広い資産が売られるケースがあり、そのような状況で、金の優位性が際立ちます。有事が収まる目処がついた段階で、金から他の資産に資金シフトするという選択肢も考えられますね。
一定程度という比率ですが、「全金融資産の10%から20%位の水準を保有」というコメントを見たことがありますが、根拠については触れられることを見たことはありません。
個々のリスク許容度や有事の深刻さ、混乱の期間などがあり、誰でも、いつでも、この比率が良いということは言えないと思いますが、あくまでも、目処として、
流動資産(現預金や有価証券全体)の5%から10%程度の保有は、検討の余地がありそうです。
有事が発生した際に値上がりを追求すると言うよりは、資産保全の目的です。投資
のタイミングとしては、注目されていない時期に少しずつ、投資しておきたいものですね。確定拠出年金などにも商品ラインナップとして品揃えがなされており、
一部をゴールド関連の投信に振り向けるのも作戦として考えてみたいところです。
次回は、「元金融マンの投資生活 その1」の予定です。
尚、税制に関する個別具体的なご相談は、税理士事務所などにお願いします。
当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。
いつもながら、投資に際しましては、自己責任でお願いします。
内容、ご相談に関しましては、株式会社 Noble principleまでお問い合わせください。