先日、5月17日に日経225が30,000円を終値で突破しました。
更に、その3営業日目の5月22日に、31,000円を超えて終わりました。
米国株が一進一退の中、日本株の強さが際立ちます。
とは言え、SNS上でも「持ち株が上昇していない」という声も聞こえてきます。
私も同感です。一部の銘柄が上昇し、小型株やバリュー株、低位株などの上昇を感じません。
今回、一番の勝者は、日経225のインデックス投資家だったかもしれませんね。
ということで、まず、実際の騰落率をチェックしてみましょう。
日経225、TOPIX、マザーズ指数、個別銘柄では、日経平均への寄与度の高い東京エレクトロン、個人投資家に人気のある日本製鉄、三菱UFJをピックアップし、5月の騰落率(5/26現在)、年初来の騰落率をまとめてみました。
5月26日 | 4月末 | 2022年末 | 月間騰落率 | 年初来騰落率 | ||
日経平均 | 30,916.31 | 28,856.44 | 26,094.50 | 7.14% | 18.48% | |
TOPIX | 2145.84 | 2,057.48 | 1,891.71 | 4.29% | 13.43% | |
マザーズ | 725.69 | 745.24 | 730.41 | -2.62% | -0.65% | |
8035 | 東京エレクトロン | 19,635 | 15,495 | 12,959 | 26.72% | 51.52% |
5401 | 日本製鉄 | 2,790.00 | 2,893.00 | 2,292.00 | -3.56% | 21.73% |
8306 | 三菱UFJ | 906.5 | 852.9 | 889 | 6.28% | 1.97% |
5月の騰落率(5月26日現在)は、日経225が+7.14%ですが、それを上回っている指数、及び銘柄は、東京エレクトロンだけでした。日経225は大幅上昇の一方、マザーズ指数、日本製鉄はマイナスのパフォーマンスでした。
年初来の騰落率(5月26日現在)では、日経225が+18%超でしたが、同様にそれを上回っているものは、東京エレクトロンと日本製鉄だけで、マザーズ指数はマイナスのパフォーマンスでした。単月で指数がこれほど、上昇することはなかなかありません。
日経225とTOPIXの比較では、5月、年初来とも日経225のパフォーマンスが上回りました。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、日経225は、日本を代表する225銘柄で構成され、株価の高い銘柄の影響度合いが高いという特徴があります。前述の東京エレクトロンやファーストリテイリング(ユニクロ)などの影響が大きく、1銘柄で100円以上の影響があるケースも少なくありません。一方、TOPIXは、東証プライム市場上場銘柄が対象で、時価総額の大きな銘柄の影響を受けます。トヨタやソニー、メガバンクなどの影響力が大きい特徴があります。
今回の株価上昇は、幅広い銘柄が買われた訳では無く、寄与度の高い(影響度合いの大きい)銘柄の株価上昇が日経225上昇につながったと言えると思います。実際、今年は、東京エレクトロンやアドバンテストなど外人投資家が好むような銘柄の上昇が目立ちます。4月以降、米国著名投資家のバフェットさんが日本の商社を買い増しを検討するという報道や日本は相対的に地政学リスクが小さいとの認識から外人買いが優勢だったようです。また、現物株式だけでなく、先物への投資が大きかった可能性も感じます。現物に投資するよりも、大きな金額の投資が容易となります。先物主導の値動きになる時は、寄与度の高い銘柄がより大きな値動きになる傾向があります。
一般的に、日経225(日経平均)が知られていることもあり、メディアではバブル期以降の高値更新との報道もありますが、個別の内容を見ると、高揚感はあまりありませんね。一部の半導体関連銘柄を除いてですが、
それでも、投資家にとって、リスク許容度が増すなどの良い影響も考えられ、大きな視点で見れば、今後に向け、プラスの効用のも少なくないと思います。逆に機関投資家の場合は、株式のウエイトが大きくなりすぎて、株式売却によって想定しているウエイトまで落とすこと(売却する)も考えられます。
個人投資家目線で言えば、自分自身の保有銘柄が軟調な時に、日経225が高値更新すると、焦りや憤りを感じてしまいますが、前述の通り、今回の上昇はかなり偏った展開なので、冷静に対処したいものです。これは、自分自身に言い聞かせている面もあります。
今後は、先導した銘柄から循環物色で出遅れている小型株やバリュー株への資金シフトを期待したいところですが、指数の売買(先物主導)ということだと、資金の偏りは解消しないかもしれません。とは言え、上昇が急ピッチだったため、年金や投信等の機関投資家は、ポジション構築が追いついていない可能性もあり、出遅れ銘柄が物色されるかもしれません。どちらの可能性も視野に入れておきたいものです。
そもそも、株価は、将来利益の現在価値で決定されます。仮に一部の銘柄に人気が集中して上昇しても、長期的な視点から見れば、やがて、割安投資家が現れることで出遅れていた銘柄の株価が修正されることは、歴史が語っています。
今後の株式の調整(下落)があった場合、先導して上昇した銘柄が主導して調整して他の銘柄に資金が入るのか、同様に出遅れ銘柄にも調整が波及していくのか、注目ですね。
今回の結論としては、日経225の上昇はあくまでも指数として認識すべきで、今回の上昇に関しては、個別銘柄の上昇は限定されているものが多く、焦りは禁物だと言うことです。
次回は、「変わり種のインデックスファンド」の予定です。
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