短期投資(短期トレード)に挑戦してわかってきたこと(後編)

 

前回は、中長期投資の手法と短期トレードで成功されている方の傾向を紹介しました。今回は、短期トレード投資家の手法を深堀してみたいと思います。尚、今回もボリュームがかさんでしまったので、来週、総まとめをしたいと思います。

 

それでは、前回、紹介した成功している投資家の属性や投資手法について考察してみたいと思います。

 

 

■信用取引を活用する

■買建てだけでなく、売建ても活用する

 

→妥当だと思います。特に短期投資で資金効率を上げるために信用取引は有効な面があります。投資枠の範囲であれば、何回も取引できますし、建玉が決済されれば、新たな枠が復活します。但し、信用取引は保有資産の約3倍の取引が可能となるため、リスク管理は欠かせません。特に売建て(信用の売建てをショートと呼びます)の場合、損失は青天井になりますので注意が必要です。また、大きなロット(取引量)で連敗すると、ダメージが甚大になりますので、この点も注意したいところです。加えて、負けてうまくいかない時に歯止めが効きにくくなる点も要注意です。以前は、対面証券の信用取引の開始基準は、投資経験だけでなく、保有有価証券が3,000万円以上などの諸条件がありました。現在は敷居が低くなっているようですが、取引の仕組みやリスク管理は欠かせないと思います。

 

 

■同一銘柄を同じ営業日に買建て、売建ての双方の取引をすることもある

 

→結構、難しい印象です。例えば、買建ての場合、良い銘柄と思って投資する(買付けする)訳で、過熱感がありテクニカル面で下落しそうな局面でも買い目線で見てしまいます。上手な方は、上昇局面(ロングポジション)、下落局面(ショートポジション)の両方から利益が取れると言うことらしいです。米国市場が上昇して、日経平均の先物も高い局面などでは、どうしても買い目線が優先しますが、価格帯や寄り付きの株価などを見て冷静な判断の必要性を感じています。

 

 

■損失確定(損切り)を迅速に行う(損切りラインの設定)

 

→損切りラインは、株価水準や含み損の水準などから設定することが可能です。しかし、以前、触れた通り、ボラティリティが高い(値動きの大きい)銘柄の場合は、買った瞬間に損切りライン突破ということも、一方、もたもたしていると結果オーライで含み益に転じることもあります

それでも、「損失確定すべし」とのことなのですが、なかなか、難しい判断となりますね。損切り貧乏になりたくありませんが、冷徹さが求められそうです。

 

 

■一旦、損失してもチャンスと見れば、同一銘柄に投資する

 

→この点は、個人的にようやく、慣れてきました。損失を負うとその銘柄を見たくもなくなりますが、冷静に考えると、失敗の理由は、投資タイミングの間違いであって、投資対象の間違いでは無いことも考えられますので、冷静に対処しようと心がけています。もっとも、不思議なもので、相性が悪い銘柄というのは、何度、トライしてもうまくいきません。

 

 

■ナンピン(含み損の時の追加投資)を基本的に行わない

 

→大きな金額を投資したい場合や急落時のリバウンド狙い、小型株で一度に投資できる金額に制限がある場合などは例外とのことですが、概ね、同意です。一旦、損失確定し、改めて追加投資するのかどうかを判断するように心がけています。(損失確定してから、同一銘柄でポジションを持つので、投資効果としては、ナンピンと類似しますね)含み損の銘柄は、タイミングの問題にせよ、銘柄選択の問題にせよ、何らかの問題があったため、含み損になったということで、ナンピンすることが失敗の上乗せにつながり、傷が深くなるだけとの指摘もあります

但し、高配当銘柄の中長期投資の場合は、該当しないと思います。業績が伴っていて、減配リスクが小さいケースでは、株価下落は配当利回り上昇となり、保有株数を増やすチャンスとも言えると思います。

 

 

■勝率にこだわらない(むしろ、あまり高くない方が良い→適切な損切りの存在)

 

→これは、難しいですね。最初は意味がわかりませんでした。

損切りが多いと勝率が悪化します。実際、含み損で損失確定を優先すべきなのか、株価の回復を期待するのか、状況によると思います。確かに損切りを躊躇することによって、損失が拡大するケースもあり、株価が回復して結果オーライのケースもあるため、状況判断次第のように感じます。但し、大きく勝って小さく負ける方が好ましいというのは事実ですし、1勝9敗でもトータルで勝つことは可能ですね。逆に9勝1敗でもトータルで負けることがあるのが投資の世界です。

 

 

■簿価(買付価格)にこだわらない

→これも難しいポイントです。「上がると思えば保有、下がると思えば売却、その際に買付価格は意識しない」と有力個人投資家の方のコメントがあったのですが、私はできていませんね。どうしても、含み損益を意識してしまいます。

 

 

■マーケットの開いている時間帯は当日の損益にこだわらない

→相当程度、集中したトレードの局面で無ければ、途中経過での損益を確認してもかまわないように感じています。リスク管理上、当日の最大損失を意識する局面もあるので、概算でも把握した方が良いと感じています。

 

 

■資産規模が少ない段階(数億円以下?)ではスキャルピング(短期投資)が有効

→スキャルピングとは、数ティック(数円)の値幅で利益確定し、それを繰り返す投資手法です。集中力と手間がかかりますが、翌日にポジションを持ち越すことが少ないので、リスク管理に有効とされています。但し、買付けで言えば一日の値動きが上昇トレンドの銘柄でないと、リバウンド狙いを継続しても、どこかで含み損に転落してしまうケースがありますね。小さな値幅で利益を積み重ねているつもりでも、途中で株価が大きく上昇し、大きな値上がり益を逃す一方、急落することで損失が拡大することもあります

また、資産規模が少ない段階という意味は、取引の資金効率の面のようです。一度に大量の注文が許容できる銘柄は限りがあり、投資妙味のある小型株などでは、大量の資金投入が困難であるという意味合いです。

 

 

■バリュー株(割安株)よりもグロース株(成長株)重視の傾向がある

→小型グロース株が投資対象の中心になると思います。投資環境によりますが、環境が良い局面では、大きな値動きと値上がりが期待できるため、個人投資家の資金が集中しますね。但し、局面が変わった際の損失確定の重要性が高いのは、言うまでもありません。

また、少額の投資資金で大きなリターンを目指す場合は、小型グロース株の方が投資効率が良いという意見は良く聞きます。

 

 

■売買代金の大きな流動性とボラティリティが高い銘柄中心に投資している

こと、信用取引のデイトレード中心の目線で見ると、妥当だと思います。ボラティリティが大きいと言うことは、値動きが大きいと言うことと同義なので、損失確定のタイミングや利益確定のタイミングの重要性を意識したいところです。

有力個人投資家の方々の中には、前日の売買代金ランキングや値上がり率ランキングから銘柄を選び、ファンダメンタルは気にしないというアプローチの方も少なく無いようです。個人的には、ファンダメンタルがシッカリした銘柄の場合、投信や年金などの機関投資家の資金流入も期待できるので、こちらの方が好ましく感じます。

 

 

■投資手法の引き出しが多い

■チャートや板読み(売買の株数の需給を見るアプローチ)などの独自手法を持つ

■投資に関する自己節制がシッカリしている

→これらは、経験と努力の賜物だと思います。どの方も共通しているのは、「投資した理由」や「取引に一貫性を持つこと」の重要性を強調されています。「投資した理由」が何らかの事情で否定されたときは、速やかに売却するというスタンスですね。

 

 

■ギャンブルが好きな方が多い

■常に期待値を意識している(ギャンブル好きな方は特に)

■ゲームが好きな方も多い

→たまたま、私がチェックした方々だけなのかもしれません。とは言え、ネット証券が台頭してからは、株式取引はゲームに類似する経済行為という側面も否定できないように感じています。また、ギャンブル好きで期待値を意識されている方々はリスク管理にも意識が高い印象があります。負けがこむほど熱くなるようなタイプは、短期の株式投資にあまり向いていないかもしれませんが、

 

 

このような短期トレードの手法は、従来の伝統的投資手法や投資理論と異なるアプローチのように感じています。但し、長期にわたる実績の裏付けがある方々の見解なので、今後も自分なりに参考にしたいと考えています。

 

尚、短期トレードと中長期投資のアプローチは異なりますが、どちらかを否定するものではありません。徹底したファンダメンタル分析で資産を築いた方もいらっしゃいますし、配当重視の投資手法で成功されている方も少なくありません。あくまでも、短期トレードに挑戦中の元金融マンという位置づけで理解して頂けると幸いです。

 

今週も予定以上に紙面を沢山、使ってしまいました。

次回は、「短期投資(短期トレード)に挑戦してわかってきたこと(総まとめ)」の予定です。

 

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