今回は、株式や投資信託等の有価証券に関わる税制に関する話題です。
ご存じの通り、有価証券の課税は、現状、20.315%の分離課税です。
利益に対する課税なので、損失には課税されません。暦年の利益に対して課税されます。
また、損失が発生した場合は、確定申告をすることで、翌年以降、3年間にわたり、譲渡益や配当から控除することができます。
所得税を始めとする総合課税であれば、最高税率は、住民税込みで55%の世界ですから、税務面では有利になっています。
また、非課税制度であるNISAの拡大で投資家にはメリットが大きくなりました。
年間の投資枠拡大もさることながら、保有期間の制限が無くなったことが大きいと感じます。旧NISAに関しては、5年間の期間がありますから、年末にかけて対策が必要になります。
さて、今後の有価証券に関する税制に関しての話題です。
かいつまんで、ピックアップすると以下の通りです。
◆仮想通貨の分離課税への変更
◆NISA対象年齢の拡大
◆金融所得課税
◆仮想通貨の分離課税への変更
現状、仮想通貨の税制は雑所得で総合課税となっています。
金額に応じての累進課税で、最高税率は55%です。大きな利益を得ても、税負担が厳しい状況ですね。仮想通貨内で乗り換えをするケースや仮想通貨で何らかの支払いをしても課税されることになります。
米国では、仮想通貨のETFが上場されているようですが、現状の有価証券税制との整合性等から、日本国内からは投資ができません。また、米国では401K(確定拠出年金)の投資対象とされたようです。仮想通貨の上昇が続くかどうかは別として、投資対象が広がるのはうらやましいですね。
さて、日本国内でも、仮想通貨の分離課税への検討が始まりました。
以前、FX(為替取引)も、分離課税ではなかったようですが、現状は、分離課税となり、投資家としては、税制面では投資しやすくなったようです。
仮想通貨の分離課税が始まるとどのような事象が考えられるでしょうか?
まず、米国へのETF投資が可能になると思いますし、日本国内でも仮想通貨ETFや投資信託の誕生が考えられます。また、仮想通貨の取引業者の投資家保護制度の充実が今以上に進むと思います。
但し、仮想通貨の復旧が進むにあたり、マネーロンダリングや金融犯罪への対策も必要になってきますね。
個人的に興味があるのは、最近、話題になっているメタプラネット(3350)等の仮想通貨投資企業の企業価値の変化です。企業の仮想通貨投資を通じて、企業価値拡大が見込め、税制が有価証券の分離課税で済むということで株価上昇が目立ちました。仮想通貨が分離課税になると、これらの企業に間接的に投資する意味合いが減じると感じます。分離課税の議論の進展と加藤通貨投資企業の株価変動に注目したいと思っています。
◆NISA対象年齢の拡大
現状、NISAを活用するには、その年の1月1日に18歳以上であれば投資可能という制度になっています。未確認情報ではありますが、これをより若年層まで拡大する施策が検討されているようです。但し、下記の金融所得課税との整合性もありますから、今後の進展に注目です。仮にジュニアNISAのように若年層まで拡大されるのであれば、贈与との組み合わせで活用が進むかもしれません。
◆金融所得課税
自民党の総裁選挙が近々、実施されますが、岸田政権の頃から、新たな課税の議論が始まっていたようです。どなたが新総裁になるかで、実施されるか否か、内容に関しても不確定要因が大きいと思われますが、一応、留意が必要かと思います。
国民の資産形成(年金の不足を補うためとしか感じませんが)のためのNISA制度拡大の一方、有価証券や預金に新たな税金を課すのは、如何なものかと感じます。
蛇足ですが、
株式市場活性化や国民の資産形成を目指すのであれば、有価証券を相続税の課税対象から一部、控除できる制度なども考えられると思います。相続人、一人当たり、300万円相当の有価証券は非課税というような制度です。非現実的かもしれませんが、実施されるとかなりの資金が株式市場に流れると思います。
また、仮想通貨の税制に限らず、株式等の先物オプションの課税にも課題があると感じます。
分離課税ではあるものの、現物や信用取引の株式と損益通算ができません。
そもそもの商品性は、株式等のリスクヘッジの為に投資されるケースが一般的で、現物の損失を先物オプションの利益で相殺することが多くあると考えられます。そのため、先物オプションと現物や信用の株式の損益は親和性が高く、損益通算できるのが妥当かと考えます。
投資に限りませんが、税制が変わると、人の行動が変わっていきます。
整合性のある妥当な税制になることを期待します。
次回は、「祝!! 日経平均:45,000円?」の予定です。
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