短期投資(短期トレード)に挑戦してわかってきたこと(前編)

 

個人的に、昨年後半から時間のあるときに、短期投資の挑戦を始めてみました。

 

実際のトレードから中長期投資と大きな違いがあることがわかってきました。

今週と来週に分けてお伝えしたいと思います。今週は、中長期投資の私のつたない経験と短期トレードに関するトピックスをまとめてみます。

 

 既に投稿させて頂きましたが、金融機関に勤務していると、様々な投資制限のルールがあります。個別株式に関しては、事前申請の上、最低1ヶ月から6ヶ月程度、保有することが義務づけられています。購入時と売却時に申請が必要です。

 

ということで、それらの制約もあり、私の場合は、ある程度、中長期の視点で銘柄選択を行うこととなりました。が、異なるアプローチが存在感を増していることも感じていました。今回のブログにつながってくるところです。

 

中長期投資における銘柄選択のアプローチは、もちろん、人それぞれですが、私の場合は、マクロの経済を踏まえ、どのセクターが強いかなどの仮説を立て、その上で銘柄選択に落とし込む手順がメインにしています。具体的に少しご紹介してみます。

 

 2023年1月現在、今年の経済予測として、インフレの沈静化、米国の利上げ停止、景況感悪化、円高進行、国内金利上昇の可能性、等が想定されます。それを踏まえ、これらの条件に耐性を持ち、業績にプラスが得られるセクターを考えてみます。金利上昇メリットで言えば、銀行セクターや保険セクターが考えられます。景況感悪化の視点では、ディフェンシブな薬品業界や生活必需品が候補になるかもしれません。また、コロナが落ち着くことが前提ですが、円高、資源価格の落ち着きがあれば、空運などにも投資妙味があるようにも思います。個人的には、半導体産業の底打ちが2023年中には考えられ、どこかで投資タイミングあるように感じています。また、昨年であれば、ロシアのウクライナ侵攻などから資源価格上昇の恩恵を受ける企業を考えました。結果的には、深追いしてダメージを負いましたけれど。

 

今回は、銘柄選択の具体的なアプローチを幾つかご紹介してみます。

 

 一例として、私が活用していたのは、フォーマンスの優れた投資信託の組み入れ銘柄をチェックすることがありました。モーニング・スターなどで調べると、投資資産ごとにパフォーマンスの優劣がわかります。その中から優れた複数のファンドを選び、各社のHPのマンスリー・レポートから組み入れ銘柄をチェックしました。その中からセクターや業績動向、株価チャート(もっとも、方向性や移動平均線のレベルです)などを見て、投資候補を絞り込んだ記憶があります。ファンドマネジャー(以下FM)ごとに、好みの銘柄があることもわかってきます。(FMは複数のファンドを担当することがほとんどなので銘柄の重複が確認できます)さらに、詳細に内容を確認するために、連続した複数月のマンスリー・レポートから、ファンドの純資産額の増減と組み入れ銘柄の組み入れ比率を掛け合わせ、買い越しだったのか、売り越しだったのかを推定したりもしましたね。色々な意味で参考になりました。

尚、大型株よりも小型株の方が効果は有効だと思います。

 

少なくとも、運用会社のアナリストやFMがリサーチの上、投資したということは、企業の破綻リスクは極めて限定的と判断できると思います。

 

 また、証券各社が出している株価レーティング(株価格付け)も参考にしています。個々の銘柄の目標株価を鵜呑みにするというよりは、どのセクターに関して強気なのか、どの銘柄を複数の証券会社が目標株価を引き上げているか、等をチェックしました。また、逆にどのセクターに関してネガティブな見方をしているのかも推測できます。証券会社の立場上、目標株価は高めに設定されることが多いように思いますが、アップサイドをどの程度、見ているのかという点からも参考になりました。投資した銘柄も、見送った銘柄ももちろん、ありましたね。

 

とは言え、配当狙いと値上がり期待の二兎を狙う中長期投資の場合(私の場合です)、個別銘柄で大当たりしないと、劇的に資産が増加することは少ないと思います。ひと頃の中国株式や米国テクノロジー株式等のケースはありますが、情報収集の難易度もありハードルは高めです。

 

さて、短期トレードの話題に移ります。

 

以前から、ネット証券では、大手証券を上回るような金融資産を運用されている個人投資家の方がいることは聞いていました。「へー、そうなんだ」程度の軽い認識でした。

 

 私が短期投資に興味を持ったのは、昨年、BSテレ東のモーニングサテライトに「テスタさん」という著名な個人投資家の方が出演されたことに始まります。個人投資家の立場でのコメントでしたが、とても説得力のある信念をお持ちとお見受けしました。(金融機関で様々な業務に携わった立場からの感想です)更にどのような方か、調べたところ、少額の投資から始めて、現在は数十億円の株式を保有されていることがわかりました。YouTubeで松井証券の投資啓蒙のコンテンツにも出演されており、この方の投資手法や投資スタンスに関心を持ちました。累積リターンの実績は、運用会社や証券会社の企画部門などに勤務した伝統的資産運用の立場からだと、驚きの連続でした。

 

 併せて、投資に関する他の方(テスタさんのお仲間の皆さんの動画などです)のYouTubeを見てみると、またまた、驚きの連続でした。中長期投資でテンバガー、つまり資産が10倍になる銘柄を発掘するアプローチがありますが、保有資産の全てを投資することは稀です。一方、短期売買で大きな資産を築いた方々の手法は、非常に興味深い事象と感じました。もちろん、うまく行かずに、退出された方々が多いのは事実でしょうが、「テスタさん」曰く、芸能人や超一流のスポーツ選手、IPO長者などでしか、なし得ない水準の資産規模にたどり着ける可能性があるのが投資であると言われています。

 

ツイッターやYouTube、書籍などを通じて、それらの方々の板読みやチャート分析などのアプローチを確認してみました。もちろん、SNSでは不確かな情報が氾濫していることが前提です。

 

 そもそも、中長期投資は、プラス・サムと言われており、投資先の企業の時価総額が大きくなると、投資家を含め、利害関係者が皆、ハッピーになります。一方、短期投資は、先物取引と同様に、ゼロ・サム(勝ちの総額と負けの総額が等しくなる)の世界に近似します。中長期のアプローチだと業績に連動し、株価は本来あるべき企業価値に収斂すると考えられていますし、実際、同意します。一方、短期投資の場合、1分後、5分後に株価がどちらに動いているかわかりません。投資家心理に基づく短期の需給で株価変動が生じます。

 

「そのような状態で勝ち続けることができるか?」という疑問が生じます。

うまくいったとしても、それが再現性のある投資手法なのか、投資信念なのか、運頼みなのか、判断や識別が難しいですね。

但し、「長期間、実績を積み上げてきた方は何らかの共通項があるのでは?」という視点で

成功された皆さんのスタンスを観察すると、以下の傾向がわかりました。

中長期投資とは異なる視点ですね。失念している項目もあるかもしれません。

 

◆信用取引を活用する

◆買建てだけでなく、売建ても活用する

◆同一銘柄を同じ営業日に買建て、売建ての双方の取引をすることもある

◆損失確定(損切り)を迅速に行う(損切りラインの設定)

◆一旦、損失してもチャンスと見れば、同一銘柄に投資する

◆ナンピン(含み損の時の追加投資)を基本的に行わない

◆勝率にこだわらない(むしろ、あまり高くない方が良い→適切な損切りの存在)

◆簿価(買付け価格)にこだわらない

◆マーケットの開いている時間帯は当日の損益にこだわらない

◆資産規模が少ない段階(数億円以下?)ではスキャルピング(短期投資)が中心

◆バリュー株(割安株)よりもグロース株(成長株)重視の傾向がある

◆売買代金の大きな流動性とボラティリティが高い銘柄中心に投資している

◆投資手法の引き出しが多い

◆チャートや板読み(売買の株数の需給を見るアプローチ)などの独自手法を持つ

◆投資に関する自己節制がシッカリしている

◆ゲームが好きな方が多い

◆ギャンブルが好きな方が多い

◆常に期待値を意識している(ギャンブル好きな方は特に)

 

次回、これらについてもう少し、コメントしたいと思いますが、

「ボラティリティ(値動き)の大きな銘柄をターゲットにして、損失確定は迅速に行う」というのが私にはうまくできません。ボラティリティが高いため、損切りラインを設定しても、すぐにヒットしていまい、もたもたしていると、すぐに株価が戻ることがあり、損切りを見送って結果オーライで株価が上昇するケースもあれば、更なる損失拡大になるケースもあります。もっとも、どなたかが指摘されていましたが、「損切りして、すぐに株価が戻るケースは普通にあり、それにこだわって損切りをためらってはいけない」とのことでした。まだまだ、修行が不足しています。

 

中長期投資での損切りする場合は、投資する段階でのシナリオが崩れた時が多いのですが、短期トレードでは勝手が違いますね。

 

 

と、言うことで次回は、

 

「短期投資(短期トレード)に挑戦してわかってきたこと(後編)」の予定です。

 

 

当ブログは、毎週金曜日に更新予定です。

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